第32話 限定召喚

俺の新しく手に入れたスキル『限定召喚』それはブリュンヒルデのように常に召喚しているのではなく、少しの間だけスキルをつかってもらうのだ。



「何を召喚するべきか……」


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犬      消費LV3 

悪魔     消費LV10~50  

戦乙女    消費LV15     

英雄     消費LV10~50  

魔王     消費LV99

ケルベロス  消費LV60

リッチ    消費LV30

ファフニール 消費LV65

サハギンロード消費LV15    

???

???

???



ETC

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 残念ながら消費LVは変わらないようである。今のLVでできるのは犬と英雄に悪魔、戦乙女、サハギンロードか……


.-

「今度こそ悪魔を……」

「マスター……」

『きゅーきゅーー!!』



 俺の言葉にブリュンヒルデと蝙蝠が抗議の声を上げる。やっぱりまずいか……セーレが強かったからあんな力があればって思ったんだけどな……

 まだ、俺は悪魔を制御できるほどの力はないようだ。ならばもう、答えは決まっている。



「英雄召喚!!」



 世界が漆黒に包まれると、一枚のカードがその存在を主張するように俺の視界で回転する。そのカードに描かれているは狼の毛皮を身に着けたどこか鋭い目つきの女狩人である。



 俊足の狩人『アタランテ』



 かの魔帝との戦いによって、その俊敏なる足を使い遠距離から悪魔を殺し続けた英雄の一人。脳内に情報が入り込むと同時に世界が歪み始める。

 そして、俺はその名を叫ぶ。



「アタランテよ、我が力となれ!!」



 カードが砕けるとともに目つきの鋭い美少女が、一瞬俺を値踏みするようにして、見てからこくりとうなづくと光の粒子となってカードの中に入っていく。

 ブリュンヒルデの時との違いに驚くも、これが『限定召喚』なのだろう。あくまで呼ばれた時以外は俺とはかかわることないということか。

 そして、意識が元の世界に戻ると少し緊張した様子のブリュンヒルデとアイリスがあたりを見回している。



「マスター!! 敵の気配のようです」

「ゴブリンウィザードに、スケルトンウィザードね!! 私の敵じゃないわ」


 魔法の届く距離まで近づこうとするあわてて二人を制止する。



「ちょっと待ってくれ。せっかくだから、新しい召喚を試してみる!! 『限定召喚 アタランテ』」


 

 俺の体が輝いて、弓を手にした目つきの鋭い少女が描かれたカードを現れて……そしてごそりと精神力が削られていく気がした。

 その感覚と共に目の前に一人の少女が現れる。そして、彼女は何もしゃべることもなく、はるか遠くにいるゴブリンマジシャンをその矢でつらぬき絶命させる。

 そして、一瞬で高所に移動すると今度はスケルトンウィザードの杖を射抜き破壊する。



「魔法の射程距離の外から……」

「あれは……アタランテ……彼女もまた英雄になっていたのですね……」



 驚いている俺たちに彼女は獲物を狩らなくていいのか? とばかりに杖を失って混乱しているスケルトンウィザードを指さして首を傾げ、再び光の粒子へなりカードに戻っていく。

 そして、俺たちは無力化されたスケルトンウィザードを倒して街へと戻るのだった。




「むぅー……確かにアレイスターの召喚はすごいけど、私の出番がなくなっちゃうじゃないの」

「そんなことないって。アタランテの弓はたしかにすごかったけど、攻撃力はそこまでじゃないし、アイリスの力はこれからも必要だよ。な、ブリュンヒルデ」



 不満げにほほを膨らましているアイリスを俺は苦笑しながら宥める。個人的には彼女の力は必須だし、むしろ負担を減らせるので大当たりだと思ったのが当人は複雑なようだ。



「『はい、そうですね……彼女の一撃は主に奇襲です。俊敏な足を活かした一撃は確かに脅威ですが、魔力的な力をもたないため、決定打がないのです。だから、スケルトンウィザードには直接攻撃ではなく、杖を破壊するのだけに収めたのですよ』っていっているぞ」

「ふぅん、私の魔法はやっぱり必要ってわけね」



 街に入ったためカードとなったブリュンヒルデの言葉を通訳してやると、ようやく機嫌がなおったらしく、満面の笑みでアイリスがうなづいた。

 それにしても、本当に英雄に詳しいな。ブリュペディアと呼ぼうかな……


『それって私を馬鹿にしてませんか? マスター?』

「そんなことないって本当に感謝してるんだぞ」


 

 どうやら思考が漏れていたらしく、脳内で突っ込まれてしまった。少し拗ねた様子のブリュンヒルデ謝りながら冒険者ギルドに戻ると、受付にセイロンさんと見慣れない高価そうなローブを身にまとった総連の男性が何やら話していた。



「あ、アレイスターさん、アイリスさんちょうどよかったです。この方がお二人に用があるらしくて……」

「え、一体なんでしょうか?」



 見覚えのない男性からの依頼という事で怪訝に思っていると、一緒にいたアイリスが驚愕の表情で言った。



「そんな……パパがなんでこんなところに……」

「おお、愛しのアイリス!! 会いたかった。お前に朗報だ。お前と婚約したいって人が見つかったんだ。しかも、彼のおかげで魔法を制御する方法も見つかったんだ。もう、冒険者をやらなくてもいいんだよ」

「は? はぁぁぁぁぁぁぁぁ?」



 二人の言葉に俺は思わず絶叫するのだった。

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