コンビニ

「白夜様、コンビニ寄っていい?」

「ああ」

 二人の少年と一人の成人男性が連れ立ってコンビニに入っていく。

「翼、こっちおいで」

 雨月が翼を冷ケース前に手招きする。

「これ、アイスクリーム」

「あいすくりいむ?」

「とりあえず定番のこれとこれと……」

 雨月は手慣れた手付きでアイスをいくつか選び会計に向かう。

「これも頼む」

 白夜が昆布おにぎりを一つ渡す。

「はーい。……お願いします」

 コンビニ店員がレジ打ちをしつつ商品を袋詰めしていく。翼は雨月の後ろから店員の手元をじっと見ている。

「998円です」

 雨月はスマホを出し、なんたらpayで手早く支払いを済ます。

「ありがとうございました」

 コンビニを出ると翼と白夜が同時に雨月に詰め寄る。

「あれが買い物ってやつ? お店の人、早いね! すごいね!」

「おい、何だあれは。金はどうした」

「う、うん、とりあえずあの辺座ってアイス食べよ」

 雨月が公園のベンチを指差して言う。

「うむ」「そだね」

 雨月を中心にベンチに座る。翼は「最初はスタンダードなバニラがいいかな」と渡された棒アイスを受け取り、まじまじと見つめる。

「早く食べないと溶けてなくなっちゃうよ」

 翼はアイスの先っぽを、ぺろっと一舐め、味を確かめるようにもう一舐めする。

「おい」

 翼がアイスを食べている間、ずっと黙っていた白夜が口を開く。

「あー。白夜様はやっぱり不器用だなあ」

 白夜の手元には海苔が包装紙にくっついたままで、その後も格闘したのかぐしゃぐしゃになったおにぎりがあった。雨月は白夜の手からおにぎりを取り、ちゃちゃっと剥き直しまた白夜の手に戻す。白夜は悔しそうにおにぎりを口に入れる。


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