子どもと謎とクライシス

123

 建国祭から三日。

 ジャックはたそがれ雑貨店のお店を閉めた後、中央広場へ向かった。


 午後16時前、すでに夜が訪れたシリウスには、夕陽代わりのランタンが灯り、沢山の品々を売るお店の活気、笑い声、子どもたちの楽しそうな声で溢れていた。



「だいたい学校が終わった頃、広場周辺にいるわ。来れるときに来て」



 湖の夜、そう言ったスピカの姿を探しながら、広場の賑わいを眺めて歩く。



 ポップコーンの香ばしい匂い。


 ジェラートのほんのり甘い匂い。


 林檎りんごの匂い。



 軒先に吊るされた美しいランタンたち。



 ハッティーワークスの前の大きな、ガラスの象の前で、子どもたちの歓声が聴こえた。


 ひと際、楽し気な声を上げていたスピカと目が合った。


 青い、惑星。急いでこちらに駆けてくる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る