花回廊の姫君

ふわふわ

第1話

 永遠少女のあなたへ

 文学の花のような乙女のあなたへ

 駄文でありますが上梓


 だってこれは、今この旭日の国に転生されている、ずーっと人間の、ずーっと乙女の転生の記憶を持つ、永遠少女の皆様の記憶なのですから。


 あなたの記憶を辿る旅。

 当時のあなたはバニラの花咲く王国の王宮の、南離宮に向かう花回廊に身を置く事が多い姫君でありました。

 バニラの花の咲き乱れる一番美しい季節に、一人の近衛兵が甘いバニラの花壇に隠れておられます。


 昨晩、父王からの諜報依頼•••


 大陸の王子様が、あなたの侍女に連れられて南の大階段に到着されました。

 文武両道で最も美しい姫君と、どの大陸でも噂される永遠少女のあなたはパニエとジャンパースカートの裾をちょこんと摘み、大陸の王子様にご挨拶。

 侍女に代わり王子様の手を引いて、南離宮に向かう花回廊に向かい歩き始めました。

 あなたの侍女は王子様とあなたのすぐ後ろを歩き、近衛兵はあなたが大陸の王子様の手を引く姿を見つめておりました。

 城下の教会の尖塔の鐘が乾いた声で何度か鳴いて、あなたを下支えする服たちは、これが諜報戦開始の号令だと思っておりました。

 侍女は村娘七といった雰囲気ではありましたが、あなたとの打ち合わせ通りに「王子様におかれましては退屈な王宮ご視察でございましょう、乙女というものは政治の話しに疎い故」と口火をお切りになられました。

 最も美しい季節、バニラの花が咲き乱れる王宮の、南離宮に向かう花回廊。

 甘いバニラの香りの中に永遠少女のあなたは、飾りを一切排したふわふわのJSKをパニエで膨らませて、甘いバニラのふわふわ様でありました。

 この花回廊は本来なら近衛兵に守られつつ、侍女たちとティータイムをお楽しみになられ、行水をして身を清め、そのままのお姿で瞑想に没入出来る幸せな場所でありました。

 あなたは王子様と侍女に行水の許可を得て、JSKを侍女に渡されました。

 あなたのパニエは侍女に「城下ではオーバーパンツを履いて行水するのが流行りでございます」と明らかに嘘と分かる進言をしましたが、侍女の許しを得るに至りました。

 パニエは自立するのでテーブルに置かれ、情報分析をしておりました。

 あなたがドロワーズをパニエの上に乗せた時、近衛兵は背を向けておられました。

 あなたは震えておりました。

 オーバーパンツはといえば、花回廊の姫君を守る役目が自分になり、とても光栄に思い、張り切っておりました。

 あなたがお美しい裸身をご披露して下さっている間に、侍女は王子様のジェノサイド国家のありようを探る事が出来ました。

 無神論国家のありようも、父王からの諜報依頼に含まれておりました故、王子様自身の考えを探るべく、あなたは王子様をお連れして、海のように青い大理石の行水風呂の縁に腰掛けると、王子様は肩の触れ合うくらいの距離感に腰掛けられました。


 何故か夏にも流行る感染症が、大陸の化学兵器であるかどうか、それが世界金融資本のグローバリストたちの支援を受けたかどうか、もう一つの大陸の大統領選挙のP州で、百万票をゆうに超える不正選挙との関わりなど、仔細は侍女が諜報済みでありました。

 そんな中、大陸の王子が実権を握り始めた国際情勢を、今後を占う諜報活動が必要とされました。

 王子様は自国の子供達の教育に言及する折に「乳飲子とは乳から赤血球を抜いた血液を吸う吸血鬼だ」と申されました。

 数多の宇宙で諜報活動した転生をお持ちのあなたは、そんな時でも分かっておりました。

 近衛兵の殿方が南の大階段に歩き始めてしまったことを。


 しばらくして、大陸の視察団の方々が王宮より出てまいりました。

 王子様のお付きの方々が視察終了の刻限を告げ、王子様は花回廊の姫君に挨拶もなく、王宮の北の要塞に向かわれました。


 あなたの父王も知らない秘密•••


 あなたが近衛兵の殿方を好きになってしまったこと。

 その近衛兵があなたとあなたの侍女の、元老院最高指導者でありまする、村娘7に敬礼している事をでございます。


 大人になっても消えない魔法

 あなたと共に歩む服

 永遠少女のあなたへ

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