#03 ある日の仕事終わりの会話

「──ふぅ」

「よっ。お疲れさん」

「先輩、お疲れ様です」

「どうだ? この時期にはもう慣れたか?」

「まあまあです。しかし、ホントキツイですね、この時期は」

「仕方ねえさ。最近はいろいろ緩和されて、前より移動しやすくなったからな」

「でもまだ国外は無理なんですよね?」

「国内回れるだけでもいいだろ? 前は殆ど禁止されてたようなもんだ。初めてだったよ、あんなに軽い時期を過ごしたのは」

「僕もですよ。ずっと重い体で走ってたのに、それがぱったりですからね」

「おとなしく指定席取ればいいものを、自由席にするから人が溢れる。一部分だけ重くて仕方ねえって話さ」

「ホントですよ。グリーン車って選択肢もあるのに」

「満員電車はあっちの領分だってのによ。まったく、辛えっての」

「でも……あの時はちょっと恋しかったんじゃありませんか? あの混み具合が」

「……まあな。人を運ぶのが俺たちの仕事だからよ」

「次はお盆の時期ですかね〜」

「その前に、もう一つあるだろ?」

「え? ありましたっけ?

「ああ。新生活を迎えるために上京する若者たちよ」

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