第12話 職業適性検査 属性検査2 -属性は色々有るみたいですね-
「カレナリエンさん? マルコもなんで固まってるの? 説明してくれないと分からないじゃん! これってどうなの? 無色透明って凄いの?」
周りの反応が無いため、状況が理解できていない亮二がマルコ達に確認するが反応が無かった。亮二はは肩を竦めると、水晶に対して再び魔力を注ぎ込んで色々と試し始める。
「えっと、火をイメージしたら赤だろ。水をイメージしたら青で、回復は傷が塞がるイメージをしたら……。おっ! ピンクになった。じゃあ、氷をイメージしたら白になるのか。それはデフォとして、雷の金色は当然だよな。口から雷を吐き出す魔物のアニメも、金色な感じだったしな。土なら茶色はベタだとして、風だと銀色で渦を巻くんだ。あと、なにかイメージ出来るのはあるかな?」
「ちょ、ちょっと待て! リョージ。お前と出会ってから驚きの連続だが、これは格別だ。水晶に対してなにをしているか教えてくれ」
「え? 普通に魔力を注ぎ込みながら、水晶の色を確認しただけだぞ?」
ちょっと確かめただけだとでも言いたげな感じの説明に、マルコは頭をガシガシと掻きながら亮二に説明を始める。
「いいか。お前がやったのは、王立魔術学院出の天才レベルでも出来るかどうかって話なんだよ! 普通は1色から2色しか出せないんだ。今、お前がやっている無色透明なんて、どうなっているのか俺ではなにも分からん。たぶん、ここにいる奴らも分かってない。だが、凄いことが起こっている事だけは分かっている。だから、みんな硬直してるんだよ」
「ひょっとして、やり過ぎた?」
周りを見ながら尋ねた亮二に、全員が一斉に頷くのだった。
□◇□◇□◇
「リョージさん。他の試験はどうされますか? もう魔術師での登録でいいんじゃないですかね?」
グッタリとしながら話しかけてきたカレナリエンに、少し不満気な顔をすると、亮二はマルコの方を向いて話し始める。
「そう言えば、さっき上級職が有るって言ったよね? 聖騎士とか狂戦士とか言ったよね?」
「あぁ。あの時は冗談で言ったが、お前だったらなれるかもな。きのこのお化けを狩ったのは剣を使ってだろう?」
「そうだよ。だって、魔法の使い方知らないもん。ちなみに上級職で魔法戦士とかもあるの?」
「数は少ないが、確かにいるぞ。お前も魔法戦士を目指すのか?」
「そうだね。今日の測定で魔力が有るから魔法戦士になれるのは分かったし、目指すのもいいかな」
「いやいや。さっきの魔力が凄くて属性がたくさん有るからといって、そんな簡単に魔法戦士になれる訳じゃないぞ。まずは戦士として登録してから冒険者ランクをBまで上げて、そこから魔法の修行を始めるのが普通だ。お前なら、魔法が使える要素は有るから五年もあればなれるんじゃないか?」
マルコの説明に、渋い顔をして亮二は考え込んだ。
(魔法戦士になるのに五年もかかるのか。ランクをBまで上げるのは、どのくらいかかるんだ? 俺の装備と身体能力があれば、討伐系の依頼は基本的には選び放題だろ? だったら、まずは戦士で登録してランクを上げながら魔法も使えるようにして、Bランクになったら転職するって感じだな)
「了解。じゃあ、まずは戦士でランクをバンバンと上げるので、戦士としての適性があるか、試させてください!」
「分かりました。戦士の適正は、先輩冒険者との模擬戦になります。大怪我をしないように、木剣を使っての戦いになります。モチロン治癒術師も待機させますのでご安心ください。今から、担当になりそうな冒険者を探してきますね」
「ここにいる人たちじゃダメなの?」
「最近、試験官した方達なので駄目なんです」
亮二の問いかけに、カレナリエンは首をふると答える。ここに居る冒険者は、試験官を務めた事があり、一度試験官をすると、一定期間は出来ないルールとの事であった。
「そう言いえばさ。他に適性が確認できる職業ってなにが有るの?」
「これから受ける戦士だろ。それに盗賊、狩人や聖職者だな。王都に行けば、上級職の適性試験もやってるぞ」
マルコの説明を聞きながら、亮二は今後のプランを考え始める。
(まずは戦士として登録して、同時に魔法も並行して使えるようになるだろ。そして、依頼を受けながら資金を増やして、パーティーを組むために仲間を探す。そして一騒動が起こるテンプレ発動だな。後は金を稼いで上級職を取得するために必要なものを揃える! 最後はテンプレ的に王都に行って、お姫さまとの出会いだな)
「プランとしてはこんな感じかな。怪しくないストレージの使い方と、インタフェースの習熟も必要だな」
インタフェースを素早く起動させつつ木剣で素振りを始め、インタフェースが消えない練習をしていると、カレナリエンが一人の男性を連れて戻ってきた。
「ビックリするくらい王道展開なんじゃね?」
思わずカレナリエンが連れてきた男性を見て、短くため息を吐く。そんな様子に気付いた男が、亮二を睨みつけながら叫んだ。
「おい! ため息なんて吐きやがって! ふざけんじゃねえ! 先輩冒険者の怖さを教えてやる!」
青筋を立てながら怒鳴ってきたのは、ギルドの入り口で絡んできたバルトロメインだった。
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