ジャックと灯りとガラスの町

19

「散歩してみれば、必ず素敵なことがあるわ」


 一緒にお皿を洗って、スピカは帰った。


 青い光が、だんだんと遠ざかってゆく。


 ジャックは自分のランタンに火を灯した。

 見慣れた灯りが体を包む。

 柔らかい、暖かい、炎の灯り。


 あれは、夢だったのではないか。

 青い惑星ほしのような光り。


 ズボンのポケットを風が揺らした。

 紙が擦れる微かな音。


 取り出した紙には楽し気な文字。



 シリウスへようこそ☆ミ



 火山と海に囲まれた、美しい湖の国。

 ガラスの町、シリウス。


 川を下って、公道に出たら道なりに真っ直ぐ。


「中央広場で役場の場所を聞く???」


 小さな文字でそう書かれている。


「まぁ確かに着けそうだ」


 湖に、ランタンの灯りが映っている。

 炎の灯りがゆらゆらと。


「素敵なこと……か」

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