2023.03.14(火)

2023.03.14(火)


 3時半帰宅。


 朝食は昨日使用したA1ソースを違った風にして食べてみようという企画になった。A1ソースはこれまであまり使って来なかった。材料を見ると、いちばん最初に醸造酢系が来ているから、これはビネガーだと見立てて使うとよさそうと思って、ソースをつくるときにまずフライパンでくつくつ似て酸味を飛ばす。いい頃合いで市販のデミグラスソースを投入。しばらく煮れば牛肉のソースとして使えるものになる。

 肉は昨日と同じ、ローストビーフ用の牛モモのブロック肉。これを一口大の大きさに切ってソテーする。先のソースに絡めて別で取っておく。

 たまねぎ、細切りを炒める。ピーマンも細かくして炒める。卵は2個使用して柔らかく仕上げる。

 この4品を炊きたてのごはんをよそった上に盛りつける。三食丼の欧風バージョンにしてみる。


 食後、ネットを見るうちに、大江健三郎さんがお亡くなりになったことを知る。もう新しい小説は書かれることはないんだろうなとは思っていた。それでも新作はもう見ることはないんだということがこちらの胸にぽっかりと穴をあけてしまったようだ。

 大江さんの日頃の主張だった憲法9条を守れという言葉などは、違う世代の考え方の異なる人の一意見としてみるようになっていた。中高のときは憲法があるから平和だったんだという言葉をそのまま素直に受け取って考えることはしなかったけれど、どうもそういう考えを社会が共有して維持しようとしているだけのように感じられて、身の回りの争いにもどうか穏便にと願うだけの人たちに囲まれながら、本音と建前の狭間に横たわる大きな溝を覗きこまされるに至って、どうやらこれは違うらしいと思うようになってしまった。

 しかし小説は別だ。二十代半ばに『燃えあがる緑の木』を読んで、その豊富な物語のイメージに感銘を受けた。好きな人は初期の短編であったり、『万延元年のフットボール』であったりがいいとされる方が多いと聞くけど、わたしが読み始めたのはもうノーベル文学賞を受賞されて十年ほど経った頃だったし、自分でも遅れてきた読者だという感覚は少しはあった。(それでもほんの少しだ。)

 当時は村上春樹さんの『ねじまき鳥クロニクル』や、埴谷雄高さんの『死霊』など複数巻にわたる、ある程度長いものを読みたいという熱に駆られていて、書店で見かけた三巻本の『燃えあがる緑の木』はお誂え向きの厚みだった。長さがまず手に取る動機だった。

 読んでみていいと感じる。何が書いてあるかわからない部分も多かったけれどここに書かれていることをもっと知ってみたいと思うようになった。まだ見たことのない四国のいろんな風景のなかで育まれるドラマがそこにはあった。(渓流釣りでアメノウオが水面から飛び上がって、小虫をくわえてまた水面に戻るシーンとかぞくぞくしたな。)

 これまでに三度ほど通読したけれどまた読み直したくなった。

 出会うことができてよかった作家さんだと思う。ご冥福をお祈りいたします。


 その後、Switchで『ドラゴンクエスト』をプレイする。ラダトーム城のバリアの上を抜けた向こうにいる兵士からガライの町にあるという謎の話をきく。ダンジョンに向かうとどうもそこはそれまで出会った中で一番つよい敵に遭遇する場所だった。不安を感じながらダンジョンの奥へと足を延ばす。もう戻らないといけないなと思って帰りの心配をしているときにレベルが上がって「リレミト」を習得する。これはダンジョンから脱出することのできる魔法。何てタイムリーな。それによってぎりぎりまで探索することができるようになった。結局途中の階で迷って最後まで進み切ることができなかった。レベルは12まであがる。装備ははがねシリーズにして敵にもダメージが通りやすくなっている。リレミトでダンジョンをあとにしてセーブして終了。

 ガライの町のダンジョンよりも先にこなしたほうがいいダンジョンが二つあるから、まずはそちらに向かわないと。格下の敵が出るだろうから攻略はいくぶん簡単そうだ。


 ゲーム後、百田尚樹さんの大江氏追悼動画(といいつつ揶揄にまみれた配信だったけれども)を見かける。大江さんは団塊世代よりもさらに前、戦前・戦中生まれだから、考え方がちがっていてもそれは当然だと思う。百田さんの世代が持っている価値観ともちがうし、もちろんわたしとも異なる。いまの若い人とも、また異なるだろう。それに対する理解のないままにちがった考え方をする人を難詰するのは違うのではないかと感じてしまった。ちょっと品がないのではないかと。

 名言集はたしかにいま聞くと、えっ、と思うようなものが多い。事実無根と思えるようなものもある。しかし死者に鞭打つのはちがうのではないかと思ってしまった。悲しい。


 あと、寝る直前にアドベンチャーゲーム『オランピアソワレ』を少し進める。璃空編。そうか。舞の主の正体はそういうことかとわかる。色相の異なる相手との関係。トバシが大罪である世界線。ルートごとにちがった局面が語られる。今回はどういうことが明らかになるんだろうか。


 10時就寝。昼3時起床。


 夕食は鶏むね肉をカット、塩コショウして両面焼き。それに追加で粗挽き胡椒と、ディジョンマスタードをたっぷり目に塗る。これは二十歳のころに学校で食べたことのある味だった。懐かしくてまた食べてみたいと思っているうちにこんなに月日が経ってしまった。マイユのマスタードは日本のものに比べて辛みは弱めだからできること。懐かしい味だった。付け合わせは、菜の花のおひたしと、ミニトマト。あと白米を食す。


 入浴後、『ペルソナ3ポータブル』をプレイする。レベル17になる。まだ疲労は出ていないからもうすこし経験値&お金を集めることに専念したい。

 ゲームをしながらエア・サプライのベストアルバムを流す。しっとり聴くことができる。

 ゲーム終了後、どうにも元気が出ないので、オフスプリングの『コンスピラシーオヴワン』に切り替える。一気に気分があがってくる。


 この時間ふと脳裏をよぎった創作のヒント。宗教話――狂信者のメカニズムといったことでひとつ頭に浮かぶものがあった。言葉で書くと粗っぽいけど、実はそんなに苛烈なイメージではない。ただ盲目的になにかを信じる集団に引き起こされるひとつのベクトルを掬い上げてみることが、自分の書きたいものにつながるように感じられて。そんなわたしは仏教徒でありもする。信じるとはなにかということを自分なりに思う処と重ねて書ける部分もあるかもしれないと思っているところもあって。


 6時半仕事へ。

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