地下鉄電車の中で
れき
第1話
窓の外には暗闇を演じるトンネルの壁が続き、窓はそれを延々と映し続ける。電車の床は小豆色で、使い込まれた座席は色褪せた赤がある。
少し前まで多くの人で混雑していた地下鉄電車の中は自分一人を残してすべての人が消えていた。
最前車両の方から轟音が響いてくる。その音はゆっくりとこちら側に近づいてきていて、いずれ辿り着くだろう。開閉扉にもたれて立っていた自分は轟音と反対方向に走り出す。
最後方の車両の壁を叩く。叩くガラスの先には運転席があり、何やら沢山の盤面と隅には運転手の帽子とコートが掛けてある。電車は走り続けている。
直ぐそこで轟音が鳴る。後ろを向くと車両間を隔てる扉をこじ開けて、こちらの車両に侵入しようとする怪物がいた。
怪物は扉に顔を突っ込みこちら側に来ようと首を伸ばしている。体が大きいため通れないようだ。
目覚めると元いた座席に座っている。電車内は混雑していて、人が群がりうっとおしい。
地下鉄電車の中で れき @reki_zero
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます