第7話 王女様・布団で寝る

 リリィに寝室を貸している雄一は書斎として使っていた部屋で寝るようにしていた。


「雄一! 雄一! お願いがあるのですわ!」

「どうしたの?」


 雄一がパソコンで異世界に帰る方法を調べているとリリィが慌てて、雄一の書斎に入ってきた。


「『F〇O』と『ゴー〇ト・オブ・ツ〇マ』というゲームソフトを今すぐ買っていただきたいのです!」

「いや、ゲーム漬けの生活から脱却した方がいいって……」


 雄一は何事かと思ったが、くだらない内容だったので、適当にリリィをいなした。


「あら、これがお布団というこの世界の庶民が寝るときに使う寝具ですか?」

 

 リリィは日本からの転移者に布団のことについて聞いたことはあるが、実物を見るのは初めてであった。


「なかなかフカフカして気持ちいいのですね!」

「ああ、今日は天気よかったしベランダに干してお日様に当てたからな」


 リリィは雄一の布団の上に寝っ転がり、ゲームを買うようにしつこく催促してくる。


「いやだから、ゲームばっかりするのはよくないって!」


 雄一もリリィのためを思って、ゲームの催促を拒み続けたが、途中からリリィが静かになった。


 雄一が急に静かになったリリィの方を向くと布団の上で眠っていた。


「まったく、こんな寝相で……。これでお姫様なんだからな……」

 

 雄一はリリィに布団をかけなおすと電気を消して、リビングのソファーで寝ることにした。


 ……翌日


 雄一とクリスが朝食を食べていると目を覚ましたリリィが早歩きで向かってきて雄一に詰め寄る。


「あなたわたくしに眠り薬かなにか飲まして、いやらしいことしようとをしたのではないでしょうね? 正直におっしゃい!」


「……。リリィ今日は早番だっただろ? 早くメシ喰って出かけないと間に合わないぞ!」

「そうでしたわ! をからかっている余裕はないのでしたわ!」

「モブとかどこで覚えたの?」

「乙女ゲーですわ!」


(やっぱり、ゲームソフトをこれ以上かってやるのはダメだな……)

 

 雄一は改めてリリィにゲームソフトを買うのはダメだと認識した。


 こうして、リリィは慌てて朝食を食べて今日も職場に向かうのであった。


 

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