雛形の調

崇高な信仰と反逆を臨みて、

この場に勇気と希望を抱いて



雛形の調



起伏在るハダエの しなやかな枝葉を嗅ぐ

なんの華でもいいが、喉に閊えて取れやしない


頂から墓標まで、ひとつのみちにひとりきり

螺鈿で汲まれた しきたりが、しきりのひとつだ


刑場は遠く、

春の粧いで、


点にはそう、

よく見れば蟻のような染みが


血にも疾走らせる、滾りのような酸味が

駆け巡るものだからあと何寸も持たずにいる


土産すらなく、

すまないがまあ、

隣に腰掛けよ


          燐寸を。

ままならないが、

土地に肥やして

黴臭いツラを、

ひとまぜする、

風を授けた


「ケモノがいる。」

「知っていたのか、」

噂話に在ったと、手記を携え得るものの

眼前を覗いた、天眼鏡の嘘くさいこと


何故にキミは戻らないのか

振り返れども、棄て去ったものだから


憐れにもシアワセを 

祈り願うものども

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