17

「もちろんよ。でも火を使ってはダメ」


 スピカは穏やかに、しっかりと言った。


「料理以外にはね」

「うん。誓うよ」


 ジャックは頷いた。


「でも困ったな。僕のランタンは火力式だ」

「大丈夫よジャック」


 スピカは微笑んだ。


「旅人はすぐに捕まったりしないわ」

「えっ、捕まるのかい?」

「捕まるわ。三年の禁固よ」

「三年か……」

「旅人には三日間だけ、猶予があるわ」

「でも、使わない方がいいね?」

「ありがとうジャック」


 ジャックは頷いた。


「役場に行くといいわ。地図を書くわね」

「ありがとう」


「明日にでも、役場でこの石をもらってね」


 スピカはランタンから石を取り出した。


 ふぅ


 青白い光が広がった。

 心地よい青空の中にいるみたいに。



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