第4話 暗い家
案の定、家には誰もいなかった。
玄関の引き戸を閉めると、真っ暗になってしまった。
電気を付けようとスイッチに手を伸ばしたが点かない。
「あれ……」
パチン、パチン。電気が止まってしまったのだろうか。
停電?まさか。
もう一度玄関の外に出たが、朝なので他の家に電気が通っているか確認することができなかった。
「そうだ、携帯……」
再びポケットから携帯を取り出す。アンテナは立っていない。『圏外』の文字が映っている。
どうやらこの辺り一帯で停電が起こっているようだ。
誰かに聞こうにも、誰も歩いていない。ヒトミは急に心細くなってきた。
「誰か、いませんか……」
曇り空。時間が止まったようなこの町で、返事をしてくれる者はいなかった。
まるで変な夢を見ているようだ。
ひとまず、電気は付かなくても家で休みたい。
ーーーふかふかの布団。
学校をサボったという事実から目を背けたかった。
チラシのことも、電気のことも、夕方に母が帰って来れば何とかしてくれるだろう。
ヒトミは、ふぅ、と一呼吸置いて、再び玄関へ入った。
カシャン。
引き戸を閉めた。もしかすると、チラシの犯人がこの辺りにいるかもしれない。変質者だった場合を考えて、念のため鍵を掛けた。
携帯電話のライトで足元を照らし、靴を脱ぐ。
廊下を通り、居間へ足を踏み入れる。
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