妖精が奏でる恋のアリア

花野拓海

黒髪赤目の少年

新年、あけましておめでとうございます

はじめましての方ははじめまして

お久しぶりの方はお久しぶりです


こうして、新年に無事に更新することができて感無量です!

一応、予定としましては二日間の計48話連続更新となっておりますので、付き合ってくださる方は、二日間よろしくお願いします


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 薄暗い森の中でその男は木を背もたれにして眠っていた。


 周囲にはそんな男を絶好の獲物だと、誰が喰らうか様子を見ながら近づいてくる数匹の狼型の獣の姿があった。

 やがて痺れを切らしたのか、一匹の獣がその牙をもって男を喰らおうとし


『ギャ!?』


 その喉をいつの間にか持っていたナイフで掻っ切られた。

 獣たちは警戒するが、男は依然目を瞑ったまま。


『ギャアギャアギャ!』


 警戒を強めるも、先程と変化はなく依然として男は眠ったまま。

 ならば、寝相として腕が動き、偶然にも首を掻っ切ったと考えるのが自然。知能の低い獣はそう判断して、また一匹がその牙を光らせ


『ギャ!?』


 先程と同じように、首は切られた。


『ギャギャア!?』


 二度も同じことが起きれば偶然とは言い難い。今度は油断しないように全員で襲いかかろうとして、男の姿が消えた。


『!?』


 驚愕し、急には止まれずにそのままの勢いのまま木に向かって突進して、一斉に首を斬られた。


 男は、声をあげることもできず絶命した獣を一瞥すると、興味無さげに視線を移し手を動かして感覚を確かめる。


 そして強く握りしめると、苦しげに呟いた。


「──まだだ………まだまだ、足りない………」


 そして男は振り向くことなく首を傾けることによって飛来してきた矢を躱した。


「………小鬼か」


 気配でその正体を悟った男は、自慢の敏捷で接近し、首を狩りとる。

 どうやら斥候の役割を担っていたようで、少し行った場所から数体の小鬼が接近してくる気配がする。その中には、小鬼たちの親玉である大鬼も存在していた。


「………【我が名はアイン。災禍を宿りし名。堕ちたるその身を惑わし、呪われろ】」


 そして魔法の詠唱を終わらせると男は小鬼達を一方的に虐殺し、大鬼すらも呆気なく殺してしまった。



■■■



 ギルドの中が騒がしい。今日も今日とて冒険者ギルドの受付をしていたミカンは騒がしい原因を考えながら、一週間前から姿を見せない冒険者のことも考えていた。


「………おい」


 と、そんな声が聞こえたのでミカンが思考の世界から意識を現実に戻すと、丁度考えていた件の少年の姿があった。


「これ、換金頼む………」


 そんな心配されていたなんて微塵も考えてなかったかのように淡々と換金を頼むその姿を見て、無事なことに安堵していたミカンの感情に少しづつ憤怒の感情が溢れてきた。

 だが、憤怒の感情を気力で抑えると、ため息を吐きながら


「リンくん………一週間も顔見せないで何してたの?帰ってくる時と探索に出かける時は顔見せてって………」


「ああ。だから顔見せに来ただろ?」


「へ?だから、行く時も………」


「見せたじゃねえか一週間前に………それよりも換金」


 リンの言葉を一瞬理解できなかったミカンだったが、少しすると完全に理解し、ギルドの中ではミカンの悲鳴が轟いた。



■■■


「まだまだ………もっと、強くならないと………」



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キャッチコピーは後で考えます

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