警察民営化

火水 木

第1話 警察民営化

   「キャー、助けて‥誰か‥」

暗い夜に響く叫び声‥ 女性が今まさに男に襲われていた。 

 男は年齢20歳くらい、身体が大きく体格がいい。

 対して女性は、華奢で非力、当然女性は男に勝てるわけがない。

 女性は、男に両腕を押さえられ、押し倒された後、力づくで服を脱がされそうになっていた。そこに、たまたま、叫び声を聞いた警察官の男が駆けつけた。

 警察官は女性を襲っている男に向かい

   「おい、あんた何してる。」 

と声を掛けた。

 声を掛けられた男は、手を止め、眉をひそめ

   「あ、なんだお前、文句あるのか。」

と怪訝な様子で警察官に対し答える。

 警察官の男は、男を無視し、襲われている女性に対し

  「あんた、どうする、助けて欲しいの

   か。」

と冷たくいい放つ。

  女性は、怯えながら、震えた声で

   「はい。」

と答えるも、念を推すように警察官の男は、

   「ほんとにいいんだな」

と女性に確認する。

 女性は一瞬躊躇いの表情を見せるが‥

 意を決した表情に変わり

   「はい」

と力強く頷く。

 それを聞いた警察官の男は

   「わかった、契約成立だ!」

と女性に言うと同時に、女性を襲っていた男に対し

  「ということだ、お前を強姦未遂で逮捕

  する。」

といい放つ!

  男は、警察官に対し

 「は、お前、俺を逮捕するんだって、ふざけ

  やがって」

といって、上着の内ポケットからサバイバルナイフを右手で取り出し警察官に向け突きつける。

 「ふっ、これで銃刀法のおまけ付きだな」

と余裕そうな笑みを浮かべる。

 男は、警察官の態度と言葉に苛立ちを隠せず

 「なにをふざけたことを」

とナイフを胸に向かって突き刺した。

 しかし、男のナイフは宙を切った、警察官は華麗な体裁きでかわしたのだ。

 そのまま、警察官は男の顔面を右手で殴打、一瞬怯んだ男を投げ飛ばし制圧した。

 「俺だ、応援を頼む、5番通り、強姦未遂と、銃刀法被疑者、すでに確保済みだ。」

 警察官が無線で応援要請をしていると、女性が駆け寄り

 「危ないところをありがとうございました、

 なんてお礼を言ったら」

と声を掛けた。

 「お礼などいい、それよりこれを」

 女性が差し出された紙を見るとそれは請求書だった。

  「これは」

 金額を見て驚く女性、請求書の額は80万と書かれていた。

 警察官は、当然、当たり前のような顔をし

 「今回の件の請求書だ、強姦未遂50万、銃

  刀法30万だ。」

 女性は、絶句し

  「そんな、法外な金額」

とあまりの額に動揺していると

  「命を80万で買えたんだ、安いものだ

  ろ、こっちだって遊びでやっているわけ

  じゃないんだ。支払いは、分割でも構わ

  ない。他に質問は」

 女性は唖然とその場で呆然と佇んでしまった。

 ちょうど、応援のパトカーが到着したため

   「質問がなければいくぞ」

 女性の返答がないため、そのまま男をパトカーに乗せ現場を立ち去った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る