第9話 月曜日のだるま
正月用にとピンク色のだるまの浴用剤を用意していたのをすっかり忘れていた。
元日の夜に入る風呂に使う予定だったのに〜。
まぁ、まだ一週間だし、まだいいよね。関西なら松の内だというし、鏡開きだってまだだし、なんなら旧正月に、いや、まだ先だからそれは待てない、などと心の声がダダ漏れる。
おめでたそうなだるまを手のひらに乗せてバスタブ直行。
何がでてくるのかなぁ、花びらとか、金粉とか〜(まずあるはずかないだろう)紅白混ざってるからピンクだるまなのかなぁ。
ワックワクで投入。
シーン…。
色、かわらないような。
香? なんだろう、ほのか? 香りはないのか?
よく わからない。
鼻がバカなのだろうか⁉︎
まさかコロナ感染?
いや、初期の頃とちがい味覚や嗅覚障害は最近はあまりきかないが。
風呂から上がって、ピンクだるまのパッケージをよく見直してみた。
淡いピンクの桜の絵が少しついてる。
全体がピンク色なので、トーンをかえたピンク色の桜たちは目立ってはいなかった。
これは、まさか桜の香り?
言われてみれば、そんな感じにも思えてくる。
入っているオイルはアーモンド。
それで香りが中和されちゃっているんだろうなぁ。
ヘルシーだけど、正月感は特に感じられなかった。
なら、別に今日使って入ってもちっともおかしくはないよね。
妙な納得話であった。
気づけば心の声だらけの話になっている。
封を開けた、とぼけ顔のピンクだるまが物言いたげに、こっちを見ていた。
あっ、ほっぺが桜だ!
今気づいたのかよ(ピンクだるまの心の声)。
体がとってもあったまる湯だったよ、ありがとう。
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