#9 自然科学(感想②)
『19世紀の異端科学者はかく語る』電子書籍化にともない、カクヨム版は序文を残して削除しました。規約の関係でURL載せませんが、書籍版タイトルは『十九世紀の異端科学者はかく語る: ダーウィンの愛弟子ラボックの思想と哲学 -The Pleasures of Life-』です。
電子書籍版を出したからといって、小説投稿サイトを軽んじるつもりはまったくなく、棲み分けしつつ執筆活動を展開したいと考えています。
そこで、ここから先は、翻訳文を引用しながら訳者主観で「感想と解説」を投稿しようかと。
「翻訳者だって、ひとりの読者として感想書きたい!」
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
(※引用文は改稿前のもので、書籍版とは異なる場合があります)
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#9 自然科学(感想②)
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本章では、科学(Science)を女性に見立てて「彼女」と呼ぶ表現がしばしば登場します。例えばこんな風に。
> 科学(サイエンス)の利点を述べたが、私たちの余暇に興味と魅力を惜しみなく与えてくれるからといって、彼女にのめり込むのは間違いだ。
自然科学編の後半はシリアスな話が続きます。
初見の人向けに、簡潔にまとめる自信がないので、説明抜きで「私が好きな一節(例え話)」をご紹介します。
> 仮に、私たち一人ひとりの人生と財産が、ある日突然、チェスの勝敗によって確実に決まってしまうとしたら。せめて、駒の名前と動きだけでも覚えておくことを第一の義務だと考えるだろう。息子にチェスをさせる父親、国民にチェスをさせる国家、またはポーンとナイトの区別を教えない父親や国家は、軽蔑され非難されるべきだと思わないか。
> しかし、私たち一人ひとり、そして多かれ少なかれ私たちとつながっている人々の人生、財産、幸福は、チェスよりもはるかに難しく複雑なゲームのルールを知っているかどうかにかかっているということは、非常に明白で初歩的な真実だ。
> 老若男女、誰もが「自分だけのゲーム」の中の二人のプレイヤーのうちの一人として、何世紀にもわたって永遠にプレイされ続けてきた。チェス盤は世界、駒は宇宙の現象、ゲームのルールは自然法則と呼ばれるものだ。
> 向こう側のプレイヤーは、こちらから見えない。
> 私たちは、彼のプレイが常に公平で、公正で、忍耐強いことを知っている。また、彼が間違いを見落としたり、こちらが無知だからといって少しも手加減しないことも知っている。
> 優れたプレイヤーには最高の賭け金が支払われ、強いプレイヤーにはその強さを称えるような溢れんばかりの寛大さと喜びを示す。そして、悪さをするプレイヤーは……、焦ることも後悔することもなくチェックメイトされる。
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