第2話「展開の加速」

「せ、先生、好きです!」



ある女の子による先生への告白が、

この企画の始まりを告げた



自己紹介すらしていない状況で、

クラスみんなの前で先生に告白をするという

本来あり得ない行為



〘今すぐこの場で担任に告白しろ〙



そんな無茶振りをさせる主人がここにいて、

その命令を許可した実行委員会が存在する



"命令"というものが本当に自由であるということを知らしめた。




「ちょっと、いきなり何を言ってるんですか…?」


と戸惑う先生。



「い、い、いや!やっぱりなんでもないです!!」



顔を赤らめて、急いで席に戻る。


その様子にみんなの視線が集まる。




彼女の名前は小笠原渚


なんでも器用にこなすムードメーカー。

だが、おっちょこちょいなところもあり、チャレンジしたらそのまま突き進んでしまう。


そんな彼女だからこそ

この無理難題をやり遂げることができたのだろう。


ただ、


「恥ずかしい〜//だれか助けて〜//」


となってしまった(笑)。





小笠原がなんとか空気を明るくしたものの、



「やばくね?」

「これはまずいぞ、」

「やばいやつ来たらどうすりゃいいんだよ…」



もちろんクラスはざわついている。



従者としての恐怖。


主人としての「何かしなければならないのでは」という焦燥感。



感情が混ざり合って積もる。




「ま、まあ今の出来事は忘れて、改めて楽しいクラスにしていきま…」


〘小笠原に抱きついて〙



「は?」


「なんだこれ…」



〘一分以内に〙



「おい、そんなことしていいわけないだろ、」

「こんな命令通るはずが…」



《命令許可》



「嘘だろ…」



「どうしよう、」

「一分以内…」

「もういいや!」



ある男子生徒が席を立った。


恐る恐る小笠原に近づく。

ただでさえ注目を集めていた小笠原に、



「ごめん小笠原!」


「ひゃっ!」



抱きついてすぐ離れた。




「まじでごめん!」

「いや!大丈夫だよ!」

「ごめん、ありがと…」



このクラスのやばいやつが二人になってしまった。



「くそ!なんだこの企画は…」



彼の名前は遠藤健。


こいつがいれば行事は勝てると言われた熱血ボーイ。

どんな状況でもひっくり返す彼が、このクラスをどうしていくのだろうか。




「このクラスはいきなりハプニングばっかりだなあ〜ハハハ…。それじゃ先生は職員室に戻ります。自由にしていていいぞー。」


先生が教室を出た、



その瞬間、



「何なんだこれは!!」



叫ぶ遠藤。


そして、



「やばいぞこの企画!」

「どうなってるんだ!」




クラスは大混乱を起こしている。

担任の先生にも言ってはいけないというルールがあった以上、20人だけの環境になってようやく心の中に溜まっていた感情を出していた。




「ねえ、私達どうなっちゃうの…」

「渚ちゃん大丈夫…?」

「うん、私は大丈夫!でもこれが続くと思うと怖いよね…」



「遠藤!お前ってやつは積極的だな〜」

「ちょ、あれはまじで違うんだって」

「ほんとか〜??(笑)」

「なんでお前はそんな余裕でいられるんだよ!」



「他のクラスもやってるのか!?」

「おい、お前見てないのか、このクラスだけって…」

「だけど、それが嘘かもしれねえだろ!」


「ちょっと見てくるわ!」

「おい、待て、それなら俺も行く」

「なら、俺にも行かせてくれ」


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