第二章、ガゼフ内乱
しらせるぜっ
惑星、”ベーリン”。
ガゼフ王国の主都がある星である。
ガゼフ王宮の第二王女の執務室だ。
通信用のモニターである。
「シャルロッテ様。 サカイ様を見つけました」
マール商会の商人がモニターに映っていた。
「そうか、サカイ師匠は元気そうカヤ」
金髪碧眼、ドレス姿の女性が答える。
年は十六くらいか。
「今サカイ様は、”芋洗坂”にいます」
「それで、面白そうな機体が……」
「うむうむ。 コンペの動画を見たぞ、確か、ますらおとかいうのじゃロ」
「それから、襲ってきた海賊は第一王子の手のものかと」
「まだ、戦争がし足りないのか……」
王子の母である第一王妃の実家は、”西方”出身の、”ベンツアー重工”。
さらにシャルロッテの母は、”東和”出身である。
ニャンドロスは、東から攻めて来た。
”西方”までは攻めて来ていない。
――これ以上、”東和”の地を荒らさせてなるものか
シャルロッテ王女は、手を強く握りしめた。
◆
第一王子、”アレク”の執務室。
通信用モニターには、マール商会を襲った海賊が映っている。
「ちっ、失敗したのか」
青い眼と輝くようなきれいな金髪。
十代後半の美青年が醜く顔をゆがめた。
「へえ、大砲をつけた輸送船と変な機体に邪魔されました」
「これでげす」
やまとんと
「これは、サカイか……」
――たしか、”芋洗坂”にいたはず
ニャンドロスと今停戦中だ。
再び開戦するには、非戦派の第二王女と英雄のサカイが邪魔である。
サカイの手柄は奪ったが、当然現場の人間はサカイが英雄であることを知っている。
「捕まった仲間の解放を頼んます」
「……わかった、ひきつづき王女の妨害をしろ」
「へえ」
通信モニターが消えた。
「汚れた金髪め」
自身の輝くような金髪を手ではらう。
シャルロッテ王女の母親である第二王妃は、黒髪黒い目の、”東和”出身である。
彼女の金髪は少し暗い色をしていた。
「そろそろ排除するか……」
「我々のような優れた、”西方人”に、”東和人”も獣人である、”ニャンドロス”も支配されれば良いのだ……」
アレク第一王子が小さくつぶやいた。
非戦派で、東和人を母に持つ第二王女、シャルロッテ。
攻戦派で、西方人至上主義者の第一王子、アレク。
サカイは、”東和”の辺境惑星出身である。
◆
「あら~~、すごいわよっ」
「?」
マリアの声に怪訝な表情をするサクラギ。
マリアが枕元の携帯を見ていた。
「ガゼフの王女様が、
「ガゼフっていったら、サカイ君の祖国だね」
「そうよ~」
「ふふ」
マリアが、ベットの上のサクラギを押し倒す。
「んっ」
豊かな胸をサクラギに押し当てながらキスをした。
――これは何かがおこりそうだなあ
サクラギは、マリアの舌に自分の舌を絡めながらチラリと考えた。
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