興味津々

とりあえず何でも

まだ絵日記を見出して数ページだが、学校生活やプライベートで色々あったなと実感していた。


小さい時から体を動かすことが好きで友達に遊ぼうと誘われればやった事がなくても聞いてやるくらい好奇心旺盛だった。


学校の授業では体育が好きだが群を抜いて出来るというほどではないもののそれなりに出来ていた。


ドッジボールであっても勝負事で負けることをよしとしない蒼唯。相手も勝つためには苦手な子から倒していく戦法をとっている。


容赦しない男の子に泣き出す女の子。体格差や運動能力の違いを逆撫でするような姿を見てみなぎる闘志が湧き出てそういう男の子を倒すのがまた快感になっていた。


この当時から負けず嫌いで理不尽や弱いものイジメをするものを見て見ぬふりは出来ず、自分の出来ることを最大限に引き出すように考えていた。ふむふむと読み続ける。


基本的に人に優しく接するように心がけてはいるものの見下す態度を取る物に対してはたとえ体格の大きい男の子や年上であっても自分の意見をハッキリ言うようにする。


体育が好き、得意な人はよく勉強が苦手という声が多く聞かれるものの蒼唯自身そういったことはなかった。全教科卒無くこなし、大体平均を上回るくらいでいた。


意図的に教養を付けようとは全く考えてはいないが読書をすることも好きで図書室に行って色々なジャンルの本を読んで分からない漢字や言葉をメモして言えに帰ってから家族に聞いたりしている。


勉強は嫌いではないが自分から進んでしようとまでは考えていなかったものの家族からは自発的に学ぼうという姿勢が大事、それを積み重ねていくように。


通知表の備考欄には年上の人や同級生に間違ったことを正すのはいいことだけど相手のことも考えてもう少し言葉選びをする方がよい。成績のことよりもそれ以外のことに触れられることのが断然多かった。


何にでもまずやってみる主義の蒼唯だが、悩みがあった。面白そうなことは手当り次第やっているがこれといって長続きせず、自分は何が好きなのか迷っていた。


この悩みの背景には理由があった。4年生になったら部活動、そして委員会が始まるから。せっかくやるのにとりあえずやろうって言うのでは周りに迷惑かけてしまう。


小学生ながら色々と考えてどうしたらいいか悩んでいた。悩んでいても仕方ない、ならばと思い、外で行っている運動部を傍目はためから見ていた。バレー部、水泳部、陸上部と何が自分なら出来そうか見ていた。


あっちもこっちも

自分自身でも絵日記に頼らず覚えている記憶がある日がある。それは休みの日、友達と河川敷かせんしきを自転車で走っている時だった。


とあるサッカーチームが円を組んで頭を抱えていた。その様子を見た蒼唯は自転車を止めて円を組んでいるところに向かう。どうやら人数が足りずに試合が出来ないとのこと。誰でもいいから参加してほしいとのことだった。


蒼唯でよければ協力しましょうかと安請け合いをする。困っている人をほっておけない思いからで練習試合だから問題ないとトイレで着替えて試合に出場することになる。


始まってみるとワンサイドゲームで助っ人として出場した蒼唯はなんと前後半それぞれでハットトリックを決めて試合後に監督からそのままチームに加入して欲しいとオファーを受けた。


だがチームに加入するつもりはなく、ビギナーズラックなので。自分が出来ると勘違いしたくないのでと告げて自転車に乗って去っていった。チームの勝利に貢献したというよりも困っていた人たちを助けたことの気持ちが強かった。


近くの公園に行って先程出場したサッカーの試合について語っていてサッカーチームに入ったら応援しに行くよと言われ、その気になってサッカーを始めようと考える。


翌日、教室に行くと全員が蒼唯に視線を集めていて男の子がこぞって集まって地元のサッカーチームに加入して欲しいと頭を下げられるが監督に伝えた同様の理由で断る。身体を動かすこと自体は嫌いではなかった。


小学生のコミュニティは狭いと実感をする。授業が終わると上級生が蒼唯を探している。理由は助っ人として試合に出場してもらいたいため。


何も話を聞かずにほいほい行くのもなと感じていた。だから単純に試合が出来るなら出向く必要がないな、ビギナーズラックのハットトリックでこんなにも群がるものなのかと実感をした。


中には少年野球の地区大会を決める大事な試合に呼ばれることがあった。会場自体は近いから言って試合に貢献したものの本来出るはずの子はテーピングをしていたがケガを装うだけで実際は何ともなかった。


頼まれてきたのにも関わらずそのことを知った蒼唯としては自分が出る幕ではなかった。勝ち負けよりも苦楽をともにしたメンバーと試合することに意義があるのではないかと小学生ながら感じていた。


その後もウワサがウワサを呼び、サッカーや野球だけでなくて陸上や水泳、バスケ、バレーと色々なスポーツを体験するいいキッカケになったかなと感じていた。


その中でも驚いたことがあり、先日練習試合でハットトリックを決めたチームのメンバーが捻挫をしてしまい全国大会の決勝でどうしてもと来て欲しいと学校に来てまで頭を下げてやってきた。


その状況なら行くと返事をしたい所だが試合の日は修学旅行と重なる。楽しみにしているクラスメイトにも既にお金を払い終わった家族にも何と説明をしたらいいのか。


所属しているならともかく助っ人となるとそれを補うのがチームの役目でもあるなと返事をしなきゃ行けない人たちにこの状況を伝えることが出来ずにいた。


修学旅行先は奈良と京都、担任の先生に事情を説明をして後から合流することは可能かと聞いたら頑張ってこいと後押ししてもらって監督に伝えた。


翌日、キックオフとなる。ピッチに立った蒼唯は積極的に攻める。それはチームを優勝に導きたいというよりも早く試合を終わらせてクラスメイトと合流したいという気持ちでしかなかった。


しかし蒼唯の思いとは裏腹に試合は前後半で決着が付かずに延長戦に突入する。さすが全国大会の決勝に相応しい試合で観客も大盛りだが蒼唯の心情としてはこのままではヤバい、考えていることはみんなどこにいるのかとのこと。


延長戦でアシストとゴールを決めた蒼唯、敢闘賞でインタビューは全員で勝ち取ったものと当たり障りないことを答えて軽くシャワーを浴びてトロフィーとともにタクシー代をもらってしおりを見て行先を伝える。


蒼唯が試合に出ていることはクラスメイトのみならず他のクラスメイトや先生たちも知っており、現地で合流すると英雄のように扱われて嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちもあった。


その日の夜、ホテルに向かって修学旅行生向けに豪華な料理がより美味しく感じていた。部屋に行って枕投げをしつつやはりサッカーの試合について語ることとなった。


部屋にあった修学旅行でなせトロフィーがあったのか記憶になかったがこれでその意味が分かった気がする。

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