#26 ゲーム評価

 この世の中で一番のクソゲーは人生だ。

 まず、自分のステータスが見えない。あ、いや、鏡とか見れば容姿のステータスを見ることはできるが、そんなものは個人の価値観と他人からの評価に依存する。

 俺は言いたいステータスというのはゲームでいう「数値」でのステータスだ。

 右手を軽く振ったとしても、ウィンドウなんて出てこない。目を瞑って頭の中でステータスを思い浮かべたとしても、何も見えてこない。

 ステータスが見えないんじゃ、今自分がどんな数値なのかわからない。レベリングのしようがない。

 そもそもレベリングなんてどうやってやるんだ? 雑魚モンスターなんているわけがない。

 というか、人を殴る蹴るなんてしたら人生ゲームセットだ。

 リセマラもできない、リセットできない。

 究極のクソゲー。

 持って生まれたものは自分じゃ分からず、他人にも見つけてもらえない。「才能」があるのかないのか。

 持っているスキルはなんなのか。

 分からない。

 そんなクソゲーでも、やらなくちゃいけないのだ。

 唯一、この評価がひっくり返る瞬間がある。

 それは、「楽しい」を見つけたときだ。「楽しい」と出会った時、このクソゲーの評価が一瞬にしてひっくり返る。

 つまり、このゲームは「楽しい」を見つけるゲームなのだ。多くの「楽しい」を見つけて、このゲームの価値観を変える。

 じゃなかったら、このゲームをプレイする意味がない。

 いくつもの「楽しい」を見つけて、その中で「最高の楽しい」を見つける。それがこのゲームだ。

 さあ、今日も「楽しい」を見つけようじゃないか。



 ☆★☆★☆★



「さて、レビューはこんなもんにして、俺もゲームに戻るか」


 そう言って、俺はスイッチを入れるのだった。


 

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