[ドラマ]らんまん
NHK朝の連続テレビ小説らんまん、ちょうど1クールが終わろうとしていて、折り返し地点に来ています。
気がついたのですが、このらんまんの脚本はかなり良くできていると思います。
序盤は主人公の幼少期から始まるのは朝ドラではお約束パターンですが、序盤から主人公と同郷の坂本龍馬がちょい役で出てたり、飽きさせない展開にはなっていて、取り合えずこのまま見てみようと思ったのです。
大人になっても主人公槙野万太郎の周りには、その時の時代を変えた人(坂本龍馬とジョン万次郎以外は元となった人はいるけどオリジナルの役名)が出てきては、万太郎と意気投合して、でも割と早めに去って行きます。
主人公はあくまで植物学者なのであまり深入りしないで、でも確実に時代が変化していることは彼らとの話で肌に感じています。
でも、槙野万太郎は植物の方にどんどんのめり込んでいくのです。
このバランス感がまずうまいです。
そして、万太郎と竹雄が二人で東京に出てからは、明治浪漫の東京で描かれる万太郎と竹雄のブロマンスに落ち着かせています。
朝ドラといえば主婦が朝の支度をしながら片手間に見るというのがメインターゲットでした。今は変わってきているものの、やはり女性層をメインターゲットにしているのは変わっていないものと思われます。
だからこそ今まで女性主人公の一代記に拘っていたのですが、今回は男性主人公となった事で、今まで盲点だった明治浪漫でイケメン二人のブロマンスというWeb小説か漫画の世界を見事に実写化してみせたのです。
そして、1クール中盤あたりからメインヒロインの西村寿恵子が登場。
演じるのは浜辺美波さんという、贅沢なキャスティングです。
既に万太郎と竹雄のコンビがもはや夫婦として見事に成立してしまっているなかに、このヒロインの寿恵子はどう割って入ってくるんだろうと気になっていましたが、寿恵子は寿恵子で、いきなり里見八犬伝を読み散らかして馬琴先生最高!と言っていて、個性的なキャラとして出てきました。
ヒロイン側のドラマでは、なんやかんやあって、ドレスに着飾ってやがて完成する予定の鹿鳴館でダンスを披露することになり、しかも政府の偉い人から妾にならないかと誘われてしまう展開です。
でもヒロイン寿恵子は直向きな性格の万太郎が徐々に気になり、やがて少しずつ惚れていきます。
そう、ヒロイン側のドラマはロマンス小説なのです。
ヒロインの母親は元柳橋の芸者でその後妾として迎え入れられ、やがてヒロインを産んで、その後店を出す費用をもらって独立するという、これまた絶妙な設定です。
そしてついに、ヒロインは鹿鳴館でのダンスを終え、政府の偉い人からの妾の誘いを断って自らの恋愛に生きる事を選択し、ドレスのまま外に飛び出して万太郎に逢いに行くのです。
プロポーズの場面でもなぜか万太郎の草花愛に負けじとヒロインの馬琴先生愛が炸裂したり、一筋縄ではいかない感じです。
そして万太郎の実家に挨拶に行く途中、正式に竹雄から寿恵子に万太郎の助手を任せるとはっきり言い切られます。
おそらく竹雄はこのまま実家に残って姉と結ばれる流れになるような感じですが、視聴者的にも元カノ竹雄から今カノ寿恵子に正式にバトンタッチしてブロマンスからロマンスに気持ちを切り替えれるという展開をちゃんと作ってくれているのです。
あと、朝ドラは朝に見るので朝からあまり重くなりすぎな展開が続くのは嫌われる傾向があるのですが、らんまんは史実を元にしているのでどうしても重くなりがちな時代背景です。
ですが、らんまんは重くなりすぎないところでうまく脚色しているのも流石です。
寿恵子と万太郎は実家に挨拶に帰ったら、実は祖母のタキが病にふせっていると姉に知らされて愕然としたままタキの部屋へ向かいましたが、実際にタキの部屋の襖を開けると、底には凛として佇むタキが待っていました。
おそらく本当はもう長くないはずなのですが、主人公の万太郎にだけはそうとさとられないように精一杯見栄を張っているのだと、視聴者にはわかる展開に胸熱です。
ここが最新話なのでこの先はわかりませんが、ここまでで脚本の出来がかなりいいと感じています。松坂慶子さんの演技もカッコ良いです。
脚本の長田育江さんは、今までドラマの脚本で名前をおみかけする事はなくて知らなかったのですが、Wikiによると井上ひさし先生の個人研修生との事で、演劇の方ではかなりの手腕を発揮されていた方との事でした。なるほど納得です。
らんまんは、史実を元にしているのですが脚色がすごくうまくて、現代的なラノベ感もありつつも時代劇的なコテコテ感もあって、見せ場ではバシッと決めてくれて見てて楽しく、実は脚本の腕がかなり高いのだと思います。
今まで連続ドラマの脚本はあまりされていなかったようですが、正直これから一気に増えるのではないかと思います。これだからNHKは油断できません。
とはいえらんまんもこれから後半。
ブロマンスは終わってこれから万太郎と寿恵子の夫婦編がはじまるのか。
このまま明治浪漫の感じでいくのか、それとも大正、昭和編に行くのか、いい人かと思ってた田辺教授が結構やばそうなのと対比して悪いやつと思ってた助教授実はいい人だったとか色々気になる要素があって、後半も楽しみです。
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