罰として妹の部屋で過ごすことになった俺ですが、快適なので離れたくありません

あかせ

高校生編(翔 高2 美咲 高1)

第1章 罰が妹の友達にバレるまで

罰なのかご褒美なのか…?

 俺は覚悟を決めてから自分の部屋を出て、リビングを目指す。

母さんに怒られることはわかっているんだ。覚悟ぐらい決めるよな。


俺は生活習慣が良くない。夜更かしは当たり前だから、遅刻もかなりする。

宿題の提出率もイマイチだ。体感6割ぐらい?


授業中も寝ることが多いな。怖い先生の時は起きてるが、そうじゃない時は…。


そんな訳で成績は当然よろしくない。自業自得だがな。


それらを三者面談で担任に指摘された母さんは、家に帰ってから俺を叱った。

悪いとは思うが、行動を変える気はないので適当に答えておく…。


今日の遅刻をきっかけに、母さんの堪忍袋の緒が切れたようだ。

ついさっきリビングに来るように言われ、現在に至る…。



 リビングに向かうと、ダイニングテーブルについている母さん。

…思った通り、めちゃくちゃ怖い顔してるぜ。


あれ? 何で妹の美咲みさきも座ってるんだ?

鬼のような顔をしている母さんがそばにいれば、普通自分の部屋に逃げるよな?


俺は母さんの前で美咲の横に座る。


しょう…。あんたいい加減にしなさいよね!!」


母さんが言った事を無視し続けた結果だから、激怒するのは当然だ。


「まったく…。美咲は真面目なのに、どうしてあんたは…」


妹の美咲は、俺より1歳下の高1だ。

優秀な成績だし、皆勤賞をとったことがある。俺とは正反対の妹だ。


「どうしたら、あんたを真面目にできるのかしら…?」

母さんは腕を組んで考えている。


仮に母さんの言う事を聞いたとしても、長続きするとは思えない。

三日坊主で終わることは、目に見えている。


「…そうだわ。翔を美咲と一緒に生活させれば、矯正できるかも?」

母さんがつぶやく。


生活って何だ? 今も同じ家に住んでるじゃないか…。


「お母さん。それって、お兄ちゃんを私の部屋で過ごさせるって事?」


「そういう事。さすが美咲ね。理解が早くて助かるわ」


「おい! 何言ってるんだよ!?」


俺が美咲の部屋で過ごすだと?

兄妹とはいえ、年頃の男女を同じ部屋にするなんて…。


「翔。あんたに口答えする権利はないの。大人しくしなさい!」


「そうだけどさ…。美咲が大迷惑だろ!」

母さんの一方的な命令で、俺を押し付けられるんだぞ。


美咲のプライベートがなくなるじゃないか!


もし俺と美咲の立場が逆だったとしたら、俺は受けないだろう。

…そう思う俺はおかしくないよな?


「良いよ。お兄ちゃんが私の部屋で過ごしても」


「美咲。正気か!?」

美咲が得することが1つもないんだから、受ける必要なんてないはず。


「もちろん正気だよ」


美咲が許可した以上、この方針は決定されたな…。


「本当に美咲は良い子ね」

母さんは安堵した様子だ。


「…言い忘れてたわ。美咲が翔に合わせちゃダメよ。翔が美咲に合わせるの。良いわね?」


母さんが俺と美咲を見る。


「わかってるよ」

今回ばかりは、真面目にしたほうが良さそうだ。


「大丈夫だよ、お母さん。心配しないで」


「美咲がそう言ってくれるなら安心ね」


言い終わった後、母さんは立ち上がった。


「これから夕飯の準備するから、この話は終わりね。後は美咲に任せるわ」


「うん。わかった」


美咲の返事を聴いた後、母さんはキッチンに向かった。


「お兄ちゃん、話の続きは私の部屋でしよ」

美咲も立ち上がりリビングを出ようとするので、俺も付いていく…。

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