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 気づくと、周りの全てが白い幻の中に。

 立ち昇る揺れの中にあった。


 不思議と心地よいその揺れは、寂しい心に浮かぶ夢のような、優しい景色だった。


「危険とは言ってもね、あの塔のずっと向こう、何キロも先に行かないと熱い蒸気は来ないのよ」


「そうだね、水蒸気もこの国の名物だ。離れて見る分には平気なんだよ。この塔からずっと向こうの、あっちの谷のほうから溢れてくるんだ。とても熱いし、勢いがすごいから、念には念を入れて、この塔で見張っているってわけなんだ」


 ショーンさんはジャックを見た。


「君は……初めてかい?この塔に来るのは」


「はい、今日が初めてです」


「予約していくかい?夜が訪れる瞬間を」


「ジャック、そうしましょうよ!見私も久しぶりに見たいわ」

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