8.屋台

「お。スマホ、使える」

「ほんとだ」

「LINE来てる――大樹たち、いま、屋台のとこにいるって」

「行こう! あたし、バナナチョコ、食べたい」

「オレは牛串かな」

 石段を下りていくと、屋台が並んでいた。

 ふと、疑問に思っていたことを口にする。

「ねえ、バナナチョコとチョコバナナと、どう違うのかな?」

「……バナナチョコはバナナにチョコをつけたもの、チョコバナナはチョコにバナナをつけたもの」

「チョコにバナナって、どうやって?」

「頑張って!」

 せいの答えに笑っていると、「美月みつき!」という琴子の声が聞こえた。声の方を見ると、琴子と大樹と聡がいた。

「琴子!」

 琴子とハグしあう。

「もう、美月、どこ行ってたの~」

「なんか、埋もれちゃって」

 みんなで笑い合う。

「オレはゲームしてたら、気づいたらみんないなかった」

「星……」

 また、みんなで笑う。

 笑い合いながら、みんなで屋台を回る。

 男の子たちはスマホでゲームをしながら、うろうろしていた。あたしは琴子と並んで、歩く。バナナチョコはちゃんと食べた。甘くて、とてもおいしかった。

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