———貴女の職業は”狙撃手”です———

K2(けにー)

第1話


———ドゴゴゴゴ!


「・・・あ、地震だ」


大型トラックが近くを走ったのかと思った。と、目を覚ました少女———名取恵奈なとり えな———は、震度3くらいかな等と思いつつベットから起き上がる。


時刻は0時ちょうど。なんて時間に発生するんだと恨めしく思いつつ、収まるのを待つ。


スマホを見ると6強だった。アラートは何故かなっていない。


しかし、大震災である。


真面目にヤバい震度であり、もし海沿いだったら津波を警戒して直ぐに高台に避難しなければならないレベル・・・なのだが、日本人だからか地震に鈍感なのかもしれないけど、そんなに揺れてる感覚はない。


本当に6強かのか。かたかたと小さな揺れしか感じないのだけど。


暫くして地震が止むと、もう大丈夫だろうと再び眠りにつこう。


そう思った時、押し入れの中からバキバキッと何かが壊れる音がした。


「まさか崩れたりしないよね」


まだ築10年しか経ってないし大丈夫でしょうと楽観視しつつ、しかし心配になって扉を開けた。


「えぇ?」


岩の階段が下に続いていた。


勿論、この家に地下室はなく、そもそも恵奈の部屋は2階である。何よりこのような階段を設置した覚えもなく、本当に只の押し入れであった場所だ。


「何が如何なってるのこれ?」


先ほどの地震といい、何か異常が発生している。


「それにしても・・・」


これってダンジョン?


恵奈はなろうを嗜んでいる関係上、現代ファンタジージャンルも当然読んでおり、このような展開を結構見てきた。


「まさかそんな事、あるわけないよね?」


と言いつつも、期待を胸に包丁を手にして階段を降りる恵奈であった。



*****



階段を降りる。


「意外と明るいね」


洞窟を構成する岩肌には、青白く発光する苔が多く生息しているようで、人工光には及ばずとも明るい。


青白く光る苔を見た時点でこれはダンジョンだと暫定した恵奈だが、もしこれがダンジョンでなかったらと思うとちょっぴり怖いと思っている。


そんなふうに光を放つ物質なんて、核物質に他ならないからだ。


階段を切ると、左右につながる分かれ道。


「右ね」


特に考えることもせず、なんとなく右を選択し、奥へと進むと、地面に何かが這いずっているのが見えた。


すわっスライムのお出ましか!?


この時はマジでそう思っていた恵奈だったが、そのシルエットが鮮明になった時。


「くぁwせdrftgyふじこlp⁉︎⁉︎⁉︎」


声に鳴らない悲鳴を上げて発狂した。


それは中型犬ほどの巨躯を誇る———カタツムリ。長い目を非規則に動かすその姿、粘液のテカリ具合、不気味に蠢動する巨大な身体は、正にモンスター。


「マジ無理無理カタツ無理ッ‼︎」


錯乱状態に陥った恵奈は、あろう事か、唯一の武器である包丁を投げ捨てた。


カタツムリに向かって。


放物線を描いて飛んだ包丁は、なんとカタツムリの目と目の間に突き刺さる。


キュロォオォォ・・・


不気味な悲鳴を上げて地に伏すカタツムリは、一拍。粒子となって煙のように消える。


死亡したようだ。


「あ、死んだ。というか、もうダンジョン確定じゃん」


途端、正気に戻った恵奈である。


恵奈は知らなかったが、カタツムリの目と目の間には脳が存在する。うまい具合に急所に突き刺さったのは正に行幸で、一撃で倒す事に成功した。


そして、ダンジョンでモンスターを倒せば、報酬があるのはお約束。


死したカタツムリが存在した場所には小石と小瓶。所謂、ドロップアイテムが出現する———のと同時に。


ピコンっ

『モンスターの討伐を確認。討伐者にステータスを付与します』

『人類初のモンスター討伐が確認されました。特別報酬を付与します』


ああ、やっぱりステータスがあるんだね!とカタツムリとの出来事など忘れて興奮気味にステータスと発する。


半透明なプレートが出現した。


「本当にでた」


『特別報酬の付与が完了。貴女の職業は”狙撃手”です』


「えっ?」


待ってよ。勝手に職業決められちゃったんだけど・・・


アナウンスは私に”狙撃手”という職業を強制した。特別な報酬ということなのでてっきり物品だとばかり思っていたが、取り敢えずステータスを見る。



—————————————————————————————

名前:名取恵奈なとり えな

種族:人間

性別:♀

年齢:18

職業:【狙撃手】

職業特性:【狙撃銃召喚】

     【狙撃銃ステータス】

     【戦利品回収】

     ———————————

     【狙撃技術】レベル:1

     【弾丸生成】レベル:1


レベル:1

体力:50

魔力:100


スキルポイント:10

取得済みスキル

【】

—————————————————————————————


「お、おぉ・・・」


モノホンのステータスをリアルに拝める日が来るとは。と、感無量な恵奈だったが、ここはダンジョンの中であることを思い出し、先ほどのドロップアイテムを回収すると、一旦家へと引き返した。


「ただいまっと」


戦利品を机に置くと、改めてステータスを確認する。


結果から言うと、マジでゲームの様な代物だった。


簡単にまとめると、下記の通りになる。


名前、種族、性別、年齢はその通り。

体力は無くなれば死ぬ。

体力に関係なく急所や頭部を損傷すると即死する可能性がある。

魔力は無くなると死にはしないが辛い思いを味わう。

レベルは上がるとステータスが底上げされる。

レベルが上がるとスキルポイントが2貰える。

スキルポイントはスキルを取得したりレベルをあげるのに使用する。取得には2。あげるには1必要。


と言う感じだった。


続いて職業とスキル。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る