魔女とギルドと速達箱

 ある程度整頓された店内に人影が二つ。

 普段は使われない長机を挟んで向かい合わせに座っている気だるげな女性と、真面目そうな男性がいた。

 女性はとんがり帽子を目深にかぶり、真面目そうな男性の前に小箱を二つ置いた。


「こちらで合ってるかしら?」

「拝見させていただきます」


 そういうと、男性は懐から手紙を取り出し、片方の小箱に入れる。

 その後、手紙を入れた箱に魔力を流してから開けると、中には何もなかった。

 もう片方の小箱を開けると、先程入れた手紙が入っている。

 念のため中を確認する真面目そうな男性は、確認が終わると懐から代金を入れた袋を取り出す。


「確かに、お代はいただいたわ」

「では、また入荷したらギルドまでお伝えください」


 真面目そうな男性は仕入れ先などの細かい事を聞く事はせずに席を立つ。

 店を出る時にとんがり帽子をかぶった女性が声をかける。


「不思議な品物だからと、分解する事はオススメしないわ」

「なぜですか?」

「勢い良く燃えるらしいわ」

「それはまた、どうしてですか?」

「さあ? 私が作ったわけではないから、知らないわ。なんか重要機密を守る時に燃えた方が面白そう、とかそんなんじゃないかしら?」

「そうですか……何とも理解しがたいですが、忠告、感謝します」




 その後、冒険者ギルドから盗まれて行方が分からなくなったが、隣の国の貴族の屋敷が火に包まれたらしい。

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