真面目に門番をしているだけなのにやたらと褒められるんだが

おもち

第1話  その名はサム

俺はサム。しがないただの門番だ。

俺はここテリクス王国で門番、王都に悪い奴が入らないように見張っている。


え…? ただの警備員じゃないかって? 違う違う。

これでも王都の門番だ、倍率は高くてな。この仕事をしているのは俺の誇りだ。

ただ、ここはずっと人が出入りするからな… かなり激務だ。


門番はシフト制で

夜明けの卯の鐘、昼頃の牛の鐘、夜の亥の鐘で交代する。

俺は大体、卯の鐘から牛の鐘だ。人通りが多いからな。

え? 人通りが多いのに何でお前が門番なのかって? おいおい…

俺はこれでも学園では多少… いやかなり… ゆうしゅ…



「おい! サム! 何ボケっとしてんだ! 

でかい商隊が来たぞ あれは… 見たことない商隊だな。 行くぞ」



まったく隣にいるというのに声がでかい…

こいつは同僚のロイ。 やたらとでかい肩幅にでかい声、短く刈った頭。

俺よりも6つ年上の26だというのに俺と同年代にしか見えない。しかも妻子持ち…

たまに真面目過ぎるが悪い奴じゃない。 声がでかいのだけが欠点だ。


しかし、この商隊かなりでかいな… お、一騎かけてきたな。

あれは… 女騎士みたいな恰好だが… 護衛か?

まぁ 何にしろあの勢いじゃ 停止線を越えそうだな… 止めるか。


                聖域守護(プロテクション)


あ… 思ったよりあの女騎士の勢いが速くて‘聖域守護’にぶつかりそ…

あぁ ぶつかっちゃった… 痛そう。 止まってって言ったのに… 言ってないか?



あぁ 派手に飛んで行ったな。商隊も止まったし回収するか。


「ロイ先輩 ちょっとあの女騎士回収してきますね」


「あれをする前にいつも事前に勧告しろとあれほど…

 まぁ 今の勢いは仕方がないか。 商隊の点検は俺がするから行ってこい」


良かった。 めっちゃ怒られると思ってた。 

ありがとう名も知らぬ女騎士、派手にぶつかってくれて。


しかし、‘’聖域(プロテ)守護(クション)‘‘は俺が許可しない限り誰も入れない

便利な魔法だが入ろうとした奴を遠くに飛ばすのは少し改良が必用だな…

さぁ どこに行ったのやら 


               探索(サーチ)


お… 以外と近いな。  ‘’雅狼の森‘’か。 転移(テレポート)っと。

あ、いたいた。 さっきの金髪の女騎士と馬だが、あれは…

鎧(アーマー)熊(グリズリー)に襲われてるのか。 おぉ中々やるな。 あ、でも危ない、行くか。



              ―女騎士Side―


私は…  そうだ、シュタイン商会の護衛をしていて…

王都についたから門番に連絡をとろうとしたら


「いつの間にかここにいたのか…」


しかし、さっきの魔法はなんだ? 

王都の結界と同じようなものを感じたが…  ‘’聖域(プロテ)守護(クション)‘’? 

いや、あれは王都を守るような第一階梯魔法。

こちらに向かっていたあの冴えない顔の門番があの魔法を?

いやあのモブ面がまさかな… あれが個人で使えるとなれば‘’英雄級‘’

門番が‘’英雄級‘’? ありえないな。


「依頼は王都までの護衛だったからなんとか依頼達成にしてもらえないものか…

 サリやドロアテが私を心配して問題を起こしていないか…」


いや、悪い方向に考えるのはやめよう ぼやいても仕方がない… 

まずはここが何処かを…!!!


これは! 鎧熊…  

B、いやあの背中はAランクの‘’鎧熊頭(アーマーヘッドグリズリー)‘’ 

まさかこんな魔獣がいるところに飛ばされるとは… あの門番A、いやBめ…

愛剣が手元にない今少し、心もとないがやるしかない…

…! あれはモブ門番…


私が覚えているのはここまでだった…

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