第9話

慌ただしくも区切りの日の翌日、早くも新しい日常が始まろうとしていた。


「カール様 おはようございます! 本日より 貴族としての嗜みを学んで頂く事になります。 宜しくお願いします。」


「おはようございます!  先ずは 着替えからですね カール様 これが衣装になります」


ハワードからの宣言に似た挨拶から始まり、シンディーが笑顔で衣装を差し出した。


「これからの予定をお話しします。 起床は朝:6時 昼食は12時 就寝は9時になります。 午前中は基本、シンディーが担当し貴族としてのマナーから始まり 文字の読み書きになります。 午後からは私が担当し剣技、魔法の基礎をお教えいたします。 これらは状況を見ながら進めますので ご安心ください。」


「では、カール様 まず お着替えをして朝食に致しましょう。」


カールは頭の回らぬ寝起きの状態でハワードとシンディーから今後の予定を説明された。 基本 この世界は夜明けと共に起きて、日の入りと共に就寝するという自然と共に生活をしていた 但し一部の生活に余裕の有る者は日没後 獣脂か、魔法または魔道具により火を燈し生活の余暇を過ごしている。


アーレンハイト家では 目覚めの儀式前の子供は日没と共に就寝である。 そして儀式後 魔道具が与えたれ自由な時間を過ごす事が許される。 カールは今日より自由時間が午後9時まで与えられた事に成る。


カールが着替えを終えて、食堂に行くとマリアが既に食堂にいた。


「あにちゃ おはよう!」


「マリア おはよう 今日、マティルダ母さんと帰るのか?」


「あぃ あにちゃに逢えないのが淋しい」


「大丈夫だよ マティルダ母さんに剣技を教わりに行くから また直ぐに逢えるよ」


そんな、朝の挨拶をマリアとしていると 父と母達が食堂に入ってきた。


「カール、マリア おはよう」


「父上 母上 おはようございます 昨日は目覚めの儀式のお披露目 ありがとうございました 本日からハワードとシンディーに色々と教わる事になって居ます。」


「そうか 頑張るのだぞ!」


「はぃ!」


「カール! 今日は初日だから 午後からの剣技と魔法の基礎は私達も見る事にするわ だから  今日 帰る予定だったけど 明日に変更ね」


「マティルダ母さま ありがとうございます」


アグネスとマティルダは急遽 フィリップと相談しカールが知識だけの早熟かどうかを確かめる事にしたのだった 目覚めの儀式により神より授かった聖紋が他の人とは明らかに違う為に危惧をしたのだ。


「わぁ~~ あにちゃと明日まで遊べる!」


「マリア ダメよ カールは今日からお勉強が有るの 解る?」


「まりあも一緒におべんきょする。」


「マリアも一緒にするのか よし 今日だけはカールと一緒に午前中はお絵かきをしていなさい」


末娘に甘いフィリップからの一声にマティルダは深いため息をついた。


こうして始まった 朝食はいつもの家族団らんとは違うものの楽しいものだった


食後の紅茶を飲み終えたカールはマリアと手を繋ぎ、初めての授業を受ける為に自室へ向かった。 当然の様にその後にはアグネスとマティルダの姿が有った。



----- 午前初日 ------

アグネスとマティルダの姿に少し緊張気味のハワードとシンディーから今日からのガイダンスが話された。


「カール様 宜しくお願いします。 午前の授業内容をご説明いたします。」


1. 8:00~9:00  挨拶及びマナー

2. 9:30~10:30 文字の読み書き

3.11:00~12:00 イーストウッド大陸及びハイランド王国の歴史


「午前中はこのようになって居ます 状況によりお話をする内容を変える事もあります」


「カール様 次は午後からの予定になります。」


1.13:00~14:00 準備運動及び体力強化(これは走る事になります)

2.14:30~16:00 剣技(攻撃、守備の型)

3.17:00~18:00 魔法(魔力の循環と効率の良い使用方法)


「カール様 各 授業の間に30分の休憩を設けましたので無理は無いと思います 午後からの剣技に付いては訓練所にて模擬刀を使用します 私は中級なので3種類の魔法が使えます 始めに火魔法から始めます。 この様なスケジュールで進めますが ご質問はございますか?」


「母上達との訓練も有ると聞いているのだけど、どの様になっているの?」


「はい アグネス様 マティルダ様との訓練は私との基礎課程が終了後となります。」


「そうか じゃ~ 基礎課程を早く終われる様に頑張ってみようかな」


「そうですね 頑張って下さい。」


ハワードやシンディー、アグネス、マティルダも早くても3ヵ月は掛かると思っていた。


今は新緑の4月 真夏に成る頃にアグネスやマティルダも訓練が開始できるようにスケジュールをしていた。


午前 シンディーから礼儀作法として 挨拶から始まった 王様や上位者に対しての挨拶だ


右足を引いた状態で膝を付き、右手を胸に付けて頭を垂れる これは一度で完璧になる


次は歩き方、立ったままでの略礼に続き ダンスへと続いて行った。 ダンスもまだ ぎこちないもののステップを一度でマスターしたのにはハワードやシンディー、アグネス、マティルダも頬を引き攣らせながら驚いていた。 後は場数を踏めば完璧だろう


次の語学だが、是にはもう 皆は唯々 驚き 呆れるしかなかった


シンディーは絵本を読みながら文字を教えようとしたのだが カールは文字の構成を聞き その組合せを尋ねた 全てはアルファベットの基となる記号の組み合わせだからだ 発音から文字の組合せを想像していく 1時間で大体の文字の構成と仕組みを理解した。


(前世でこんな事で文字や発音が覚えられれば、英会話やドイツ語等の諸外国語にシャーマン特有の言語に発音が容易に話せたのだがなぁ~と思った。)


次の歴史だが テキストに成る資料や本はそれなりに有るのだが、基本は一度の話で全て覚えてしまった。


全ての事柄がまるで頭脳と云う砂漠に知識と云う水を撒くようになんの淀みもなく吸収されていく。 かくして午前の授業は終了していった 残ったのは力なく項垂れたハワードやシンディー、アグネス、マティルダの4人だけである。 カールは新しい知識に目を輝かせるだけである。 


これらは全てディアナの使徒としてのオマケによるものだった。


午後からの授業はどうなるのだろう? ハワードは早くも憂鬱であった。 既にシンディーは燃え尽きている 。。。。。

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