何も無かった(2022年書き納めSS)
「――――」
晴明は一人、輝く月を眺めていた。憂いを帯びた表情が、ぼんやりと月光に照らされている。
「おや晴明くぅん、
「やぁ、君か……いいや、なんでもないよ」
背後からかけられた声に振り向けば、そこには友人の姿。心配そうに眉根を寄せながら、糸目をこちらへと向けていた。
晴明は静かに首を振ると、フッといつもの様なおどけた笑みを見せる。
「なんでもないんだ……なんにも」
揺れる紫紺の瞳は月を映していた。
綺麗な、綺麗な満月を。
「今年も、なんにも無かったんだ……」
晴明は一人、静かに呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます