エスパーメイト! ―心情透視能力者誤誘拐事件―

黒金 海月

プロローグ

 「やばい…遅れるっ」


 カチャカチャと、手提げ鞄に入れた財布が音を立てる。腕時計を見ると、約束の時間まであと三分もなかった。もう、みんなは着いているだろうか。

 仕方ない。少し、近道をするとしよう。

 見上げると、昇り始めた八月の満月が輝いていた。


 そこに照準を合わせるみたいに、右手を上に伸ばして。


 ────私は、空へと飛び出した。

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