家族に大切な物を捨てられた。俺は、、

激 辛

プロローグ

  「ここだけは、ここだけは触らないで、」


  俺はテープで【触るな!】と書いてある、引き出しのことを家族全員に伝える。


どんなに、虐められても、辛くても、これだけあれば前を向ける。



ーーーー

 小学生2年生の時、母が亡くなった。


 そして、俺は悲しくて、公園で彷徨っていたら、泣いている女の子がいた。


 「君はなんで、泣いているの?」


「わたし、おねぇちゃんに怒らせちゃって、」


俺は、その後の話を聞いた。


 「ねぇ、ほんとうは仲良くしたいんだよね。」


「うん!」


「お母さんが、言っていた、謝れるなら謝れるうちに、謝っときなって、、だから謝ろうよ」


「、、うん」


「なら、俺も一緒に謝ってあげるよ!」


「本当に!」


「うん!!」


それから、女の子はお姉ちゃんと仲直りをして、同時に俺とも仲良くなった。お母さんを亡くした俺にとって、女の子は俺の悲しさの心の穴を埋めてくれる存在だった。


 俺は毎日のように遊んだ。

 

「これ、貰って?」


「ありがとう?これ何?」


「これからも、ずっと一緒にいる、約束の物だよ。」


「うん?一緒だよ」

俺は不思議に思っていた、毎日のようにあっているのに、何で急にこんな約束を?



 そして、次の日から女の子に会うことは出来なかった。


 その2週間後、俺は毎日、女の子と遊んでいた公園に行っていた為、女の子のお母さんに会えた。お母さんは一度、お姉ちゃんに謝りに行く時にあっている。


 そして、会えない理由を教えて貰った。


 病気で亡くなった。


 

 ーーーーー

 俺は今、高校生になった。


 あれから、小学校6年の時に親が再婚して、義妹と、同い年の、誕生日が先の義姉がいる。


 俺は大切な人を失う経験を2度もした。だから、俺は新しい家族を大切にしようと思った。


 時が経ち俺の扱いは散々になった。正直辛い、かなり辛い、


 普段から、様々な嫌がらせをするが、最近は

 妹に勝手に財布の中身を取られた。



 学校では、義姉を中心に、クラスメイトでみんなで、俺を虐めて、、、いじってくる。



 お母さんは、姉妹達と俺の関係を知っている。あんまり口に出せないようだ。、むしろ、たまに、姉妹達のようしてくれることがある。

 だが、お父さんとは仲良く出来ているし、家庭のこともしてくれるので助かっている。


 お父さんは、俺のことを知ってくれているが、仕事で家にいることは少なく、5年間による家族の生活から、あまり俺と同じように言えないようだ。


 俺も正直最近の家族に不安を感じているが、出来るだけ仲良くしたいと思っている。


 それに、どんなに辛くても、


 俺は触らないでと書いてある引き出しから、ストラップを出す。

 

 俺はストラップを握ると勇気が出る。

 

 あの子との思い出が蘇る。


 俺たちは、一緒だから。

 



 ーーーー


 俺は朝、いつもストラップを見ている。

 最近は学校でいつ無くすか分からない状況なので、引き出しの中にすぐにしまう癖を付けている。


 「あれ、ない、ない!」


俺は過去最高に焦る、そして、少し無いだけでも、不安と絶望感を感じてしまう程だった。


 

 「ビデオしっかり撮れた!」

義姉がビデオ撮っていた。


 義妹も後ろで笑っている。

 

 「お兄ちゃんの変態な所、学校でネタにしよう」

 


「、、春香!ストラップ知らない?」


「お兄ちゃんが昔、いつも付けてた、あの痛いストラップのこと?」


「何度も言うけど、痛くない!それよりストラップ知らない?」


「知らないよー」

 妹は惚けた顔をする。


 

 「冬華?は知らない?」


「知らないなー」

  妹と同じように、惚けた顔をする。



 「お母さんーー」


「あら、おはよう、どうしたの慌ててたりして?」


「ストラップ知らない?」


「ストラップ?ストラップ?」

思い出す顔している。


 「昔、俺がよく付けてた奴。」


「あー、あれね、捨てたわよ」


「え、、」


「いや、いつまでもあんなの付けている年じゃないし、ほら冬華も、家族があんなの、いつまでも付けてると、クラスメイトから」


ゴミ箱!!


 俺は部屋にある、ゴミ袋を漁る。


 次のゴミ袋、いや、、そっちは後でいい!


 俺は急いでゴミ収集車の回収所に向かう!


 だが、ゴミ収集車の回収所にはもう何も残っていなかった。



 俺はゴミ箱を漁った。


 「家の、オタクがストラップを無くしました。見て下さいこれがオタクの末路です。」


 俺は万が一、落ちてないか下にある物を何回も見た。


 けどなかった。


 俺は何度も、何度も同じ所を見た。


 「ねぇ、そろそろ辞めない、私多分捨てちゃったから、もう」

お母さんから俺に言葉が入る。


 諦められない。

 

 「ごめん、お母さん、今日はまだ探す」


 俺はまだ探し続ける。


 「いやー本当に楽しいところを見れてた。私にもあとで送ってね」

 妹は喜んでいる。


「うん、最高!早速明日ネタにしよう!」


  探し続ける。


 「ねぇ、そろそろ辞めてくれない?」

 冬華がずっとちょろちょろ探す俺が目障りに見えて来たのだろう。


 きっとある。


 「お兄ちゃん、異常だよ。」


ある、


 「捨ててごめんなさい、そこまで、大切にしてる物だとは思わなくて、」


俺たちはずっと一緒なんだ。


  それからも探した一日中、探した。


 

 



 その日お母さんに謝り、出されたご飯を食べずに寝ることにした。

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