第7話

最近、ゆうは変わった。私達と話をしなくなった。


 家に帰ると扉を開かないように封じて、その日は部屋から出ることは無い。


 確実にストラップを捨てた日から変わっている。




 そこまで、そこまで大切だったの?あんなストラップが?


 あんな、オタクのつけるストラップより、隣にいた私を、、、



 ーーーーー


 図書館から戻ると相変わらずうるさい。

 「うわぁ、キモ」「学校辞めればいいのに」「ほんとになんでアイツいるのかな?」


 

 そして、昼休み

 捕まってしまった。


 高山くんだ。

 「お前さ、弁当を用意して貰っているんだから、そっち食えよ」


「知らなかった、用意して貰っていたのか。」

  要らないって言ったけどな。


 「ほんと、クズいよな。お前」


うわ、ストレートに言われた。まぁ昔からだけど


 「一応クズっておれ?」


「他に誰がいる?」


  とりあえず、証言ゲット


 「ごめん、、、お母さんにこれからは学食で食べるって言ってあるんだ。確かにそのこと知らないとそう思うよね。自分のバイト代から食費を出して、学食で食べるから」

  

弁当を作ってくれるのは凄くありがたい。

 けど、苦手な食べ物を毎回入れている。

 苦手なことを言っても変わらないし、克服させる為だからと必ず入っている。

 あと、冬華や春香は好物に合わせて作っているから楽らしい。

 逆に俺が好物の時はほぼない。


 それに、バイト代から食費を出してるから、お母さんに迷惑がかかることもない。むしろ俺の分を考えなくてもいいから楽だろ。


 なにより、、

 お母さんが弁当を作ってくれたおかげで節約出来た食費より、

       妹に取られていた金の方がよっぽどデカい。



俺は久しぶりにクラス全体を見る。

 いた冬華


 「ごめん、俺弁当いらない。それ食べちゃって」



「お前、お母さんの苦労を知らないから、そんなこと出来んだよ」


「そう言うけど?弁当を自分で作ったことあるの?」


「、、ないけど」


「弁当は作るのは大変だよ。朝はやく用意しないといけないし、食材買わないといけないし、弁当箱洗わないといけない。」


「そうだよ、そこまで大変なことが分かってるならちゃんと」


「なら作らなければ、良いじゃん。じゃあ」


 「コイツ!」「やっぱりクズだよ」「最悪」「あんな奴家族になって欲しくない」「お母さん可哀想」「キモ」



うーん、青春の味、最高!!


 それに学食なら栄養のある食材も買えるからしっかりと、

 栄養バランス取れるんだよな。




ーーーーーーーーーーー


 


 中学の頃、お母さんがお父さんの仕事の関係で、一年ほど代わりに俺が作っていた。


  弁当を作るのは大変だった。けど食べて貰える人に「美味しい」と言って、貰えると思って頑張った。


 お母さんや、冬華と春香に言ってもらえたことはなかった。



 

 これは俺の我儘だ。

 お母さんの愛を感じようとしない捻くれた性格から出る物だ。



 きっとお母さんも弁当を通して、色んな食べ物を食べて欲しいんだと思う。

 苦手な食べ物も美味しいと思って欲しいんだろう。


 けど、誕生日や、合唱コンクール、体育祭の時まで、

 俺の苦手な食べ物にしなくてもいいよね。

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