学園潜入作戦(準備編)

さて、

ライナから聞いた『学園都市スタディアス』

に有する

『学園スタディ アカデミー』

について語ろうと思う。

ライナが、かつて通ってた王国学園と並ぶレベルの高い学園だ

しかし…、

レベルが高いのにも関わらず校風は自由、しかも編入試験さえクリアすればどんな人でも、

例え王族だろうと、

人種でなかろうと編入オッケーらしい…、

要は勉強さえ、できればいいと言うシステムの学園だ…。

俺の世界の学校でも早々無いぞ…?

やっぱり、この世界は異世界なんだなぁ…。

…と説明した所で…、

作戦準備の流れは以下の通りだ。

『その1.潜入する為の制服の調達』

これは俺の役目だ。

そして

『その2.編入試験申込用紙の調達』

これはライナの役目だ。

ライナと共にグリフォンに乗り込み学園都市スタディアスへと向かう。

そうして何十分と経過したか…、

気が付いた時にはその都市へと着いていた。

そして学園都市前に俺達は降り立ち、

別れて、

行動を開始するのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー※ライナ視点


さてと…、未知に制服の情報は教えたから、

私は編入試験の申込用紙を取ってくるだけね…。

だけど…、

この学園都市…王国の学園の行事で来た事はあるけど…変わらないなぁ…。

私は王国での学生時代を思いだしつつ…、

学園の門をくぐり抜けようとした…、

その時後ろから懐かしい親友の声に呼び止められた。

「ライナっ!!ライナよね!?」

その声の主へと振り返ると、

白い肌で水色の長髪のエルフが立っていた。

赤い眼鏡をしているが間違い無い…、

学生時代の親友だ…。

名はシスティーナ。

良く学生時代は仲良く勉強したり遊び歩いた、

王族の私に分け隔て無く接してくれた唯一無二の親友だ…。

私は思いがけない再会に涙を流しシスティーナに抱きつく…。

「ああ…システィ…!システィ…!」

システィーナは驚いた様子だが、私は構わず親友の胸で泣く…。

暫く泣いた後はシスティーナにここで何をしているのか聞いた…、

聞けばシスティーナは王国の学園を卒業後、ここで教師として教鞭を取っているらしい…。

「ところで貴女…!王国を追われたって噂…、ほんとなのっ!?」

システィーナの情報網の早さは何十年経っても衰えていないらしい…。

「うん…、1年間家出したせいかな…お父様に『ここにお前の居場所は無い』って言われちゃった…」

私は涙を浮かべ強がるように微笑む。

「ライナ…今まで辛かったわね…でも…1年間もどこにいたの…?」

最も気になる事であろう質問を私に投げられた。

それに精一杯の笑顔を見せながら…、

「異世界の英雄様に助けられたの…!」

こう答える。

システィは困惑していたが…構わずこれまでの経緯を語る。

語り終えた頃にはシスティは感動した様子で涙を流しながら、

「分がだっ!!私も貴女ど貴女を救っでぐれだ英雄様どやらに協力ずるっ!!」

思いがけない協力者が出来たところでここの現教師システィに編入試験の用紙をくれるように頼んだ、

するとシスティは素早く学園内へとダッシュして編入試験の申込用紙を手渡してきた。

そうして私の役目は果たし…、

未知と合流する事にするのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方、同時刻…。

※未知視点


さて、ライナの言う通り、それらしい学生服が展示されているお店に突入したらビンゴっ!!

しかし…、

色んなサイズが多くあり中には人間用じゃないサイズの制服もあった…。

人種以外も通うってのは本当らしいな…。

後は…教科書全部と筆記用具だな…。

二人分買って、と…。

しかし……教科書はまだ時期尚早な気がするがなぁ…?

ともあれ学園には必ず入らなければならないし、いいか…、

俺は目的の教科書全般と制服を買い、

それを大きなリュックに詰め込み、

ライナと合流する事にする。

しかし…、

学園都市スタディアスか…。

広いし学園は大きいし…、

都市の中心には、

風情ある大きな噴水広場もある…。

因みに、

合流地点はその噴水広場に指定している。

俺はリュックを背負いながら噴水広場を目指した。

………………………

そうして噴水広場が見えて来た。

そこにはライナともう1人いる…?

あれは誰だろうか…?

「未知ー!!ここですよー!!」

俺を見つけたライナが手を振って俺を呼ぶ。

俺はそれに応えるように手を振り返し、

そこへと足早に向かう。

……………………

そうして俺はライナと合流し、

リュックから目的の制服を取り出し、

見せる、

「これでいいのか?」

制服を見たライナは…、

「はいっ!」

と満面の笑みを見せながら返事をする。

かわいい…、

ライナの言葉を借りるなら『死んでもいいわ』…////

その満面の笑みに思わず表情が緩む、

と…、そんな俺達の様子を脇からじーっと見る者が…、

その視線に耐えかねた俺はライナに尋ねる、

「えーとさ…?ライナさん…?この眼鏡エルフらしい、このお嬢様は一体…?」

するとエルフ耳の女性は、

ライナに劣らない豊かな胸を張り掛けている眼鏡を直しながら、

口を開く、

「よくぞ聞いてくれました!!私はここの学園の教師してますシスティーナと申します!」

それに付け足すようにライナが、

横から口を開く、

「えっと…彼女はシスティーナと言って私の学生時代の親友なんです…」

そして俺が口を開こうとしたら、

システィーナが追撃するように口を開く…、

「ち・な・み・に!!ここの学園の教師を務めています!お見知り置きを!!親友を救った英雄さんっ!!」

俺は、

そんなシスティーナの元気さに気圧されながら…、尋ねようと口を開く、

「あー…と、システィーナさん…?」

するとシスティーナは、

ずいっと…身を乗り出すように俺に近づく。

「システィ…!!未知が困ってるでしょっ!!」

ライナが、怒りながら、

俺からシスティーナを引きはがす。

俺は一息つきながら、

システィーナに尋ねる、

「えーと…ライナの親友で教師のシスティーナさんは、何でここに…?」

するとシスティーナは、人差し指を振りながら

「親友から事情を聞きまして私も親友を救った英雄さんに協力しようと思った次第ですよっ!」

なるほどな…。

しかも学園関係者か…、

これは…後々作戦が有利になるな…。

…と、

次の瞬間、システィーナが口を開く、

「しかし…親友を助けたって英雄様がこんな女性とは…♪」

システィーナはブツブツ呟きながら俺をあらゆる角度から品定めするように見つめる…。

そんなじろじろと見て、俺が珍しいのか…?

「えっと…幻滅したか…?」

俺は耐え切れなくなって尋ねる、

するとシスティーナは、嬉しそうに答える

「まさか!どこの馬の骨とも知らない男なんかよりも断然いいですよ!!でも…、その口調はいかがなものかと…」

最後の失礼な一文が無ければ素直に喜んだのに…、

俺は突っ込むように怒鳴る、

「放っとけっ!!!!」

前々から思ったが、

この世界の女性は男が嫌いなのか…?

まぁ…、俺も異性には興味なかったから人の事言えないけどさ…。

俺がもしも男だったらきっと嫌われただろうな…。

そうしたやり取りを続けていると、

不意にライナが、

「あの…、そろそろ話を戻していいですか…?」

ライナが話の脱線を直そうと口を開く。

「…と、そうそう!作戦の話よっ!!」

「ああ…、そうだな…」

俺とシスティーナは同意するように頷く。

ふと、始めに思い付いた事を話す

「教師であるシスティーナが図書室から持ち出すのは…?」

するとシスティーナが

「それは無理です…、図書室の本は学園の備品でもありますから持ち出しも借り出しも原則禁止なんです…それに1教師として、いくら親友と英雄様のお願いでも聞けません…」

悪い事を話したな…。

「悪いな…?言ってみただけだから…、本気にしないでくれ…」

然し…、借り出しも許可しないとは…、

そこまで厳重なのか…。

やっぱり正攻法で編入試験をクリアして、

潜入するしかないか…。

意を決して、

俺は、次のようにお願いする、

「なら俺達に勉強を教えてくれないか…?」

…すると、システィーナは、

「はいっ!!作戦成功の為に、試験合格まで、2人に付き合いますよ!!」

眼鏡をクイッと直しながらドヤ顔をするシスティーナ。

本当に頼もしいな…。

…………………

さて、

場所を変えて近くの宿屋一泊しつつ勉強をする事になった俺達。

勉強方法は至ってシンプルで、

システィーナが用意した、

ここ最近頻繁に出た、という、

過去問をひたすらに解くというモノだ…。

幸いにも編入試験までは時間がある、

急ぐ程でもないから1夜漬けの必要もない。

何より…、

現教師と

王国学園を卒業した優等生ライナがいる…。

俺の学生時代に2人がいたら高校も中退する必要も無かったのかな…。

そんな事を思いながらひたすらに過去問を解く…、

時折、システィーナとライナが詳しく教えてくれるので三十路で勉強できない俺には非常に心強い…。

こうして編入試験当日までひたすらに過去問を解く日々を過ごすのだった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る