異世界短歌Project~勇者のいなくなった世界で~

辻原僚

討伐隊

――神はなぜ竜種を創られたのか?


見上げれば翼をたたむ怪物キマイラわらっただろう?女神のように 



赤曇り ひくい地鳴りを引き付けて雲のむこうへ鳥影はゆく



大盾をいざ構えつつ廃村をうごめくばかり大量発生スタンピード



若いほど憎悪にもろく少年の祈りを召喚獣は見かぎる



騎士なんて辞めてしまえよ 小鬼ゴブリンの血を切り出して失せる風の矢



にんげんが長い時間であることをかれてあぶられて試される



黒煙に満たされたころ血をたどりそらから降りてくる赤竜は



夜と夜の繋ぎ目として彩光の息吹ブレスは焼いた臭いがしない



けだるげに両手を伸ばす形して騎士たちは不完全に焦げ付く



ほつほつと火の粉は土地を焼きながらこの世の終わりにはほど遠く

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