【短編小説】生ける死体

夏夜 夢

生ける死体


  一


 叔父からその手紙が届いたのは、彼岸の頃だった。

 家に帰ると見慣れない封筒が届いており、私は買ってきた惣菜の入ったビニール袋を机に置いて、差出人を確認してみて驚いた。

 叔父とはだいぶ前から疎遠になっており、何の連絡も取っていなかったからである。とりあえず封を開けてみると何枚かの手紙と鍵が入っていた。鍵には古びたナンバープレートが付いており、どこかのロッカーの鍵のようだった。なんだか嫌な予感がしたが、手紙を開いてみると一行目には「遺書」と書かれていた。


「この手紙をお前に出すのは、俺のことを理解できるのはお前だけだと思ったからだ。だからどうか最後まで俺の指示に従ってほしい。理由は順を追って明かしていくことにする。まずはその鍵で指定のロッカーを開けてもらいたい。最後まで読めば場所の見当はつくはずだ。


 俺は子供のころから、ずっと独りで生きてきた。妹ばかり可愛がる両親には相手にされなかったし、唯一優しかった祖父は俺が中学生の時、病死した。そんな両親に認めてほしくて頑張って勉強した結果、医学部に入った俺はあることに気が付いた。それは解剖の実習で現れた一人の美しい死体を前にして、自分の欲望がふつふつと湧いてくる感覚。それはまさに恋だった。寝ても覚めても彼女のことを考えていた。だけど所詮は死体。俺の恋は元々終わっていたんだ。

 俺ももちろん正常じゃないことくらいはわかっていた。寂しさを埋めようとちゃんとした女性とも付き合った。だけど、生きた人間というのは俺の話を最後まで聞かないことがあったり、一緒に居てほしい時に居てくれなかったり、挙句の果てには他の男に乗り換えたり、とにかく生きた人間は信用できない。最後は必ず俺を裏切るんだって思った。

 俺は女と別れた後、お前の家の近くのD駅前に引っ越して新しい生活を始めた。だが俺は、寂しさを埋めるために様々な手段に手を染めるようになる」


 叔父さんの手紙はここで終わっていた。

 あまりにも叔父さんのことを知らなかった、いや知るはずもなかった事実を知らされて、私はしばらく手紙を読み返した。中学生の時に大好きな父を亡くした私は叔父さんに自分を重ねてしまっていた。叔父さんは頭が良いから医者になれたけど、私は写真で食べていくので精一杯。いや、正確にはまだ写真一本では生活できていない。そんな私を母はまだ認めてくれていない。常に心に差す影は痛いほど理解できた。叔父さんの身に何があって遺書を書いたのかはまだわからないが、とにかくこの手紙に従ってロッカーを探して、次の手紙を早く読みたいと思った。だけど叔父さんはどうして理解できるのは私だけなんて思ったんだろう。孤独感という点においてだろうか。

 私は机に置かれた一眼レフを手に取り、データを見返した。そこには死体のように血のりだらけで倒れた女性、非常によくできた生首、殺人鬼を装いチェーンソーを振りかざす男性。先日頼まれたコスプレサークルの撮影会の仕事だ。人を殺すというのはどんな気持ちなのだろう。そしてその死体を愛するというのはどういう感情なのだろう。

 私は背中にじんわりと汗をかきながら、買ってきた惣菜の中に冷凍食品があることを思い出した。


   二


 次の日、私はD駅にロッカーを探しに行った。送られてきた鍵はだいぶ年季が入っていたので古いロッカーを探していると、目立たないところにひっそりと佇む錆び付いたロッカーを見つけた。ナンバープレートの番号の場所は鍵が刺さっておらず、恐る恐る鍵を差し込むとガチャリと音を立てて開いた。

 中を見るとまた封筒が入っていた。ひとまず家に戻り封を開けると、前回のような手紙とカードが入っていた。どうやら定期券のようでD駅と私の実家の最寄り駅の区間が印字されていた。次は母の住む実家に向かうのだろうかと予想しながら、手紙を読むことにした。


「手紙を見つけてくれてありがとう。勘の良いお前なら、次はどこに向かうのかわかったことだろう。よく周りを見て、そのカードを使って次の手紙も探してみてほしい。困ったら1番を選ぶと良い。早く見つかることを祈っている。前回、”お前は俺のことを理解できる”といったのが何故か、この手紙を読んでくれればわかると思う。


 俺は再び孤独になった後、その穴を埋めることに憑りつかれていた。

 見ず知らずの人間を家に招くのはさほど難しいことじゃなかった。今の時代、ネットを介せばあらゆる人間が孤独に飢えていることがわかるはずだ。そういう人間は他人にでも自分の内側をさらけ出すんだ。俺が口からスラスラと嘘吹けば、みんな疑いもせず俺の言うことを信じたよ。だけど一緒に居て、話すだけじゃ孤独は埋められない。何人かはその先を求めてきたが、俺は生きている人間に興味はない。あいつらは未完成だ。全く美しくない。だから俺が完璧にしてあげたんだ。

 それから俺は何度か、家に招いた人間を殺した。その時の充実した気持ちは、言葉では言い表せない。上手く家に誘い、殺しては充実感に浸った。その人間を全て支配した気分。そして俺を絶対に拒まない、全てを受け入れてくれる存在を手に入れた。だが人間の腐敗というのは思いのほか早いもんだ。数日で俺はまた孤独に苛まれた。俺は医学を志した経験を生かして、何人かに死体を保存する技術すなわちエンバーミングを施した。しかし俺の技術では最初は三日程度が限界だった。俺は自分の孤独が怖かったんだ。だから少しでも長く完璧な死体と一緒に居たかった。俺はこのエンバーミングという処置を、より高度におこなうために試行錯誤を重ねていた。

 ある日、ネットで誘い出したその女は今まで誘い出した誰よりも身なりが美しく、清楚で貴婦人のように輝いていた。なのに内面は氷のように堅く冷たく閉ざされて、酷くやつれていた。一緒に死のうと言われて、訳を訊くと彼女は自身の闇をさらけ出した。俺は彼女のどうしようもない人生に、初めて同情というものを感じた。そして俺と同じ匂いに惹かれたんだ。彼女は都会からは少し外れた場所に屋敷を持っていた。そこで浮気した夫を殺し、庭に埋めたと淡々と語った。彼女は話しながら自分の震える手を見つめて、洗い流したはずの夫の血を思い出していたのだろう。俺はその手を握り、一緒に生きようと提案した。自分でも思ってもみなかったが、彼女は実質生気をなくした死人のようだったからかもしれない。初めて生きた人間をいとおしく思えた。

 彼女は独りで死ぬ勇気がなく、一緒に死んでくれる人間を探していたが、俺が彼女を必要としていることが伝わると心を許したようだった。俺はその後、彼女の屋敷で一緒に暮らすようになった。俺は彼女を愛していたし、彼女も俺のことを愛してくれていたが、庭に埋まる夫のことは錆びた釘のように片時も忘れられないようだった。時折彼女は部屋の窓から見える庭を眺めては、声も出さず表情も変えずにただ涙が流れる人形のようになっていることがあった。

 俺は孤独ではなくなったが、彼女は己の罪に怯えて生きていた。重い十字架を俺が取り払えれば。自分が代わりにその十字架を背負えればと何度も思った。ある日、俺にひとつの考えが生まれた。錆びた釘というのはなかなか抜くことができないが、抜こうとするのではなく、もう一度打ち付けることにより簡単に抜くことができるのだ」


 叔父さんの手紙を読んだ後、私はしばらく動けなかった。あの叔父さんが人を殺している。しかも、何人も。

 私はまず警察に通報するために携帯を手にしたが、手を止めた。もし通報したとして私の人生はどうなる? 殺人犯が身内に出たとなると、今ある職を失くすのではないか、友人や母はどうなる。それに証拠がない。この手紙だけではまだイタズラという可能性もある。いや、そうであってほしい。

 私は叔父さんのことは理解できない。こんな手紙を読んでも、私は叔父さんが恐ろしいだけ。でも叔父さんの身に何が起こったのかは見届けたい。ここまで来たらその義務が私にはあるような気がして次の日、定期を使い電車に乗った。


   三


 電車を降りると、日曜ということもあり人が多かった。車内でもう一度手紙を読み返したとき、次の手紙のヒントとなる文章に「よく周りを見て定期券を使え」と書かれていたのがどうにも引っかかった。1番というのも重要なヒントだろう。ひとまず駅の中や周辺を一周してみようと思ったとき、近くから若い女性の声が聞こえた。

「あ!こんなん出来たんだー」

「そうそう、ちょっと都会っぽくない?」

 女性二人が話しているのは新しいロッカーの前だった。どうやらICカードが鍵の代わりになり精算もできるロッカーを初めて見た様子だ。あんなのもう当たり前なのにな、と思ったがそこで手紙のこと思い出した。もしこの定期券のICカード機能でロッカーを使用していたら…そう考えて私は確認のため精算をしてみることにした。

 精算には使っているロッカーの番号が必要となったが、1番を選ぶとすんなりと開けることができた。そこにはまた封筒が入っていた。回収後、私はなんとなく人目を気にしつつ、とりあえず母の実家へと向かった。

 久しぶりに訪れた実家は、年老いた母では掃除が行き届かなくなっていた。至るところに小さな蜘蛛の巣があったが敢えて指摘はしなかった。母はいきなり来たことに口では怒りながらもお茶やお菓子でもてなしてくれた。相変わらず仕事の心配をしてきて、うんざりしたが私が聞く耳を持たないと知るとようやく溜息をついて洗濯ものを畳み始めた。いきなり叔父さんについて訊いたら驚くだろうし、何か勘付かれたら…と思ったが一応訊いておきたかったので重たい口を開くことにした。

「ねえ、最近叔父さんと連絡取ってない?」

 母は叔父さんと聞いた瞬間、一瞬止まったように見えた。

「なによ、いきなり」

「いや、ちょっと気になって」

「あんた何か言われたの?」

「いや、何も言われてないけど。最近全然話聞かないから、どうしてるのかなって。母さんこそ何かあったの?」

「ついこないだ来たの。すぐ帰ったけどね」

「会ったの?!」

「いきなり来たからびっくりしちゃったけど。少しお茶して話しただけよ」

「元気だったの?」

「それが何だか浮かない顔してて、そわそわしてるっていうかなんだか変だったわ」

 叔父さんの様子がおかしい理由はわかっていたが、母に悟られないようにして会話を終わらせたあと、私は家を出たときからそのままにされた自分の部屋へ上がり手紙を読むことにした。封筒の中には、手紙と鍵が入っていた。


「最後の手紙を見つけてくれてありがとう。これを読んでいるということは、もうあの納屋に近いということだね。お前は知っていると思うが、俺の父(すなわちお前の祖父)は画家で、絵画教室をおこなうアトリエを持っていた。父が歳を取り教室を閉めてからは誰も使っていないので、最近はボロボロの物置と化している。

 ずばり言うと、同封した鍵はそのアトリエの鍵だ。お前に見てほしいものがアトリエにある。俺は医者として生きてきたから芸術のセンスに自信はないが、お前の写真家の目から見て評価してもらいたい。俺の最初で最後の作品だ。

 前回の手紙の続きと作品の経緯を綴って、この遺書は終わりにする。これを読むころには俺はもう死んでいると思う。

 今まで本当にありがとう。


 俺が彼女の〝夫への執着心〟を消すためにとった行動は、彼女にまた人を殺めさせるというものであった。彼女には俺がしてきたことを包み隠さず話した。始めは恐怖が見えたが、彼女は次第に自分も同じように人の命を奪ったという自己嫌悪に溺れた。しかし俺は彼女に、その闇から抜け出す方法を教えた。昔と同じように人間をおびき出して命を奪う。その時の背徳感、高揚感、満たされる感覚。俺はこの麻薬のような悪いクスリを手に入れる方法を彼女に教えてしまった。

 しかしそのクスリがもたらした結果は想像以上であった。彼女は衝動的にではなく、今からこの人間を仕留めるという気持ちで人を殺したことがなかったから、一人目はとても手こずった。だが何回も罪を重ねていくうちに、彼女の情緒は段々と壊れていった。そりゃそうだ。人を殺すなんて普通じゃないからね。俺はあくまでその人を完璧に、より美しくするために殺めていたから、彼女の苦悩は理解してあげられなかったが、彼女はやがて何が悪いのか、誰が正しいのか、考えることを辞めて感情を失った。俺は慣れた手つきで人を殺めて処理する彼女を見て、ふと彼女は本当の意味でもう死んでしまったのだと理解した。彼女は俺の理想とする完璧な生ける死体になったのだ。

 俺はその頃には一流のエンバーマーとして、損壊した死体でもまるで眠っているかのように保存する技術を手に入れていた。人を完璧にする作業。それはまるで神になったような気分で、なんとも言葉にしがたい高揚感だ。

 その日も仕留めた人間を慣れた手つきで施術していた。まずは血を抜いて、そして保存液を代わりに入れる。着色も完璧だ。この美しい肌によく映えるだろう。顔にも薄化粧するためにチークをのせなくては。さて何色にしようか?

『私の生きる意味はなに?』

 その時、作業場に入ってきた彼女は突然俺にこう訊いた。

『いたのか、今日の出来はとてもいいよ。君がうまく仕留めてくれたおかげさ』

 彼女は俺に悲しい目を向けた。

『君は完璧だ。俺の理想とする最高の女性だよ。君がいないと俺は生きていけない』

 俺は彼女を抱きしめたが、彼女が腕を回すことはなかった。まるで人形のようだった。

 俺の孤独は彼女で満たされていたが、だが彼女は何も満たされていなかったんだ。俺は彼女に、生きた死体でいてもらうために彼女に殺人をさせていたのだと思う。

 次の日、窓から見えた雪を教えてあげようと思い、彼女の部屋へ行くと椅子に座ったまま動かなくなっていた。大量の睡眠薬を撒き散らしていたのが積もり始めた雪のようで、それは俺が殺人を犯すために使う強い作用の睡眠薬で、大量に飲めば死んでしまうことを彼女も知っているはずだった。しかし眠るように呼吸をやめた彼女は今まで見たどの彼女より綺麗で、見惚れてしまうほどであった。そして俺はこの美しい作品をもっともっとより綺麗にしたいと思い、腐敗を遅らせる処置をおこない、アトリエへ向かうことにした。

 今思えば、俺は彼女と出会うために生まれてきたんだと思う。彼女を完璧な作品にするために。そしてそれまでの犠牲を無駄だとは思わない。全てはこの最高の作品のために必要だったんだ。だが俺は神ではない。この作品はいつか朽ち果てるだろう。俺はそれを見ることは耐えられない。だからどうかお前の力を貸してくれないだろうか。彼女を永遠に作品として遺しておくために。


                  この作品は家族と敬愛するミレイに捧げる」


 手紙を読んだ後、私は自室で高鳴る鼓動を聴きながらじっとりと汗をかいていた。私は今から間違いなく叔父さんの作品を見ることになるだろう。そして、それはおそらく叔父さんにしか作り得なかった作品だ。叔父さんが私にしか理解できないといった意味がようやくわかってきたような気がしていた。こんな事態になっても私は、その作品を見たいと思っている。そしてその作品がどれほど美しいのか、この目で確かめたい。フィルムに収めたいとさえ思っている。叔父さんは作品を写真に収めて、永遠に遺したいんだ。

 だがそんなこと私にできるだろうか。相手は死体だ。私にシャッターを切る勇気があるだろうか。私は不安と期待で入り混じっていたが、気付けば愛用するカメラを手に、アトリエへと向かっていた。


   四


 実家の裏から山へ向かう小道を進んでいると、両脇に彼岸花がびっしりと咲いていた。彼岸花は茎や球根に毒があるとされて、墓の周りに咲いていることが多いんだったっけ。そこはまるで墓場のようにしんとしていて、不気味なのに聖域のような雰囲気があった。アトリエには初めて来たのに何故か懐かしい気持ちになった。

 扉の鍵は錆び付いた南京錠だった。鍵を開けて中へ入るとひんやりとしていて、古い床をギィっと軋ませながらゆっくり進むとテーブルがあり、その奥はカーテンで仕切られて見えないようになっていた。壁には祖父の描いた絵画が飾ってあり、テーブルには埃が積もっていて様々な書類が置きっぱなしになっていた。絵画の技法に関する本や有名な画集などが積んであり、長く動かされていないようだった。

 私は意を決して、カーテンの方へ近づいた。何かあることは確かだが、開けるのはとても怖かった。カーテンに近づくほど、ひんやりとしている気がした。私はカーテンの端からゆっくりと中へ入った。

 そこにはこれまで見たこともないほど美しい女性が眠りについていた。女性は棺桶のようなものに入ってはいたが、その棺桶から

は青々とした草花が零れ出ていて、まるで棺桶の底から女性を押し出すように茂っていた。すごい生命力を感じるせいだろうか、女性がいまにも起きてしまいそうで私はなるべく音をたてないように彼女をよく見た。中世のヨーロッパを思わせるような服装に美しく流れるブロンドの髪。長いまつ毛に血色のいい頬、少しだけ開いた口からは呼吸音は無い。両腕は少し曲げて外側に開いていた。

 腹のあたりにポストカードくらいの紙が置いてあり、手に取ると裏には彼女とよく似た絵画が印刷されていた。下に小さく印字された英語はどうやらオフィーリアと書いてあるようだった。森の小川で沈みゆく女性が描かれていたがその空気、ニュアンスが非常に目の前の作品と似ていて、これはこの作品へのオマージュなのだとわかった。

 私は叔父さんの言う〝完璧な生ける死体〟の魅力をはっきりと理解した。もしもここに祖父がいたならばこのアトリエでこの女性を描くことだろう。芸術家は美しいものを前にして溢れ出る創作意欲を抑えることは出来ない生き物だ。それと同じ気持ちで私はいま、写真を撮っている。何枚も何枚も止めどなく。日が暮れるまで撮り続けた。


 それから私は奥の部屋でエンバーミングに必要な機器と処置の方法が事細かに綴られたノートを発見した。

 叔父さんはこのアトリエにはおらず、遺書を残して消息不明となった。私は叔父が本当に死んだのか疑問に思う。こんなにも苦労して創り上げた作品の完成を待たずして、死ぬなんてことありえないと思ったからだ。

 それから数か月後、私は一躍時の人となっていた。SNSで作品が評価され、名前を多くの人に知ってもらえたのだ。あまりの美しさからテレビでも取り上げられて、このモデルは一体誰なのかという質問を受けた。

「彼女は叔父の知り合いで、言葉を交わしたことはありません。しかし、まさに生ける死体のような人でした」


私はさらなる新しい作品を求めている。

今日で何人目かわからないが、だいぶこの作業にも慣れてきたよ。

陶器のように美しい肌の彼女は朽ちた花に囲まれながら、今にも開きそうな瞼を開くまいとしていた。


                               END

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【短編小説】生ける死体 夏夜 夢 @yume_natsuya

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