とおるぜっ
ジジ、ジージー、ジジジジ
やまとんの格納庫内に、3Dプリンターの甲高い音が響く。
「都市につく前に
細身の長身に白衣。
その持ち物は大艦巨砲主義。
サクラギ言う。
魚雷を、”
サクラギが、超高性能3Dプリンターで部品を出していく。
金髪碧眼、厳つい胸部装甲、マリアが、出来た装甲パーツを次々に四本足のロボット、”
「出来たぜっ」
「出来たわっ」
パチンッ
サクラギとマリアがハイタッチした
今回は一からサクラギが設計した装甲だ。
先がとがり丸みを帯びた
カラスのくちばしのように伸びる胸部装甲。
両脇にモーターカノン二門。
腕や肩、腰部装甲も丸みを帯びている。
実体弾の跳弾を期待したものだ。
背中には居住モジュール。
「救難艇……か」
「これもつけておこう。 ついでに零式宇宙戦闘機にも」
サクラギが小さくつぶやいた。
全体的に丸みを帯びた女性的な姿になった
シャルロッテ王女のための
頭部に輝くアンテナブレード。
さらに、白地に白銀のエンブレーピングも施された。
余りにも女性的なフォルムになった戦重機。
「
「そうね、名前を、
マリアが叫んだ。
ここに、”
(宇宙世紀の、”ナイチン〇ール”を想像していただけると本望です)
「サルベージが見えて来ました」
艦内放送が聞こえた。
◆
今、宇宙戦艦、”やまとん”とサカイ達は、海賊都市、”サルベージ”に向けて移動していた。
とおりゃんせ、とおりゃんせ~
近距離しか通じない短波の無線から流れる、東和の古い童謡。
小惑星にある小さなガーゴイルの像から出ていた。
童謡とガーゴイルの像に導かれる秘密のルートを、”ガーゴイルルート”と呼ぶ。
大体中型船が通れるくらいの幅の道で、ある程度期間を過ぎるとランダムに変えられる。
「ふう、落ち着くなあ」
サカイは、タイプ零のコックピットでつぶやいた。
戦争が始まってほぼ十年。
ほとんどの時間をコックピットで過ごしてきた。
オールアラウンドビューの周りは小惑星がひしめき合う。
中型の船がギリギリ通れるくらいの幅の航路だ。
「師匠、使ってくだされなのジャ」
白地に銀色のエンブレービング。
シャルロッテが乗ってきた機体である。
少し離れた後ろには、宇宙戦艦、”やまとん”がついてきている。
零式の機体に赤と緑の識別灯が点滅した。
サカイが先に飛び道案内をしているのである。
「…………」
――しかしいい腕だなあ
今、やまとんを操艦しているのはガチムキ執事の、”アーノルド”である。
――何者なんだろう
サカイが少し首を傾げた。
行きは良い良い、帰りは怖い〜
怖いながらも
とおりゃんせ、とおりゃんせ〜
小惑星がひらけた。
その中心に、“海賊都市サルベージ”が浮かんでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます