おねえちゃんにイジメられているボク

烏目 ヒツキ

ケイお姉ちゃん

おねえちゃんとボク

 腰の上にまたがったお姉ちゃんは、ボクを冷たい目で見下ろす。


「誰のおかげで生活できてると思ってるの?」

「……ごめん、なさい」


 謝罪と同時に頬を打たれ、お姉ちゃんが顔を近づけてくる。


「レンは、あたしの物。……でしょ?」


 妖しくわらうお姉ちゃんの顔が、窓から差し込んだ月明りに照らされ、輝いていた。


 窓は半開きになっていて、カーテンが揺れる。

 その影が月明りを遮り、端正の整った顔や肉体に陰影いんえいをつくる。


 藤野ケイ。

 ボクとは血のつながらない姉だ。


 一つしか違わないのに、可憐で艶めかしい魅力の持ち主。

 そんな美貌の姉と密着している今、ボクはまるで夢を見ているかのようだった。


 つい最近まで、中学生だったボクには刺激が強すぎて、お姉ちゃんの尻から伝わる体温は、局部から全身に駆け巡って、体中を支配されている気分だった。


「言って」

「ぼ、ボクは……」


 身長の低いボクと違い、お姉ちゃんは身長が高く、体つきは肉感的。

 常に、自信に満ち溢れた表情を浮かべ、僕を従えていた。


 僕が声を漏らすと、お姉ちゃんの表情が期待に満ちてくる。


 あるいは、勝利を確信した笑みと言っていい。


「こ、こんなの、おかしい。やめようよ。……うっ!」


 また頬を打たれて、痛みに呻く。


「お、お姉ちゃ……んぐっ……っ!」


 頬を押さえた手を握られ、頭の上に持っていかれる。

 力で敵わず、押さえつけられる形となったボクは、義理の姉に口を塞がれた。

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