地球連邦軍、異世界侵攻作戦第一号
石原阿羅屋
プロローグ 始まりは小さな異世界転移から
始まりは地球、太平洋の西、ユーラシア大陸の東に位置する縦長さ三千五百kmの弧状島々、日本列島、そこを統括管理している連邦加盟国家日本国、そこのとある高等教育学校で起こった。生徒が集団失踪したのである。人数は三十六名、授業と授業の間、休憩中の出来事であった。目撃者の証言では突然の強い光に呑まれ居なくなったという。
現代、犯罪抑止や失踪防止の為連邦国民には宙間座標感知装置〔略称:ざかん{別称:HZKS(ハズカス)}〕の装着が義務付けられている、これは三歳の時点で腕に埋め込まれる物で連絡、ネット接続端末でありながら現在地探知装置にもなっている物である。また、腕が欠損した場合には無償で義手と共に供与される。
さて、今回の失踪事件においてざかんの位置検知機能による捜索を行ったが発見出来なかった、この事を受けた地球連邦統合政府の動きは早かった、連邦の探知装置を掻い潜る装置や組織等がある可能性が提起され軍部が動いたのである。そして軍の先端科学調査部隊が現場検証をした結果、空間の波長において一部がおかしくなっている事が発見された。
空間の波長とは時空間の流れによって産み出される座標演算の様な物で、常に変動を繰り返しているが一定の法則が有ることが発見されているのである。今回おかしくなっているとされた物は本来の波長に無理矢理別の波長をねじ込んだ様な物であるとのこと、この技術は現在地球軍が研究試験中の外宇宙転移移動装置(通称:転移装置)と酷似している事が発見された。
しかし現段階の転移装置は膨大な電力が必要であり一キロの移動に核融合炉を十機使用し、一度行えば周辺の原子が急激に不安定になり核融合によって発生した中性子が衝突そのまま核分裂を始めるという一種の初見殺しであり、余裕と時間を持って考えれば予想は付くことではあるのだが、早期実用化しようと急いでいた地球軍は最初の試験にて最小限の装備でおこなってやらかし、盛大に装置と核融合炉を爆散させたのである。
閑話休題、その事から地球連邦はそのような膨大なエネルギーを地球連邦の監視を逃れ用意することは不可能と判断し、他、位置検知の妨害装置がある事を前提に捜索に当たった、が、一人の天才によって前提から覆される事となる。
天才の提言は、今回の失踪事件の犯人は異次元、別世界、又は異世界による物であるという物であった。空間波長には座標により一定の波長があり、転移はその波長を入れ換える事で完成する、そして今回現場検証で発見された波長、その座標は、理論上、宇宙の外であるという。そしてその提言の発表の少し前、位置検知妨害装置があるならばそれを上回る出力で検知すればいいじゃないという、脳筋思考により超高出力で各惑星、並び各宇宙衛星から放射された検知波、それにより検知されたのは36名の生存情報であった、位置情報は三次元宇宙立体地図のどこにも無いが情報は受信したという不可解な状態。この事も合わさり、地球連邦は今回の失踪事件を暫定誘拐事件と位置付け、建前救出の為、本音異世界へ民衆の関心を向ける為、完成間近の転移技術によって別世界への穴を開ける事となったのであった。
小話だが現代において日本語は地球連邦標準語の一つとなっており発祥の地日本国では名称や略称が殆ど日本語、日本語のローマ字表記となっている。なぜ地球連邦標準語の一つになったか等はまた今度にするとする。
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