間奏曲

 二日後の新聞の特集。

『モンペリオ・カンパニー、クリナエジスに技術提供――空を鳥のように飛ぶための発明品【モンペリオン】を共同開発することを発表。すでに三台の試作機が存在しており、今後メルツェベルクと正式な国交を結び、国土の防衛のために互いに協力していくことを表明。今後、クリナエジスともにメルツェベルク市国を名乗ることを目標にしていくと、デガルド・ハウロ・モンペリオ氏は語った』

 

 三日後の号外新聞。

『モンペリオ・カンパニー社員、亡命か――開発室の室長であったセレバル氏とリグル氏を含めた十名が、会社の技術を持ち出してダイロン=ザシアへと渡ったことが発覚した。昨日、クリナエジスに技術提供した飛行機巧【モンペリオン】や自動三輪として発売が予定されていた【ラックス】などの技術が国外へ流出したとみられる。セレバル氏やリグル氏などは、会社内で評価されない現状を嘆いている様子が目撃されていた』

 

 五日後の新聞の三面記事。

『デガルド氏に責任追及の声――モンペリオ・カンパニーの社員が自社の技術を他国に流出させた問題について、社長のデガルド・ハウロ・モンペリオ氏の責任問題を問う声が上がっている。メルツェベルクの代表でもあるデガルド氏の会社から技術を持ちだした人間については、社内で冷遇されていたとの情報があり、彼の経営者としての手腕に多くの人間が疑問を抱いている。ある住人は「ボクは今までの街の在り方には疑問があります。今後はダイロン=ザシアとの友好を深め、新しい街づくりを進めていくべきでは」と話す』

 

 さらにその八日日後の新聞の一面。

 デガルドが、飛行用技術のメモを受け取って約二週間のことだ。

『ダイロン=ザシア、巨大飛行艇建造か――クリナエジスの高官の発表によると、かねてより研究をしていた技術と持ち出された技術が最悪の形で融合したようである。すでに【モンペリオン】は完成しており、戦争が秒読みとも噂されている』

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