第1話 砂漠

トラップ。野党がよくやる手口だが、狩人と呼ばれる民族が仕掛けるトラップもある。砂漠でよくあるトラップは2つ。一つは地雷。生産が用意で民族でも簡単に掻き集められる。


そしてもう一つが生体地雷だ。


これはその場で爆発はせず、敵対的な生物が寄ってくる性質を持つ特殊な液体を噴出し、ただ殺す事だけを目的とする極めて凶悪な地雷だ。


それに引っ掛かれば最後。周りを巻き込んで死ぬ。


対処法は3つ。自滅するか、隠れるか、勝つか。


トラックが無くなっては帰る燃料が無い。選択肢は残り一つ。


勝つ以外道は無い。


鏡でこちらに誘導し、来てるのを確認したらバイクから銃を展開する。


装甲板を取り外し展開。弾倉を剥がし銃にセット。


砂漠は太陽の熱の影響で空間がネジ曲がるように見える。


スコープを透過音響システムに切り替え表示されるのを待つ。


「28……47……83……100」


トラックと後ろの化け物が見えた。ワームだ。


皮膚の周りを超振動で液化させ泳ぐように襲ってくる。皮膚は硬く生半可な攻撃では傷一つ付かないのは有名だが、超振動を発生させる内蔵の機能に弱点があるのは傭兵なら知ってるだろう。


特殊弾頭高反発反響弾。跳弾を利用する傭兵なら必ず持ってるお高い弾薬。一発約1200円の弾薬だが対ワーム用のお守りとして1弾倉1マグは持っている。


「消費が加速するから使いたくは無いが……仕方無いな」


レバーを引き装填リロードが完了する。


「この距離なら……偏差は必要無いな」


引き金トリガーを引いた。


薬室内の薬莢の中にある火薬に雷管が火を点け、弾頭が薬莢から外れ銃身の中を回りながら銃口から出る。


空中へ放り出された弾頭は空気を引き裂き、音速を超え、トラックの横を掠めながらワームの口の中へと入っていく……すると


バギュー!!


ワームが内部から爆発するようにして倒れた。


内部で超振動を作り出す器官に当たり弾頭との間に生じた強烈な衝撃波が爆発するようにして内蔵を破壊したのだ。


しかし、ワームはまだ生きており、グネグネと動いて地中から脱出しようとする。


だが超振動器官の無い今。奴は砂場のチンアナゴ。袋のミミズである。


「ほっとけば死ぬな、あれは」


トラックが無事にこちらに着いた。すぐさま液体を落としバイクを載せる。


「助かったぜ本当に」


「報酬に色付けてくれりゃあ良いが」


「すまんな。それじゃあ出発するぞ」


トラックにエンジンが掛かる。


これで少しは休める。疲れた身体が睡魔を呼び起こし、落ちるように俺の意識は深い海の底へ沈んでいく……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る