エピローグ

それから時は流れ、高校三年生の春。


俺と美波は、また同じクラスになって隣同士になった。


「戻ってきたんじゃね、ウチら。」


「そうだな。」


「これで少なくとも今年一年は大丈夫なんじゃろうね…?」


「馬鹿言うなよ…。


ずっと大丈夫だって。」


「…うん。」


俺達が再びこの場所に戻ってくるまでの間には、本当に沢山の出来事があった。


そのどれもが、今では全部大切な思い出だ。


別れた事だって沢山の大事な事に気付く為に必要だった事だし、今は本当に良かったと思ってる。


こうしてこんな風に、良い思い出も悪い思い出も大事に出来るのはやっぱり美波のおかげなんだろうなぁ。


「いつもありがとな。」


「こちらこそ。」


「よぉ、始業式の朝からイチャついてんなよ。」


今来たばかりのヤスが挨拶ついでに早速皮肉を言ってくる。


ちなみにヤスもまた同じクラスで、席は俺の後ろだ。


「や、ヤス!別にイチャついてなんか!」


「そ…そうよ!別に普通じゃし!」


二人で同時に言い返すと、思いっきりため息を吐かれた。


「本当に…お前らを見てると二年の頃が嘘みたいだわ…。」


「「うっ…。」」


それに二人して口ごもる。


二年の頃、か


言われて、あの文化祭の花火の後の事を思い出す。


花火が終わった後、俺達は久々にゆっくり二人で話をした。


「俺さ、美波の事全然知らなかったんだなぁって別れてから気付いた。」


「うん、ウチも一緒。


あんな近くに居ったのにね。」


「だから、もっと知りたいって思った。」


「うん、ウチもそう思う。」


俺達には残された時間がある。


その残された時間がどれだけあるかなんて分からないし、その間ずっと一緒でもお互いの事を全部知る事なんて出来ないのだろう。


でもその残された時間の中で、これから知っていく事の一つ一つを大切にしていきたいと思う。


だからもう一度向き直り、真っ直ぐ目を見て言った。


「だから…もう一度だけ、俺にチャンスをください!」


そのまま深々と頭を下げると、思いっきりため息を吐かれる。


「…仕方ないなぁ…。」


でも美波はそう言って笑ってくれた。


久しぶりに見る彼女の笑顔は、呆れ顔にも見えるが本当に嬉しそうに見えた。


お互いの想いがやっと本当の意味で通じ合った事を、彼女も純粋に喜んでるんだなと感じた。


「考えてみたらウチも春樹の事をちゃんと考えとらんかったんかもしれん。


なんであんなに許せんかったんじゃろう…?


春樹にだって色々あったのに…。


じゃけぇウチもごめんなさい。」


そう言って今度は美波が頭を下げてくる。


「いや…!でもそれは…!」


「ふふふ、やめよ?せっかく仲直り出来たんじゃし。」


「…そうだな!」


なんで怒ってたのか、なんでこんなに悲しかったのか。


こうして仲直り出来てなんでこんなに嬉しいのか。


その理由は一つだ。


今ならちゃんと分かる。


「本当に良かったぁ…。」


思わずどっと肩の力が抜け、しゃがみこんでそのままその場に倒れる。


「あ!春樹泣いとる?」


「うっせ!美波だって泣いてんじゃん!」


「あはは!ウチはえぇんよー。」


「は!?なんだよそれー!」


「そう言う事じゃけぇそう言う事なんよ!」


そう言って逃げ回る彼女を立ち上がって追いかけると、不意に手を捕まれる。


「ほーら、早く帰ろ?今日は思いっきり遊びたいな!」


「…おう!」


そう返し、その手を握り返した。


そのまま二人で階段を降りると、その途中でヤスと鉢合わせた。


「…ふーん…上手くいったんだな。」


俺達の姿を見ると、そう言って声をかけてくる。


「おう、おかげさまでな。」


だからそう言ってVサインする。


「あぁ、そうか。


じゃあカラオケはいらねぇな。」


そう返すと、背を向けてさっさと帰ろうとするヤス。


「待て待て、なんだよヤス。


お前もしかして待っててくれた訳?」


「…さぁな。」


そんなヤスの肩を掴んで引き止めると、ヤスはそう短く返してそっぽ向く。


「またまたー!照れちゃってー!このこの!」


思わず顔がニヤける。


「うぜー…。」


だから言いながら小突くと、露骨に顔を顰められた。


「うぐっ…!?はっ…はっきり言うかね!?」


「でもまぁ、良かったじゃねぇか。


…本当にな。」


一度ため息を吐いてからそう言う表情は、なんだか本当に嬉しそうな気がした。


「おう。」


俺の返事を聞くと、ヤスは再び去り始める。


こうして俺がここまで来れたのは、本当にヤスのおかげだ。


こいつに背中を押してもらってなかったら、あのままきっと諦めて何も出来ずに終わっていたと思う。


だから少しずつ遠ざかっていくその背中に向けて叫ぶ。


「ありがとな、ヤス!本当にありがとう!!今度カラオケ奢るからさ!!!」


それを聞いてヤスは、ため息を吐きながらもう一度振り返った。


「…フードメニュー全部付きだからな。」


「うぇ!?勘弁!」


「冗談だ、馬鹿。」


それだけ言うと、今度こそ去って行く。


「ふーん、えぇ友達じゃん。」


「ははは、だろ?あいつには本当に感謝してる。


それこそ、フードメニュー全部付きなんかじゃ足りないくらい。


まぁ、流石にそれは勘弁だけど。」


「そうじゃね。」


言いながら笑われた。


「おっと、そうだ。


なぁ、美波。


帰る前にちょっと寄りたい所があるからさ、悪いんだけどちょっと待っててくれない?」


「別にえぇけど…何処に行くん?」


「水木の所だよ。」


「…は?え!?なんで!?」


分かり易く動揺している。


まぁ当然の反応だろう。


「あいつにも、言わなきゃいけない事が出来たんだよ。


だから、ちょっと言ってくる。」


「春樹ってたまに意味分からんよね…。」


ため息を吐く美波。



「でもまぁ、そんな人を好きになったウチもウチか…。」


頭を抱えながらそれを見送る。


とは言えやっぱり出来れば稔とも上手く付き合ってほしい。


このまま、付き合い始めた当初のようにまた稔とぎこちなくなるんはやっぱり嫌じゃし。


稔の本当の気持ちを知った今だからこそちゃんと向き合いたい、春樹にも向き合ってほしいと思う。


「お願い。」


胸に手を当てて、小さく祈る。



三組の教室に行くと、水木が一人で窓際の席に座って空を眺めていた。


「なんじゃ…?ワシを笑いに来たんか?」


俺に気付くと、不快感全開顔をこちらに向けて早速皮肉をぶつけてくる。


「おぉう…不機嫌…。


あのさ、お前にも言いたい事が出来たから伝えに来たんだよ。」


「は…?」


拍子抜けしたと言う表情だ。


「俺、ちゃんとあいつに想いを伝えて来たぞ。」


「…あぁそうかよ。


それで…?上手くいったからってわざわざ自慢しに来たんか?」


「転ばされた腹いせにそうだと言ってやりたいとこだけど。」


「…やっぱお前ムカつくわ…。」


「ははは…お互い様だろ?…でも違うんだよ。


こうして想いを伝えられたのは多分お前のおかげでもあるからさ、ちゃんと言っときたかったんだ。」


「別にワシは何もしとらんじゃろうが。


恨まれるんならともかくおかげでなんて言われる筋合いはないわ。」


「まぁ聞けって。


多分お前と戦ってなかったら俺はずっと自分の気持ちに気付かないふりをしてた。


お前と戦ってみて、改めて真剣に考えるきっかけになったんだよ。


だからありがとう。」


それに対して水木は何も言わないで露骨に舌打ちしながらそっぽを向く。


「俺さ、今度こそちゃんとこの気持ちにはっきりと気付けたんだ。


だから今度こそ美波を精一杯大事にするって約束する。


つー訳で…もし、万が一また自分の気持ちが分からなくなったらその時は俺を殴れ。」


「…は?意味分らんわ。」


やっとこっちを見たかと思えば、露骨に顔を顰めてくる。


「そんだけ、ちゃんと言ったからな。」


それだけ言って、さっさと背を向ける。


そのまま去ろうとすると、深くため息を吐かれた。


「お前って本当意味分からんな。」


「ははは、まぁ自覚はあるよ。」


「おい。」


「ん?」


「…そん時は殴るだけで済むと思うなよ?」


「…へーい、肝に銘じとくよ。」


それだけ言って教室を出ると、廊下で美波が待っていた。


そしてすぐに駆け寄ってきたかと思えば……。


「意味分からん…!意味分からん!!意味分からん!!!」


盛大に拗ねていて、真っ赤な顔で詰め寄ってきた。


どうやらさっきのやり取りを全部聞かれていたらしい。


「ははは、だよな。」


そんな姿を見て思わず笑ってしまう。


「なんそれ!?自分で言うた癖に!」


「言ってて恥ずかしかった!……でもさ、これであいつともちょっとは良くなって行けたら良いな。」


「え…!?…うん!」


それと…こんな事もあったっけ。


「それじゃ!文化祭の打ち上げ、もとい静をフリやがった佐藤をしばきまくる会を始めるわよ!」


文化祭が終わってからその翌週の土曜日。


小池さん主宰の文化祭の打ち上げと言う名目の元、合宿の時のメンバーで先日と同じ場所のカラオケに来ていた。


「は!?なんだよそれ!?聞いてないぞ!?」


…実際打ち上げとしか聞いてなかった俺は早速抗議する。


「言ってないし。」


「うぉい!」


そんな抗議をそう言ってあっさり切り捨て、早速バシバシ叩いてくる小池さん。


高橋さんはそれを眺めて笑っていた。


あれから約一週間。


結局、高橋さんとはあの文化祭の日以来あまり話せていなかった。


それは、文化祭の後すぐにあった席替えで席が離れたからと言うのが大きい。


それもあって、この一週間はなんとなく話しかけ辛かったから挨拶も出来てなかった。


高橋さんも自分から話しかけてきたりはしなかったし、だから今日この場に来た事も俺からしたらちょっと意外だったのだが…。


傲慢かもしれないが、最初は高橋さんが気まずさで、前みたいに学校にさえ来なくなったりしたらどうしようかと本気で悩んだりしたのだ。


「高橋さん。


その…。」


この機会だし近くに行って声をかけてみる。


このまま気まずくなりたくない。


だって悲しいじゃないか。


あんなに精一杯勇気を出して自分の気持ちを伝えてくれたのに。


それが出来たのにこのまま気まずくなって自然に終わっていくなんて。


そんな事を思いながら何を話そうか考えていると、いきなり高橋さんに軽く頭を叩かれた。


「佐藤君、駄目だよ!暗い!」


「え、あ、うん。」


拍子抜けする。


そう言う声は思っていたよりも元気そうだったからだ。


「良かったね、元カノさんと仲直り出来て。」


そう笑顔で言ってくれる。


その笑顔も普段通りなように見える。


「う、うん…ありがとう。


そ、その…もう気にしてないの?」


思いっきって聞いてみる。


「え?うーん…。」


すると、しばし考え込む高橋さん。


「全く気にしてない、って言ったら嘘になるかな…?結構傷付いたし。」


かと思えば実にあっさりとそう言ってくる。


「うっ…!?ご、ごめん…。」


「ううん、良いの。


告白した事自体にはね、全然後悔してないの。


自分でするって決めた事だしね。


でも、出来れば佐藤君にはいつか後悔してほしいなー…なんてね。」


「た、高橋さん…。」


「女は強いのよ。」


そう言ってまた小池さんに背中を叩かれる。


「だな…本当にそう思う。」


多分俺だったらもっと引きずってただろうしなぁ…。


そう考えると高橋さんは本当に強くなったなぁと思う。


「ねぇ、佐藤君。」


「ん?」


「私達、これからも友達だよね?」


「うん、勿論。」


「じゃあ、今日は楽しもう?せっかく来たんだし。」


「…そうだね!」


ひとまずまた話せた安心から肩の力が抜ける。


今でこそ元気そうだが、こうしてここに来るのは高橋さんにとって相当勇気が必要だっただろうなと思う。


だから今日来た事を後悔させないように、自分も精一杯楽しもうと思った。


「おい、忘れんなよな。」


と、ここでさっきまで寝ていたヤスが不意に呟く。


「え?」


「カラオケ、飯代。」


「ぬがっ…!?それは勘弁!」


「え!?マジで!?今日こいつの奢り!?」


はしゃぐ小池さんが悪魔に見える。


「ヤスー!!」


恨めしくその名を叫ぶと、盛大にため息を吐かれた。


「…ここに居る奴全員が証人だからな。


もう次はねぇぞ。」


「当たり前よ!今度こそちゃんと責任持って幸せにしなさいよ!?」


「ふふふ、そうだよ。


ちゃんと大事にしてあげてね!」


ヤスの言葉に、小池さん、高橋さんが続く。


「あぁ…ありがとう…皆…。」


本当、良い仲間に出会えたなぁと思う。


こうして俺がここまで頑張れたのはそんな仲間達に助けられたからだ。


これからも大事にしたい。


心からそう思う。


「さーて、気を取り直して歌うわよ!」


「おー!」


一方その頃。



春樹が打ち上げに行っとる頃、ウチは理沙と二人でカフェに来とった。


その場で今日の打ち上げの事を理沙に話すと、理沙の目付きは一瞬で悪くなった。


「…は?ふざけてんの…?」


「あー…いや…。」


「せっかく復縁したのに?その翌週になって早々にそれ?やっぱあいつ許せないわ…!」


「まぁまぁ…。」


今にも武器を持って春樹が居るカラオケに殴り込みをかけそうな理沙の腕を掴み、なんとか引き止める。


「美波も美波だよ!何で許したのよ!?」


「うっ…。」


うーん……その指摘はもっともじゃけど…。


でも…あんな風に頼まれたらねぇ…。


などと思いながら思い出す。


文化祭が終わった次の週の事だ。


廊下を一人で歩いとると、いきなり違うクラスの子に呼び止められた。


「ちょっと話があるんだけど。」


「え?あ、うん。


何?」


「お願い。


週末一日だけで良いから…。


佐藤を貸してくれない…?」


「…え?は?え ?」


急な申し出に、一瞬どう反応してえぇんか分からんかった。


なんなら彼女が言う佐藤も、一瞬春樹の事じゃなくて調味料の砂糖なんじゃないんかと思うたくらいじゃし…。


「急にこんな事頼んでごめん。


私の友達があいつの事が好きでね…。


告白してこないだフラれたの。」


「っ…!」


実際にその瞬間を見たからこそ、言われてすぐにそれが誰の事なのかが分かった。


「無理を言ってるのは分かってる…。


でも精一杯勇気を出して告白したあの子が、このままあいつと気まずいまま終わるのは可哀想で…!そんなの見てられなくて!」


そう言う彼女の体は小刻みに震えとった。


その言葉通り、自分が言うとる事がどんなに理屈の通らない無理な話なんかも分かっとるんじゃろう。


じゃけぇこうしてウチに頼みに来るんも、相当な勇気が必要じゃったんじゃろうなと思う。


でも友達の為にその勇気を無理やりに振り絞って頼みに来たんだ。


ほんまに大事な友達なんじゃろうなと思う。


じゃけぇそれを見て力になってあげたいと思わん事もない。


とは言えウチとしては複雑じゃった。


もう一度信じてみようと決めたとは言え、春樹の事が好きな女子も居る場へ自分から突き出す事に全く抵抗が無い訳じゃない。


でも、好きな人と一切関われんくなる辛さをウチは知っとる。


それをこれから彼女がずっと背負っていくんかなと思うたら、精一杯勇気を出したのにあまりに酷な事のように思えた。


言ってしまえば、これは偽善なんかもしれん。


嫌味じゃって思われたりするかもしれん。


でも、それで彼女の苦しみを少しでも減らしてあげれるんなら。


「うん、分かった。」


「あ…ありがとう!本当にありがとう!」


そう言って泣きながら何度もお礼を言ってきた。


その後、早速誘われたんじゃろう。


春樹がその事を話してきた。


「なぁ、美波。


実は週末友達に誘われてて…。


だからその、行って良いかな?女子も居るんだけど…。」


「ふーん。」


前もって聞いとった訳じゃけど、あえて知らんかった体でその話を聞く。


「み、美波…?」


「まだウチとは復縁してから一度もちゃんとしたデートしとらんのになぁ。」


「うっ…!そ、それは勿論すぐに埋め合わせするからさ!」


「ふーん。


じゃあ許す。」


もしこうして、その事をちゃんと言わんと黙って参加しとったんなら流石に許さんかった。


でも隠さず言うてきたし、埋め合わせはしてくれるみたいじゃけぇひとまず許す事にする。


「あ、ありがとう!いやー良かったー。」


…それにしてもじゃろ…。


なんよ…嬉しそうな顔して。


こうして無理なお願いを聞くんじゃけぇ、ちょっとぐらい拗ねてもえぇよね。


「ちなみに次のデートは春樹の奢りじゃけぇね。」


「ごめんなさぁぁぁぁい!」


で、今に至る訳じゃけど…。


この経緯を理沙に話してえぇもんか……。


そうして言ってしまう事が、勇気を出して頼んで来た彼女を裏切る事のような気がした。


「えーっと…上手くは言えんのんじゃけど、ウチはね、今回の事を春樹だけのせいって思うのをやめたんよ。」


「え?」


「まぁ勿論、じゃけぇ全部許せるって訳じゃないし、ウチだけが全部悪かったとも思わんけど。」


「そりゃ…まぁ。」


「こうしてまた付き合う事になって、春樹はウチの幸せをちゃんと自分で選ばせてくれた。


稔の事も認めようとしてくれた。


だからウチも、出来る限り春樹に幸せを選ばせてあげたいと言うか…。」


実際はそれだけじゃない。


でもそう言う気持ちがあるからと言うのも許せた理由の一つじゃし、別にえぇよね。


「美波優し過ぎ…。


あいつ…もし次裏切ったら今度こそ殺してやるわ…。」


「大丈夫じゃって。」


「は?なんでそれを美波が言えるのよ?」


いかにも拍子抜けした、と言う表情だ


「うーん…なんとなく?」


「なんとなくって…。」


実際それはこうじゃけぇとか詳しく説明は出来んし、じゃけぇ絶対なんて言い切れる訳じゃない。


ただ、今ならなんとなく大丈夫な気がした。


きっと理屈じゃないんじゃろうなと思う。


本当に大切な物は、きっと心が決める物じゃし。


じゃけぇ今は、そう思えた心を信じてみようと思う。


そんな風に心を動かしてくれたあいつの事も。


「まぁ…美波がそう言うなら良いけどさ…。


本当に次何かあったら言ってよ?」


「はーい。」



忘れてはいけない事がある。


それは、自分の気持ちに自分で名前を付ける事。


それに自信を持つ事。


そして、ちゃんと見付けた名前を大事に守り続ける事だ。


俺達はこれからも、些細な喧嘩はするだろうし、すれ違う事だってあるかもしれない。


でもその度に、この見付けた気持ちの名前を思い出せばきっとまた繋がれる。


今なら自信を持ってそう言える。


「俺は、」


「ウチは、」


「「君が好き。」」




fin

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