第6話

俺は、朝を起きるとつい、引き出しを開けてしまう。


 やっぱり無い。


 まなちゃん、ごめん、

 家族を大切にする約束、守れそうに無いよ。



 だって、、、、、


 こんなにも辛いから。




 竹山くんに、わざわざ朝早起きして、待ち伏せされた。

 「お前、また冬華を無視したらしいじゃん」


「ごめん、覚えてない、じゃあな」


「お前、もっと家族を大切にしろよ」


俺は家族を大切にして来たつもりだ。

 そして、大切な物を、大切な思いを失った。


「ねぇ、家族を大切にしろってさ」


「なんだよ」


昔、竹山くんは妹と姉がいることをクラス中が聞こえるくらい

 うるさい声で、話をしていた。


「てめぇこそ!

 家族に一緒に居たくないって言われたことはあるか?

 一緒に食べるとご飯が不味いと言われたことは?

お前の妹に兄失格だと言われたことはあるか?

 お前の姉に、弟なんて居ない方がよかったと言われたことは?


 財布を盗まれたことはあるか?

 誕生日やクリスマス、お正月を一人で過ごし続けたことはあるか?


 ずっと体を張って、色々なことを捨てて家族の幸せを祈って居たのに、お前は家族を一切大切に思ってないと言われたことはあるか??





 大切な、

 大切な人から貰った持っていればずっと一緒って約束した形見を

 生きがいを捨てられたことはあるか!!!!!


     」





小さい声で何かを言っている。

 (、、それであんなにストラップを探していたのか〕



「ねぇだろ!お前の家族と一緒にすんな!」


「いいか、テメェーの毎日の幸せの逆を、毎日のように味わっている人間もいるんだ。むしろテメェーこそもっと自分の家族に幸せを沢山貰えてることに感謝して、もっと家族を大切にしろ!!」


 「…………」


「じゃあ、俺行くわ」


 

これからはいつ邪魔されてもいいように、証拠を残せるようにしよう。


ーーーー


 そして、教室は相変わらず、うるさかった。


 ただ、その日は竹山くんに帰りに邪魔をされることは無かった。


ーーーー

 次の日の朝

 

 竹山くんが朝また校門で待っていた。


 だるぅ。


 「お前の家族の話をしっかり聞かせてくれないか?」


「めんどい、じゃあ」


「待ってくれ、俺は誤解をしていた」


「誤解も何も、俺に昔、散々悪口をお前が言ったことは変わらないから。

 誤解を解こうが解かなくてどっちも変わらない。

   それより早くどいて」


「、、、すまない、、」


 「はぁ、、、頼むから関わんないでくれ。

 俺はな、お前らとも仲良くしようと、虐められながらも関わろうとしていた。だけど、俺はもう完璧に関わる気が失せた。」

 冬華の為に関わろうしていたがもういい。



「せめて、俺だけでも」

 ボッチだと決めつける言い方だな。ボッチだけど


「はぁ、、そうやって結局、、俺の言ったことも証拠なく聞いて、コロコロ考えを変える。何も成長してないじゃん。」


「、、確かにその通りかも」


「今だって、素直に認めないで、確かにを付ける。はぁ、、、

 マジでお前だりぃ、、もう関わんな」


 コイツ、俺が一人でいることが辛いって決めつけやがって


「、、、」


「最後に一つ言うとな」


「なんだ」


「俺は虐められていることを誇りに感じているんだよ。

 お前らみたいな奴らと一緒に居るのではなく、虐められる側でむしろ嬉しいくらいだ。」


それから、竹山くんと関わることがほぼ無くなった。

 


 

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