硝片のソード

カービン

main story 1

1-1

ここは多数の文明がひしめき合い、生活しているゾーラの惑星。


ゾーラの惑星の周りには5等級から成る結界が張り巡らされていて、外部からの害虫やデブリやメテオをゾーラの惑星から護っていた。


ゾーラの惑星には総勢500超えから成る國がひしめき合い、まるで蟻の巣の網目のように入り乱れていた。


その中のうち、多数の人々が存在するターザン国が存在する。


ターザン国には、大人10億人、子供5億人、男8億人、女7億人、ヤヨート信者4億人、アーライ信者700万人、マサル族2億人、バニラ族5000万人、ポート族300万人、合計15億人の人口がある。


ターザン国の一番の宗教であるヤヨート教は、この世界はまず5種類の物資が産まれ、その組み合わせで様々な物質が誕生したという言い伝えがある。


その5種類の物質とは、火、水、土、光、無だ。


火に水を与えれば空気となり、土に土を合わせれば草原となり、草原に無をかければ荒野となる。


ターザン国は並外れた行動力と資源力によって機械産業が著しく発展し、ターボ国の15億の人々の暮らしはみな著しく発展していた。


何もかもが順調、……とまではいかないようだが、それなりな安定な生活はしていた。


ターザン国の人々は、何よりも行動、をモットーに生きている人々が7割ほどいるため、みな行動だけは速かった。


たとえば、家で身支度をするときにかかる時間はたったの15秒だ。


ターザン国の人々にとっては時間の浪費というものは害悪の塊そのもので、あってはならないかつ削るものだという考えあってのターザン国の人々である。


ターザン国の人々はみな平和に暮らし、ターザン国の人々はみな平等に暮らし、ターザン国の人々はみな自由に暮らしていた。


日々は充実し、ターザン国の人々はみな笑顔に暮らしていた。


ターザン国の人々にとってターザン国は自身の理想郷及び天国のようなものなので、わざわざほかの國に引っ越すなんてことは言語道断であり、そんなのまったくありえないことなのであった。


ターザン国の中心では、およそ10万個以下のターザン国の工場が入り乱れており、ターザン国の工場が盛んにうごめいていて、ターザン国の工場が輝いていた。


これはまるで大海に溺れそうになって水を飲まないと生きていけないほどのひしめき具合であった。


ターザン国の工場はみな個性的な形状をしており、その原因の過半数以上は、企業の自己主張によるものだ。


中には、企業のロゴをそのまま建物の形にしている企業もいるくらいに自己主張が激しい企業もいるくらいだ。


ターザン国の工場は日々の人々が暮らしやすいように日々工夫していた。生産はすべて機械に任せていて、その間人間は新たな発明に勤しんでいた。


ターザン国の人々の欲望は尽きることは無く、便利なものが出来てはまたさらに便利なものができることの繰り返しの人生を送っていた。


ターザン国の人々の発明といえば、急加速する電車の引力によって乗客が潰れてしまうのを防ぐために車内を特殊なガスで埋めてしまうものだったり、10m以上のジャンプを可能にする靴だったりと人々の暮らしに大いに役立っていた。


また最近では、タイムマシンを開発するために日夜研究を重ねるターザン国の人々の中にいる上級研究員と呼ばれているスリドーと呼ばれている人々もいるくらいに、ターザン国の技術は著しく発展していた。


まるでターザン国の工場やターザン国の人々を包囲するかのようにターザン国の住宅の街やターザン国の商店街の街や人の手のついていない環境自然地区マアハンで囲んでいた。


まるでターザン国の工場やターザン国の住宅街を包囲するかのようにターザン国特性の監視塔やターザン国のガルガンのヘリコプターで囲んでいた。


ターン国の住宅街には多数の大人が暮らしていて、大勢の子供が家の中で暮らしている。


もちろんターザン国の人々はほかのターザン国の人々の名前を詳細に知っており、その他、趣味、職業、体重、婚約相手、昨日の朝食まで詳細に知っておる。


ターザン国の大人たちのほとんどは日中働きに行っていて、子供たちは学校で勉学に勤しんでいた。


ターザン国の学校の授業というのはほとんど機械工学の実習が半分を占めていて、残りの半分は一般人もご存知のとおり、いつもの授業が待ち構えていた。


ターザン国の住宅街の中に無限に広い公園と勇ましいほど巨大学校があった。


公園の数は300個、学校の数は120個を超えていた。


一見少ないように見えるが、この国の交通手段は発達していて、100km離れていても30分で着くことができるように設計されている。


ちなみに、この国に段差や階段なんて物騒なものは無く、すべて坂かスロープで構成されている。


これは、自然界の摂理に基づいて設計されている。


というのも、そもそも自然界には段差なんてものはなく、あるとしても崖か海岸か砂利道程度のものである。


また、学校で一度に教えることができる人数も多い。


また、学校の教師はなるべく少なくてすむように、通信環境が著しく発達している。


よって、教師一人が一度に教えることのできる生徒及び児童及び学生の人数は200人以上を超えている。


ターザン国のとある公園、2人の少年と2人の少女が遊んでいた。


その中には、蒼天の碧天のように活発を発達した子がいた。


その中には、若僧の小鼠のように親族を溺愛した子がいた。


その中には、純白の黒猫のように色気を放出した子がいた。


その中には、混沌の悪魔のように邪道を踏破した子がいた。


ターザン国の公園にある鉄柱が指すのは、真上と真下。


この鳩時計はおよそ1500年前に建てられて、にも関わらずまったく錆びることはなく、だがおよそ1500年前に建てられただけあって、そのデザインや格好はだいぶかなり古めかしいものとなってしまっていました。


空に沈むオレンジ色の太陽は欠けていき、遥か遠くの山の輪郭線にそって禍々しいオレンジ色の夕焼けを醸し出していた。


このオレンジ色のカーテンレールは、時間とともに消え失せ、代わりに混紫のベールがドーム全体を覆い被さることは、みな既知のものであり、それはターザン国の上限の見えない技術力をもってしても止めることはできない定めなのだ。


ターザン国の公園で遊ぶ4人の子供達はみな元気で、四六時中遊び回っていて、まるで疲れ知らずのように見えてしまうところだった。


少年たちのうちの4人はみな揺れるブランコに夢中になっていた。


そのうち一人はブランコの支柱となっている横に走る柱を細い手で掴んでブラブラ揺れていた。


というより、自分自身がブランコの本体になっていた。


しかし、彼女の身体は元からあったブランコより2倍以上3倍以下小さく、全くブランコの器ではなかった。


唯一フォローできる点といえば、大きなブランコと小さなブランコが並んでいるせいで、その姿はまるでブランコの親子みたいな姿のようだった。


「おい、早くしろよ。ほら速くこげって。トロトロしてたら置いていくぞ!」


ゆらゆら揺れるブランコに乗った、身長150センチメートルのモルトが喝を入れた。


背は極端に高いのは単に成長速度が並の人間共より上なだけで、彼が握るブランコと座席を結ぶ鎖の力技を駆使して、4人の中では一番の速度でブランコを漕いでいた。


その様子をモルトの隣のブランコからチラ見していた少年が今から発言します。


「ちょっと5秒くらい待ってよお兄ちゃん、ボクは今サーフィンやってるんだ邪魔しないでくれる?」


モルトの隣のブランコに乗った小柄の小さな少年が、怒られないことを逆手にとって好き放題呟いた。


そして少年はブランコを蹴り上げ宙に浮いた。少年はそのまま空中で4回転3ひねりを繰り出しそのまま地面に着地、……できずに頭を強打。


しばらく悶絶する少年だったがすぐに立ち上がり、再びブランコを漕ぎ出した。


「この世界が存在している理由とは、何なのでしょうか? やはり、人々が産まれてくるところから始まるのでしょうか?」


ブランコに座っているだけのダーケン狂信者の白い少女が大声でさけんだ。


彼女はこの世界を取り巻く環境が素晴らしいものだと錯覚しているが、その中でもやはり苦しみに苦しんでいる人や人々が炙れていることは想像に固くないことも深く知っている。


しかし、そんな中でもそんな人々たちとこれからを見つけたいと強く思っていると。


そんな無意味なことを考えたところで何にもならないことは分かっているけど、考えるだけならただだし、そんな思考にふけてみるのもまた良きかな。


「そんなのわかってるでしょ? この世界は醜く、破壊すべきものなんだって。いつどこで考えたって結果は同じよ」


ブランコに座っているだけの白い少女に座っているだけの黒い少女が心の中で思った。


別に思いたくて想ってる訳ではないのだが、ふと思ってしまうのだった。


まるで思考回路が短絡しているかのように思考が直接脳に直注されてくるのだ。


そんな思考をするくらいであれば、自分で自分の思考にふけっているほうがよっぽど楽なのではないだろうか。


ただひたすらに自分に対する問いかけを繰り返すのは自分が正しい証拠をかき集めるためであり、かつ不安から解放されるためでもあった。


男が2人、女が2人、子供が4人いる合計4人の少年グループは、楽しそうに笑いながら公園のブランコで談笑していた。


その様子はこの公園には限らず世界各地で確認することができるため、ありふれた風景のように見えるため特筆することはない。


敢えて言うなら、学校のクラスメートが授業中に授業そっちのけで自分の世界に入って授業の内容がまったく入ってこなくてテストや期末テストや抜き打ちテストのときに悶絶し赤点をとって親や教師に殴られて精神病院に通っている子供達のようだった。


こういう具体的な話をしていると分かりやすく理解しやすいはずなのだが、なぜか分かってくれないことが2割くらいあるのは、単にその人の理解力が足りないのでもっと分かりやすい例えを持ってくるべきだ。


少女たちはまるで、ターザン国の中央にある巨大な穴のようにぽっかりあいた遊びの欲求にまみれていた。


時にはダンボールの中にすっぽり入る猫のような遊びもしていたし、時にはこたつ中にすっぽり入る猫のような遊びもしていた。


しかし、そんな平穏は物語的に続くはずがなく、終焉の時間は無慈悲にもやってくる。


徐々にその足音は大きくなり、やがて地面を大きく揺らし始めた。


「ぎゃああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

「うぐあぁああぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!!」

「いやああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

「どすぐろろばぁあおおおおォォォ!!!!!!!」


少年たちの悲鳴が響き渡り、ブランコは大きく振れ、少年たちを宙に舞う。


鎖で縛られたブランコは地面に落ちることなくただ宙で舞踏会を開催するまでで、無傷ですんだまま宙吊りになっていた。


宙に舞うというのは実に不思議な感覚で、羽もないのに空を飛ぶというのは不思議な感覚であると同時に何事とも測れないような経験であった。


たとえば、まだ科学や技術があまり発達していなかったとき、人間がまだ理解できていなかった事情は全て超常現象と呼ばれていた時代に体験するような現象だった。


それらの現象が混じり合った空間。


それらの現象が入り乱れた空間。


少年たちはわずか1秒のひとときを30秒もの間、ゆっくりとよく噛み締めて味わっていた。


やがて少女たちは地面に叩きつけ、身体中の骨がきしむ様子を肌で感じていた。


お互いの痛みを分かち合い共に暮らしているのがサーザン国。


この瞬間の痛みは4人分、しっかり感じとっていた。


幸運にも、全員骨折り損で済んだようだが、産まれてくる人々全てに平等に与えられるはずの身体に対して始めて不平等さを感じる瞬間であった。


中には鳴き喚く子供がいたというのはまた別の話でもあり、秘密の話である。


「だ、大丈夫か!? マイ、オーガア、タイタ!! 死んだか!? 死んだなんて言うんじゃねーぞぉ!!」


最年長のモルトが悲鳴をあげる。彼は子供たちのリーダー格でありボスでもある、名前はモルトという名前である。


モルトはボスと呼ばれるだけあって最年長で一番年老いていて、その態度もかなりしつこい性格だった。


モルトは学校の人気物で、よく引っ張りタコにされている人気物のリーダーであり、モルトを慕っている人々はたったの星の数だけだ。


モルトの優しさが死ぬまで愛せるほどのもので、この世界でただ一つの英雄にだったなれそうな存在である。


モルトの瞳はいつも輝いていた。モルトの瞳はいつも前を見つめていた。モルトの瞳は曇りなど一つもついていなかった。


「痛い……、大丈夫、足が曲がったみたい。お兄ちゃんありがとう」


足を抱えている少年はマイという名前であり、モルトの弟だったのだ。


メイは先程の自分の体験談をモルトに報告し、モルトお兄ちゃんに抱きついた。


マイはよくお兄ちゃんであるモルトに溺愛していてる。マイはよく、食事の時にいつもモルトと一緒にいる。マイはよく、寝る時にいつもモルトと一緒にいる。マイはよく、お風呂の時にいつもモルトと一緒にいる。


二人の関係は兄弟を超えて親子のように見えてしまうところだったが、実のところはただの兄弟であり、それ以上でも以下でもなかったのだが、体格の差や二人の絡みを見ているとどうしても親子に見えてしまうし、それを咎める人々もいるはずがなかった。


とまあ、いつもは兄であるモルトに依存しているわけだが、兄であるモルトがいないときはしっかりものであったりする。


これは、兄弟愛がなす力なのか?


否、これはもともとマイがしっかりものなのであり、兄のモルトがいなくとも自立して生けるのだ。


マイがモルトに甘えるのはただの主従関係。


マイがモルトに甘えるのはただの信頼関係。


マイがモルトに甘えるのはただの依存関係。


そんなマイは今、泣きながら泣きそうになり、痛みを抱えてモルトに泣きついていた。


「一体何が起こったっていうの? まさか、また工場が爆発でもしたのかしら? だとしたらこの国の技術力も地に墜ちたものね」


落ち着いた様子で言う少女はタイタ。いつも漆黒の日傘を指している変わり者だ。


例え晴れであっても日傘を指してるし、例え曇りであっても日傘を指してるし、例え雨であっても日傘を指してるし、例え雪であっても日傘を指してるし、例え雷であっても日傘を指している。


彼女にはラフレというタザリアンオードロドッグの飼い犬がいるのだが、みんなからはタランザだとかドロドロだとかのあだ名が付けられて呼ばれている。


しかし、一度ルフレのことをあだ名で呼んでしまうとタイタに殺されてしまうので、最初の数人を除いてラフレのことをあだ名で呼ぶことは絶対になかった。


ちなみに、彼女は以前にメンヘラを拗らせてこの3人を殺そうとしたことがあるのはまた別の話。


「あっ……、ああああ!!?? ねぇ、みんな、あれを見て!! ねえ、見てってば! 早く見て!! 見ないとどうなるかわかってるよね!? だから早く見てってば!! とにかくいいから見て! 見たほうが早いから見て! ほら、早く見て!!」


4人目の少女オーガアが、空高い空を指を差ししつこく発言した。


しかし、タイタはその命令を無視し、一人目的もないまま歩いていた。


ほかの2人はオーガアの言われるまま、モルトから見ると真後ろ、マイから見ると右斜め前、タイタから見ると左68度の位置、を見た。


振り向いた方向はそれぞれ違うが、見た景色はみな同じ。全く同じ。


空が真っ黒に染まっていたのだ。


別に夜だからというわけではなく、今の時刻は7:41(地球でいうと18:04)なので、まだ夕方のはずである。


真っ暗に染まった空は、無数の黒いヘリコプターのせいで真っ黒に染まっていた。


それを上書きするように激しく輝くイルミネーションも慌ただしく、恐ろしいシチュエーションを演出していた。


無数の黒いヘリコプターはサーザン国に向けて、S-am-168を無数に乱射していた。


S-am-168は上空でヘリコプターを制御しているプロペラにも負けないほどの音量の音を掻き鳴らしながらターザン国に散弾の雨を降らせていた。


S-am-168は比較的一般に普及している中距離から遠距離に対応している主に軍隊が主に使用することが多いとされている軍用全自動機関銃のことで、非常に使い勝手が良く火力も安定することから各国の軍隊で使用が好まれている軍用全自動機関銃である。


無数の黒いヘリコプターのから火を吹くS-am-168の乱弾が、一刻の容赦もなくサーザン国中に降りかかる。


ターザン国の人々は屋根の上に隠れ身を翻し事なきを得ようとしたが時すでに遅く、無数の黒いヘリコプターのから火を吹くS-am-168の乱弾を全身に浴びてしまうハメとなる。


運悪くS-am-168の弾に当たったかわいそうなターザン国の人々はみんな死んでいき、残りは約半数となっていた。


その残りの半数はみな賢い人であったので、良い塩梅に平均より頭の衰えた人々がいなくなり、この国の知能の平均値を上げてくれた。


「誠に大変だ! 早く逃げたほうが良い!」

「でも、どこに逃げたら良いの、お兄ちゃん?」

「そのくらい自分で考えろマイ! 大丈夫、やればできるよ!」

「そうね、ここで無事生き延びたら英雄として語り継がれる。頑張りましょ」


モルトが提案すると、4人は大急ぎで走り出した。


しかし、モルトとタイタは気がついている。このまま逃げてばかりではいつか見つかって殺されてしまうと。


しかし、モルトとタイタは気がついている。いつかはあいつらに復讐をしなければならないと。


無数の白いヘリコプターからのS-am-168の散弾の雨が降り注ぐ中走り続け、マアハンの中に逃げ込んだ。


「……いっそここで死んでしまうのも悪くないわね」

「何言ってんだよタイタ! 生きていれば良いことはある?」

「今まで生きてて良いことはなかったわ、恐らく、これからもないわ。もしもこの世に神がいるとするなら、これはきっと私たちに向けられた天罰よ。神からは逃げられない」

「ふざけんな! とにかくもっと奥に逃げるぞ!」


みんなはモルトの指示に服従し、さらに奥を目指す。


モルトの予想ではあるが、この先にもって安全な場所があるとふんでいるのだ。


そんな中、注意散漫なマイがとんでもないものを見つけた。


「あ、お兄ちゃん! あんなところに洞窟があるよ!」


マイが指差す方向に、穴が空いた空間があったのだ。


「お、でかしたぞマイ。よし、あそこに避難してやるぞ!」

「やった! 私たち助かるのね」


マルトが興奮して言う中、一人だけ冷静なやつがいた。


「ちょっと待って。もしかしたら罠かもしれないぞ」

「そうだよ。もしそうでなくても、やつらが入ってきたら逃げ場がない!」

「こんな洞窟のどこが罠に見えるんだよ!?」

「じゃあどうすんだよ、折角見つけたのに他に行って、その途中で見つかったらお前責任取れるのかよ!」

「俺は責任者じゃないからよそを当たれ!」

「じゃあどうすんだよモルト!?」

「モルトはお前だろ!!」


ドッカーーーーン!!


その時、後ろから爆発音が聞こえた。振り返ると、サーザン国が地獄の業火に包まれていた。


およそ国の3/4が家事になっていた。そこにはもちろん、モルトたちの家、モルトたちの学校、モルトたちの公園も含まれている。


「……ボクたちの国が、ボクたちの思い出がいっぱい詰まった国が、ボクたちの生まれ育った国が、あんなに真っ赤にされて……、かわいそうに……。お父さんはお父さん、お母さんはお母さん。みんなあの炎のミキサーに入れられて死んでしまった。私はこれからどう生きればいいの?」


オーガアの呟きをよそに仲間たちは、驚いたように洞窟の中に逃げ入っていった。


洞窟の中には誰もおらず、整然としていた。


誰かが使っていた様子もなく、整然としていた。


「ふぅ、この洞窟なら多分絶対大丈夫だろう……」

「お兄ちゃん、助かったねっ!」


モルトが死亡フラグをたてた時、マイがモルトに抱きついていた。


「……ショタコンね、滅んでしまえば良いのに。これだから世の中から争いがなくならないのよ」


その様子を悪態を付きながら見ていたのなタイタ。今も変わらずモルトを睨みつけている。


タイタにとってはこの3人はまるでゴミのように見えているようだ。


『誰か、いるのですか?』


その時、澄んだ洞窟の奥から、洞窟のように澄んだような声が聞こえて来た。


「え?」


その声に真っ先に反応したのはモルト。モルトは立ち上がり、あたりを10秒ほど眺めていた。


「何か言ったか?」

「知らん、モルト幻聴でも聞こえたか?」

「はぁ!? この俺が幻聴なんて物騒なもの聞けるわけないだろぉん?」

「知らねーよバーカ」


『そこのあなたたち、私の声が聞こえますか?』


「お兄ちゃん、誰かの声が聞こえるよ」

「だ、誰だ!?」

「やだーん、あたしこわ〜い☆」

「誰でもいいわよ、私が殺すまで……」


突然起きた超常現象に、モルトたちは戸惑った。モルトたちは狼狽した。モルトたちは困惑の様子を見せた。


突然のことにモルトたちの精神は極限の状態にあった。


そんなことは構わず、謎の声は声を発声し続けることを続けた。


『私は、ターザン国の華麗な森林を防衛する大精霊。あなた方のことはよく知っています。あなた方のことをよく知っている私からのお願いです。どうか私の話を聞いてくれ』


精霊……。


精霊と聞いた少年のイメージは、


「なーんか長くなりそう……」

「聞くだけなら只よ、でも、くだらない話だったら殺すわよ」


少年の愚痴を聞いた精霊を自称している自称精霊は、悲しそうな表情をして話した。


『この世界中は今、醜い争いによる戦争が勃発しています。醜い争いによる戦争は非常に深刻な事態で、醜い争いによる戦争を放っておくと何億もの人間が消えてしまうでしょう。しかし、醜い争いによる戦争はある人物によって切り落とされました。醜い争いによる戦争を起こした人物を倒すために、善意あるあなた方の力をお借りしたいのだ』


この話たちを聞いて子供たちはざわめいた。やがてタイタが口を開く。


「じゃあ、醜い争いによる戦争を起こした国に核爆弾を落とせば良いってこと?」

「でも私、核爆弾なんて持ってないよ……」

「じゃあどうすれば良いんだよ? 俺らはまだかわいい子供なんだぜ?」

「それじゃあ、核爆弾を作ればいいんだよお兄ちゃん!」

「でもどうするんだよ?」


モルトが言うと、精霊は首を振りながら話した。


『ご心配なさらず。私の姿、今お見せ致しましょう』


精霊の言葉の直後。少年達の目の前が眩しく輝きだし、少年達の目の前に巨大な大剣が現れた。


少年達の目の前に現れた巨大な大剣は、蒼色の刃が翠色に輝き、紅色のオーラを放って現れた。


『この剣が、私です。私はこの大剣に住む妖精なのです。私だけでは身動きが取れず、誰かに扱って頂けないと、力が発揮できないのです。誰かに扱って頂けないと、移動ができないのです』


「剣の精霊さん?」

オーガアが口を開いた。


『はい、そうです。私の名前はポラニス。硝片のソード、ポラニス。今後ともよろしく……』


「剣の姿のまま動けないなんて、なんとも惨めな話ね……」


タイタは大剣を見下しながら言った。


モルトは恐る恐る剣に近づく。剣からは圧倒的は存在感が放たれている。


『ご心配なさらず。私は動けないので、勝手に動くことはありません。刃の部分を持ったり、自傷行為に走らない限りは、あなたの身体には傷を一切刻みません』


妖精の助言を受けて、モルトはポラニスという剣を手に持ち上げた。


ポラニスという剣は、モルトの身体の3倍近くある大きさからは想像できないほど軽かった。


ポラニスという剣は、まるで鷹の羽のようだった。


「お兄ちゃんかっこいい!」


マイは剣を持ったモルトを羨ましそうに見ていた。


「お前を使えば、醜い戦争を起こしているやつらを殺せるのか?」


モルトがポラニスに尋ね、聞いた。


『当然です。私は人間だけでなく、王城でさえも切り裂きます。こうなってしまった以上、力で制するしかありません。久々に腕が鳴りますね。さぁ、行きましょう!』


ポラニスは声高らかに発声した。


「まぁ、なんて頼もしい妖精さんなんでしょう。僕もあなたについて行きますわ」


「よし、いくぞ! オイラたちの生き残りのために!!」


モルトたちはポラニスと名乗る剣の妖精を手に、洞窟を出た。


「さて、終焉の始まりね」


タイタが走りながら言った。


「違うわ、これは始まりよ。私たちの大冒険のね」


アーガアが走りながら言った。


洞窟の外は騒々しさがうるさく、夕焼けの朱と紅蓮の炎の赤が入り乱れていてなんとも幻想的な風景を醸し出していた。


……モルトたちがいた洞窟の奥、少女たちの一部始終を見ていたある影が、洞窟の奥から少女たちを見ていた。

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