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「お時間大丈夫でしたらどうぞ」


「ありがてぇ」


 ジェイクはソファーでカフェラテをすすった。


 時間は大切だけれども、バランじいは、ガラスの色彩合成技術、ガラスの加工技術の権威だけれど、それ以外はからっきしだ。

 商談の際はいつもバランじいを待つ時間が発生する。それを含めてスケジュールを組み立てる。この小部屋で、ジェイクはいくつもの新製品のアイデアを生み出した。バランじいの商談室を第二の作業場のようにも思っていた。


 いつもなら、ジェイクはノートやペンを取り出したり、小さな修理品を出して、修理を始めるところだ。だけど今はそれよりも興味があった。


「ランタンは買えたかい?」


「覚えていたんだ。それがまだなんです」


 猫の少年は金色の瞳を細くした。

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