探偵社と年末と葉牡丹

梛狐

探偵社と年末と葉牡丹

街を沢山の小さな灯りで灯していたものは終わり、降誕祭の気配が無くなったと思えば年末に向けて忙しくなった。

此処、探偵社でも朝から年末に向けて忙しくなっている。

探偵社の皆で大掃除だ。

「皆、しっかり掃除をしろよ」

そう言い、1人準備万端の状態の人物がいる。

「国木田さん、とても張り切っていますね」

「当たり前だ」

僕は中島敦、ここで働いている社員だ。

国木田さんが少しため息混じりで言った。

「本来ならもう少し早くに大掃除を始めたかったが……」

「今年は最後まで忙しかったですからね」

「あぁ、そうだ。だから、此の日になってしまった」

「それは仕方無いですよ。全部は出来なくても、最後まで頑張りましょう! 」

「そうだな、敦。ところでだ……あの太宰は何処に行った? 」

「少し前迄はいましたが『用事を思い出したから一寸出掛けるね~』と言って、何処かへ出掛けましたよ? 」

「あの野郎……嘘だな。仕方無い、連れ戻してくる。其まで、此処を頼んでも良いか? 」

「分かりました。他の方も居ますので大丈夫です」

「では、頼んだぞ。行ってくる」

「国木田さん、行ってらっしゃい。気を付けて下さいね」

「あぁ、ありがとう」

そう言うと、国木田さんは太宰さんを連れ戻しに行った。



暫くすると国木田さんが太宰さんと帰って来た。

「お帰りなさい。国木田さん、太宰さん」

「あぁ、ただいま。俺が出てからも掃除は進んでいるな」

「勿論ですよ!皆さんのお蔭です! 」

「ありがとう。太宰、もう少しで終わる。やるぞ! 」

「分かったよ。国木田君」

「太宰さん、もう少しです!頑張りましょう! 」

そして皆で大掃除をし、夕方頃に終わることができた。

「国木田さん、やりましたね! 」

「あぁ、皆のお蔭だ。ありがとう」

「いや~国木田君、敦君お疲れ。疲れたね」

「太宰……お前は途中何処かふらついていただろうが」

「まぁまぁ……。太宰さん、帰って来てから頑張ってくれましたし!お疲れ様です! 」

「ふふっ。敦君は優しいね」

大掃除が終わり、各自休憩をしていると社長が出てきた

「社員の皆、大掃除お疲れ様。通常業務で疲れている中、本当にお疲れ様。今年も色々とあったが、皆と年末を迎えることができて良かった。お世話になった。来年もよろしく」

社長がそう言うと、他の社員が口々に社長に感謝と来年もよろしくお願いしますと言った。

「社員皆にだが、もし良ければ貰ってくれるかな? 」

社長はそう言うと、皆の前にある『物』を出した。

皆で分けられるような和菓子と『葉牡丹の寄せ植え』だ。

紅白になっていて、とても縁起が良い。

続けて社長はこう言った。

「今日の誕生花に葉牡丹があってな、花言葉に『祝福』というのもがある。そういう意味を込めてだ」

皆、口々に社長に感謝の言葉を言った。

僕は良い年を迎えられそうだと感じた。

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探偵社と年末と葉牡丹 梛狐 @nkao5121

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