2023.06.24(土)

2023.06.24(土)


 日が替わってしばらく、金原ひとみ『アタラクシア』(集英社文庫)を読む。この時間に200ページ辺りまで。ちょうど全体の半分が読み終わる。章ごとに視点人物は異なるものの、5人のあいだには、夫妻であったり、不倫関係であったり、友人であったりと、色合い豊かにそれぞれの関係が混淆している。芸能人の不倫について世間では殊更あたりが厳しくて、強い声をあげて追及する向きの人もいるけれど、既婚者の何割かが過去に不倫をしたことがある、現在もその途中であるという調査結果を何年も前に見たことがあった。なかにはおしどり夫婦のように何年経っても仲睦まじい夫婦もある。その一方で、この作品の登場人物のように、婚姻関係は形だけになっていて、自分の気持ちは他の人に移っているということもよく聞く話だ。

 いま観ている『推しの子』のことを、山田玲司さんの解説動画では、「嘘」という言葉をキーワードにして説明されていたけれど、不倫というのは、ある種、嘘と真実が入り混じったもので、相手の人生に責任を持つ必要がないからこそ、逆にそのときの自分の気持ちに素直になって羽目を外すことができるというようなところに入っていくように思える。自分の気持ちに真摯になるには、誰かに嘘をつき続けなければならなくなる。

 しかし気塞ぎで、いまの自分がどこにも行けなくなっているときに、ふいに別の方向に光が見えるから、救われたい一心でそちらに手を伸ばして縋りつくみたいな感覚で、しかもそれは結婚生活の行き詰まりがあるから隣の芝が青く見えるみたいなもので、もし結婚していなかったならその人の方になびく線はあったのかと思えてしまう。

 いろんな機微はあれ、結婚生活によってどんなことが立ち起こってくるのか、さまざまなケースについて書かれてある。


 題名の「アタラクシア」の意味を知らなかったので検索してみた。


《アタラクシア(古希: Ἀταραξία、英語: Ataraxia)とは、心の平静不動なる状態のこと。乱されない心の状態。激しい情熱や欲望から自由な、平静な心のさま。》


《エピクロスは、人間の本当の楽しみ(快楽・安楽)というのは、結婚することは避け、子供を作らず、「隠れて生きよ」(古代ギリシア語: λάθε βιώσας, lathe biōsas, ラテ・ビオーサース)という方針で生きる時にはじめて得られる、とした。そのために、アタラクシアの境地(外界にわずらわされない平静不動なる心の状態、心から動揺をとり除いた境地)を実現するのが哲学の究極の目標・理想だとした。》


 アタラクシアには遠い道のりのことが描かれるのか、アタラクシアに到るなんらかの諦念を描くのか、あるいはアタラクシアは画餅であって、誰もそんな理想には到達できないんだよというメッセージであるのか。どんな結末に到るのか。また5人のエピソードを通じてどんな全体像が浮かび上がってくるのか。

 いまようやく折り返し地点だ。


 1時過ぎ、ごはんを作る。この時間は、昨夜の晩ごはんなのか、けさの朝ごはんになるのかよくわからない。

 気分的には晩ごはんのつもりだけれど、自信がない。

 今回は、KALDIで購入したクスクスを使ったメニューにする。クスクスを扱うのは二十年ぶり。といっても当時どう作ってたっけと忘れてしまっていたので、箱の記載に従うことにした。

 鶏むね肉とタマネギ・トマト・生クリーム・白ワイン・コンソメでトマトクリーム煮にする。

 クスクスを盛り付けたお皿に、クリーム煮をカレーのように流しこんで一皿にする。

 クスクスには少量のオリーブ油と塩。

 体感的にはファストフードに近い。料理はジャスト一食分。

 クリーム煮に生クリームを使うと、残りの生クリームを早めに使用しないと傷んでしまうから、近いうちにまたなにかに使ってしまわないといけない。鶏むね肉があと半量あるし、同じメニューでもいいか。


 その後、アニメ『推しの子』10話を視聴する。重曹を舐める元天才子役(!)、有馬カナの魅力が光った回だった。責任感のとても強い、人に頼られたら放っておけなくなる姉御肌。つねに全体のことを考え、相手のことを気遣い、自分が無理してでも状況を好転させようと努力する。ときに空回りしかけることもあるし、あとでそれが全部自分に跳ね返ってくるとしても、そのときそのときにできる精いっぱいを振舞っていこうと努力する。子役時代は恵まれた状況だったけれど、高校生になるまでに彼女は数知れぬ辛酸をなめた。部屋でひとり、忸怩たる思いの内に沈む夜も多かったようだ。ルビーたちと一緒にユニットを組んでのアイドル活動。これによって彼女たち三人の運命は好転するのかどうか。意外なところでアクアがサポートに回っていたことが判明する。これは後に吉と出るか凶と出るかどちらだろう。

 原作も気になるけど、たぶん読まないと思う。漫画を全巻揃えるなら、他の小説を買いたい気持ちが強くて。同様の理由で、進撃の巨人も、鬼滅の刃も、原作を読んだことはない。自慢にもならない話ではあるけれど。


 朝になって、青山繁晴議員の動画を視聴する。メタンハイドレートの採掘を拒む勢力の狙いは、日本は資源の乏しい国だということにしておいて、海外から高い資源を購入し、それに自分たちの利益を上乗せして各家庭に電気代の負担を強いている現在のその状態を今後とも維持していきたいということ。輸入する価格が高ければ高いほど、比率で上乗せできるから、既得権益にはとても都合がいい。それが日本海側の海底に、メタンハイドレートという純度の高い、軌道に乗れば、これまでの輸入額よりもよほど廉価に一般家庭にエネルギーを供給することの可能な資源があるという事実。これをどうにかして国民にひた隠しにしたいという思惑が透けている。

 自分さえよければいいという意識であって、日本の社会全体をもっとよくしていこうとか、住みやすい環境を整えていこうという意識からはまったく掛け離れているのがこういった動きだという風に、動画を拝聴しながら感じていた。近頃の増税一辺倒もそれだし、そろそろ五公五民から、六公四民になるかもという話だし、減税という話もほぼ出なくなっている。多くの権力者が我が我がという感じに目先の利益の追求に汲々としていて、社会のいたるところにひずみを生じさせていることに目を瞑ろうとしているように感じられる。

 この流れはまだまだ止まらないし、今後も状況は悪化していくのかなと思いもする。


 遅い時間に晩ごはん(?)を食べてしまったため、朝7時過ぎに、ちょっとだけお腹に入れることにする。プレーンヨーグルトとカットしたピンクグレープフルーツ。なんか意識高い系の朝ごはんみたいになってしまった(笑)


 寝るまでの少しの間、このまえSwitchで購入した『ゲーム・オブ・ドラゴンズ』を遊ぶ。どことなくフリーゲームのカードワース感があるゲームで、クエストを受注して、敵を殲滅し、得た報酬で、武器を購入・強化、またゲーム中に使用できるさまざまな能力を持ったカードをガチャ形式で収集し、より強い敵に挑んでいくといった内容。UI周りがややこしくて、バトルカードの購入画面がわからなかったので、Twitter検索でプレイ記事を書かれているブロガーさんを見つけて、さっと読んでみる。丁寧に書いてくださっているのでこちらの疑問も解消。とりあえずバトルカードも買えるようになった。しかしすべてのカードを揃えても、またその強化のためには複数枚のカードが必要になるし、とにかく依頼を周回して金銭と素材をかき集め、地道にこちらの戦闘力をあげる必要があるみたい。やり込みゲームなんだけど、その方曰く、これはくそげーなのかもしれない?(笑)とのこと。でもこつこつ遊べるだけの材料は用意されているから、わたしこういうこつこつ遊ぶ系ゲーム嫌いじゃないですし、と自分を鼓舞しておこう。値段分の元は取らないとね。


 途中、Switchのコントローラと自分の手の大きさの差が気になって、手許だけの写真をTwitterにアップする。何件かの反応をいただく。ちなみにわたしは中指の先から手のひらの終りまでの長さがちょうど20cmある。以前、相撲取りの貴乃花関だったか若乃花関だったかの手形が飾られているお店があって、自分の手をかざしてみると、同じ大きさだったので笑えてしまった。ちなみにバスケットボールを中指と親指でほかの指を離した状態で持つことができる。いまはどうかわからないけど、若い頃はそれができるくらいだった。Switchのコントローラが文字通りおもちゃのように見える手の大きさなんである。


 9時半就寝。昼3時起床。

 入浴後、夕食づくり。


 夕食はとろろ(梅肉・大葉・醤油)・かるしおサバ(大根おろし・ぽん酢)・サラダ(サニーレタス・タマネギ・パプリカ・きゅうり・ドレッシング)・白米。


 そういえば、きゅうりは、栄養の少ない野菜としてギネスに記載されたらしい。きゅうりはしかしフレッシュなのを齧ると気持ちよくて気分があがるから、栄養うんぬんよりも、美味しく食べることができる点で効能はあるよねと思ってしまう。わたしはこれからもきゅうりを食べていく所存である(なんの宣言なんでしょうか?)。


 さて、食後は、ローダン新刊691巻『支配者ヘプタメルへの讃歌』を少し読みはじめる。オファラーのサラアム・シインが活躍する話? と勝手に思ってるのだけどどうなるんだろう。まだ1章を読み終えたところ。


 その後、先日璃空編を終えた『オランピアソワレ』を起動する。鉄は熱いうちに打て。四人目の玄葉編に入っていく。と、黒がなぜ化色(あだしき)と呼ばれるのか、その一端が語られるパートに入った。色こそ自身のアイデンティティというような人たちにとって、たしかにこれは由々しき事態だと感じる。しかし化色といわれ、周囲から忌避される動きが強ければ強いほど、これまで玄葉が耐えてきた苦労もそこに垣間見えて辛くなる。ルートに入ってほとんどしょっぱなにこんな話になってくるのだから、このルートの先々にはもっと辛い話もあるんだろうか。ぼちぼち進めていこう。


 6時半仕事へ。

 今日の勤務には、ローダンとアタラクシアを持っていく(休憩時間に読む用にね。といっても仕事前に15分、仕事の中休みに20分くらいだけなんだけど)。どちらも同じくらい先が気になるから、どちらから読もうか迷うところ。幸せな悩みだ。

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