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「よくぞ聞いてくれた!」


「あら、ジャックさん。聞いてあげなくてもいいのよ。まったく、この人。本当におっちょこちょいなんだからね」


「ぐぬぬ」


 ははは、とジャックは笑った。


「まぁ一応その人、ガラスのこと……頑張ってるからね」


「むぅ」


「さ、私は帰るけど、痛くなったら遠慮なく来てね。はす向かいの病院に住んでるから」


 マーサはリネンのバッグにエプロンや三角巾をてきぱきと詰めながら言った。


「バランちゃん?ジャックさんにスープを飲ませてあげて。……できるわよね?」


「う…うむ」


「書いておいたけど、……ジャックさん。困ったら病院に来てくださいね」


「大丈夫じゃて!」

 

 小人のおじいさん――バランさんはマーサをぐいぐい押した。

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