#6 時間の価値(感想)
『19世紀の異端科学者はかく語る』電子書籍化にともない、カクヨム版は序文を残して削除しました。規約の関係でURL載せませんが、書籍版タイトルは『十九世紀の異端科学者はかく語る: ダーウィンの愛弟子ラボックの思想と哲学 -The Pleasures of Life-』です。
電子書籍版を出したからといって、小説投稿サイトを軽んじるつもりはまったくなく、棲み分けしつつ執筆活動を展開したいと考えています。
そこで、ここから先は、翻訳文を引用しながら訳者主観で「感想と解説」を投稿しようかと。
「翻訳者だって、ひとりの読者として感想書きたい!」
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
(※引用文は改稿前のもので、書籍版とは異なる場合があります)
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#6 時間の価値(感想)
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今回のテーマは「時間の価値」です。
> 友人、本、健康、旅行の楽しみ、家庭の喜び、もしそれらを楽しむための時間がなければ、人生とは何だろうか。
> よく「時は金なり」と言われるが、それ以上に、時間とは命である。
> しかし、命に必死にしがみついている多くの人は、時間を無駄にすることを何とも思っていない。
> やりたいことをする時間がないと嘆くのは、ただの怠け者である。
> 実は、人は普通、自分で選んだことのためなら時間を作ることができる。
> 本当に必要なのは時間ではなく意志だ。余暇の利点は、自分の仕事を選ぶ力を持つことであって、怠ける特権を与えることではない。
このエッセイは全十章なので、すでに後半。
ラボック節が冴え渡ってますね。めっちゃ辛辣! だがそこがいい。
> 数え切れないほどの鼓動が、多彩で味わい深い生命を与えてくれる。
> その中にあって、豊かな感性で見るべきものを、どうすればすべて見ることができるだろうか。
> どうすれば、点から点へすばやく移動し、多くの生命力が純粋なエネルギーで結合する瞬間に立ち会うことができるだろうか。
> 人生の成功とは、硬い宝石のようにきらめく炎で燃え続け、エクスタシー(忘我)を維持することだ。
それから「ケア(Care)」について。
次の話は、癒し好きな現代人から反感を買うかも。
ラボックは、エッセイ全般で何度も「自分をケアするな・他人をケアするな」と言っています。翻訳中、著者の真意が汲めなくてずいぶん悩みました。
> 人生をダメにするのは仕事のせいではなく、ケア(気苦労)のせいだ。
おそらく「むやみに心配するな」という意味だと思います。
なお、原文はもっと強烈な言い方で、「人生を殺す(Kill)のは仕事のせいではなく、自分や他人をケア(Care)しているからだ」と断言しています。
まるで、弱者を切り捨てる酷薄な人に見えますが。
実際のラボックは私財を投げ打って多くの慈善事業をしていますし、公的にもさまざまな功績を残してしています。聖ラボックと呼ぶ人もいるほどに。
その一方で、現代人は、癒しとかケアといった優しいワードが大好き。
刺さるを通り越して、信念がバキバキにぶち壊される!
> 君は真剣なのか? 今、この瞬間から、
> できることと、できると思うことを始めよう。
思っているだけ、悩んでいるだけ、考えているだけ、言っているだけ。
現実で行動しない人に「君は真剣・本気なのか」と尋ねているようにも聞こえます。
辛辣すぎて大好きな一節をいくつか。
> 時間は「飛ぶ」とよく言われるが、飛ぶのは時間ではなく、時間を浪費する私たちである。
> 怠け者は、まさに自分自身(の人生・時間)を食い物にしている。
> 自分の『時間』を選択する者は、自分の『友人』を選択し、自分の『行動』を選択する。
> ある人々は「退屈だ」と言う。
> 彼らは来るべき「より良い世界」について話すが、今ここにどんな退屈があろうと、それはすべて彼ら自身のものだ。
特に、下記の締めくくりの一文。
ラボック自身の言葉ではありませんが、辛辣すぎて痺れる!!
> 大地も空気も水も神秘に満ちているのに、手を伸ばしてその性質を支配しているものに触れようともしない。
> 自然はいつも、真剣に話し、理解し、支配し、祝福されるようにと誘っているのに、なんと鈍感なことか!
> あっちへ行って、何かを学び、何かを行い、何かを理解するんだ。
> あなたの退屈な話をこれ以上私に聞かせないでくれ
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