ボルボルボークン

エリー.ファー

ボルボルボークン

 疲れた体に注意力を与える。

 今、ここで人間を作り上げる。

 上昇する心には、赤い気力が必要だろう。

 自己肯定感に憑りつかれた人間の回転数を数えておかなければならない。

 白と黒がある。

 事実は理とが違うのだ。

 忘れてしまえと叫ぶ声が聞こえる。

 勘違いを繰り返していては、いつまで経っても宝石の中に住むことはできない。

 空には赤い案山子が溢れかえっていて、星の語りを真似する三流が溢れている。

 夢を見た。

 遠い北極の夢である。

 いつしか洞窟の中で忘れた光。

 実装されることのない勇気。

 工場の中に放置されている、アルコールランプ。

 決して、私には何も見えない。

 私は何も気づいていない。

 私は私を知っている。

 それだけが唯一の希望ではないか。

 変えてはならない。

 勘違いをしてはならない。

 覚束ない足取りで魅せる。

 君と僕の間にある言葉は絶対を超越している。

 本当だ。嘘じゃない。これは事実だ。夢ではない。現実だ。覚悟が必要だ。明日も。明後日も。来週も。来月も。来年も。来世も。

 お願いだから、感謝をしてくれないか。

 私は、今の私を愛していたいんだ。

 勘違いだけが、私を人間に変えてくれる。

 いずれ、地球の形を褒めたたえるだけの人間になってしまうのだから、今を愛して何が悪い。何もかも忘れて、最高を手に入れたいのだ。

 何が間違いだと言うのだ。

 何を間違いだするのだ。

 何に間違いを与えるのだ。

 何か。

 何かが。

 何もかもか。

 私には、もう。

 何も残っていない。




「あの人は、誰ですか」

「さあ、あなたではない誰かでしょう」

「全く、そう思います」

「非常に喜ばしいことだと思います」

「安心を得るために必要なものは何でしょうか」

「さぁ、分かっていらっしゃるのではありませんか」

「品の良い会話が続いていて嬉しい限りです」

「私もですよ。真夜中の狂い死ぬ蟲のために」

「漆黒の満月のために」




 雪を見ていた。

 囚人たちは地面を見ていた。

 落ち着いた心持ちだった。

 数字が並んでいるせいで、どうしても落ち着いてしまう。

 記号を二つ、いや、三つ。

 いつか、でいいのだ。

 どうか、忘れないでくれ。

 私には未来が見えるのだ。

 過去に縛られてはいないのだ。

 そう、口に出すことで。

 自分を律することばかりに気を取られていた。

 あぁ、また私は私から遠ざかってしまう。

 お願いだから、お願いだから、お願いだから。

 私を一人にしてくれ。

 そして。

 見失ってくれ。




「朝ごはんにマドレーヌが食べたいんだ。あるかい」

「ありませんよ」

「では、何がある」

「何もありませんよ」

「じゃあ、朝ごはんを食べなくてもいいように昼まで寝るしかないな」

「昼ごはんもありませんよ」

「じゃあ、夜も」

「夜ごはんもありませんよ」

「とりあえず、寝ることにするよ」

「それがいいと思いますよ。おやすみなさい」

「あぁ、おやすみなさい。そして、さようなら」




 一生をかけるに値する自分である。

 信じる、信じないの話ではない。

 求められているという事実である。

 言うまでもなく、続いていく物語であり。

 終わっていく人間たちを磨り潰して作る、ハンバーグである。

 そして、血となり肉となる。

 いつしか、何もかもなくなって。

 私は一人、見つめ続ける。

 何かになる。

 皆が恐れる何かになる。

 皆がどれだけ恐れても。

 何かになれる。いや、なってしまう。

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